良好な経済指標から米ドルは堅調に推移

2022/10/06 7:38  JST投稿
 

【米国】

為替(10月6日6時00分)
 米ドル円(USDJPY)    144.58-144.67 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    142.96-143.07 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 0.9884-0.9885 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    163.83-163.90 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.1322-1.1330 (米ドル)
 
10月5日のニューヨーク外国為替市場では、良好な経済指標が好感された。まず、9月 ADP雇用者数(前月比、結果:20.8万人、予想:20.0万人、前回:13.2万人)の良好な結果が示された。さらに、9月米ISM非製造業景気指数(結果:56.7、予想:56.4、前回:56.9)は前月から低下したものの、予想を上回り投資家心理が上向いた。
 
さらに、サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁の「インフレ抑制に向け断固として利上げを継続する」とのタカ派的な発言も寄与している。一方で、日本政府の再介入への懸念も強い。
 
金融政策の影響を受けやすい2年債と10年債(長期金利)の利回りは、65日連続で逆転(逆イールド)した。終値ベースでは2年債が4.146%、10年債が3.755%だった。
 
米ドル・円(USDJPY)では、良好な経済指標や金利の上昇から米ドル買いが強まった。デイリー総裁の発言もプラスとなり、この日の高値144.85円まで上昇した。しかし、日本政府の円買い介入への懸念から節目の145円は超えられず、徐々に値を下げ144.64円で終えた。
 
ユーロ・米ドル(EURUSD)は、朝方の良好な米経済指標から、この日の安値0.9835ドルを付けている。9月 ユーロ圏非製造業PMI(結果:48.8、予想:48.9、前回:48.9)で、景気後退懸念が強まった影響も大きかった。その後は、小幅に値を戻し終値は0.9884ドルとなっている。
 
ユーロ・円(EURJPY)は、朝方は良好な米経済指標から値を下げ、この日の安値142.44円を付けた。その後は、小幅に買い戻され終値は142.89円だった。
 
株式
 NYダウ平均  USD 30,273.87 -42.45(-0.14%)
 NASDAQ総合  USD 11,148.638    -27.768 (-0.24%)
 S&P500      USD  3,783.28  -7.65(-0.20%) 
 
10月5日の米株式市場のダウ工業株30種平均は、3日ぶりに前日の終値を下回った。前日までの2日間で1,590ドル上昇したため、利益を確定させる動きが強まり売りが優勢だった。朝方に発表されたADP雇用者数で労働市場の強さが示され、長期金利が上昇した影響も大きい。また、一時的に買戻しが入った場面もあったが、7日の雇用統計の発表を控え様子見に転じた機関投資家も多く3指数揃って値を下げ終えた。
 
債券
 米国債10年 3.755%(+0.138)
 
商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 87.76 +1.24(+1.43%)(11月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,720.80  -9.70(-0.56%)(12月渡し)
 
 

【日本】米ドルは米長期金利上昇や決済から堅調に

為替(17時)
10月5日の東京外国為替市場では、企業の決済に向けた米ドル買いが入り堅調に上昇した。時間外の米長期金利が上昇し、日米の金利差が意識された影響も大きかった。一方で、日本政府の再介入への懸念は続いており、上昇は限定的となっている。
 
また、ニュージーランド準備銀行(中央銀行)が大幅な利上げを実施した。50ベーシスポイント(0.5%)の引上げにより、7年ぶりの高水準3.5%となり更なる利上げを示唆している。これを受けニュージーランドドルは対米ドルで1.3%上昇し0.5805ドルとなった。
 
米ドル・円では、朝方に利益確定売りが出たが、決済需要から上昇後は堅調に値を下げた。日米金利差への意識から米ドルの需要が高まったこともあり、この日の高値144.51円に上昇し、17時時点では144.44円となった。
 
ユーロ・米ドルは、米ドル買いが優勢となった反動から徐々に値を下げた。欧州勢参加後に一時買いが入り0.9995ドルまで上昇した時もあったが、下落傾向は変わらず17時時点では0.9940ドルで取引されている。
 
ユーロ・円は、米ドル・円の動きにつられた。朝方に利益確定売りが入り値を下げたが、決済需要の高まりから小幅に値を上げた。欧州勢参加後にさらにユーロ買いが高まり高値の144.09円まで値を伸ばすも、リスク回避の姿勢が強く17時時点では143.58円だった。
 
債券
 国債先物・22年12月限  149.00 (-0.03)
 10年長期金利  0.245%(変化なし)
 
 

【マーケットアナリティクス】EURUSD、強気後退で1%下落(10月5日)

ユーロ圏の経済情勢が不安定な中、ユーロは1%以上の下落となった。
 
本日は、米株式指数の下落と共に米国の利回りが急激に上昇したことから、リスク資産の中期的な下落トレンドが本日も続く可能性があることを示唆している。
 
弱いEUマクロデータ
ユーロ圏の企業活動に関する確報値は予想を下回り、経済活動のさらなる低下を示唆している。9月ユーロ圏非製造業PMIは前月の48.9から、9月の総合指数は48.8まで低下した。50を下回る値は、4月の成長ピークに続き、ユーロ圏の経済が低調な成長から経済縮小へと落ち込んだことを示している。
 
よって、ユーロ・米ドル(EURUSD)は下降に転じ、本日0.9950を割り込んだ。ラボバンクのエコノミストは、今期、0.95まで下落すると予測している。
 
「ユーロ圏が厳しい冬を迎えていることは明らかだが、私たちは数年にわたる可能性のあるエネルギー価格の危機を考えると、ユーロはまだ十分に織り込まれていないと考えている。このため、一部の業界団体による生産は、1年から5年の間にヨーロッパで厳しい状況に落ち込む可能性がある」と述べた。
 
安堵のラリーは終わりか?
短期的な観点からEURUSDは等価(パリティ)に戻ることに失敗し、上昇チャネルから下降しようとしている。このチャネルのトレンドラインでは、現在0.99付近を試しているところだ。
 
このレベルが守られない場合、以前の短期的な安値である0.9750に向け、さらに下落する可能性がある。
 
世界のマクロ経済環境において楽観的な展開が見られないため、今週の安堵のラリーは急速に衰退する可能性があるだろう。
 
上値では強気(ブル)勢はパリティを再び狙うためには0.99レベルに戻る必要がある。中期的な観点からは、1.0(パリティ)を超えることが重要であり、上昇を始めなければならない。
 
ユーロ・米ドル、デイリーチャート 10月5日(CET・中央ヨーロッパ時間)
 
引用元: “EURUSD Falls 1% as Bulls Retreat” (2022年10月5日, AXIORY Global Market News)      
 
追記:10月6日、日本時間6:00のユーロ・米ドルは0.9884-0.9885ドルで取引されている

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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