FRB高官のタカ派的な発言受け、堅調に推移

2022/10/11  7:31  JST投稿
 

【米国】

為替(10月11日6時01分)
 米ドル円(USDJPY) 145.71-145.73 (円)
 ユーロ円(EURJPY) 141.34-141.47 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 0.9697-0.9702 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY) 161.05-161.13 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.1055-1.1057 (米ドル)

10月10日のニューヨーク外国為替市場では、祝日(コロンブスデー)の影響から債券市場が休場となり動きは限定的だった。足元では日米金利差が意識され米ドル買いが強まっている一方で、日本の円買い再介入への警戒感も強く146円の壁が意識されている。さらに、ウクライナ情勢の悪化によるリスク回避の動きも強い。

また、シカゴ連銀のエバンス総裁は行き過ぎた利上げが引き起こすリスクの低減にむけ、金融当局が安心して利上げを休止できる水準まで政策金利を早急に引き上げる必要があるとの認識を示した。「名目フェデラルファンド(FF)金利は来年の早い段階に4.5%をわずかに上回る水準まで上昇し、当面その水準にとどまるとみている。その間に金融政策の調整がどの程度、経済に影響しているかを判断する」と述べた。

さらに、米連邦準備制度理事会(FRB)のブレイナード副議長が、高インフレ抑制に向け積極的な利上げを続けながらも、慎重な姿勢で臨むことが重要だと言及した。世界経済や金融環境の不透明感が強い時期において、まだ利上げは経済に効果を及ぼす過程にあると示した。さらに、慎重にデータを判断しながら経済活動、雇用、インフレの状況を把握し、確実にインフレ率を目標水準に戻すためには、当面、金融政策の抑制は続くと述べている。

米ドル・円(USDJPY)では、先週末の9月雇用統計の堅調な結果を受けFRBが金融引き締めを継続するとの見方が強まり、米ドル買いが強まった。ウクライナ情勢への懸念の強まりからリスク回避の動きも出て、この日の高値145.80円を付けた。一方で、9月22日に付けた年初来高値145.90円が上値抵抗線(レジスタンス)として意識されたが、ブレイナードFRB副議長の発言から投資家意欲が上向き、終値は145.72円となった。

ユーロ・米ドル(EURUSD)は、ウクライナ情勢への懸念からリスク回避の姿勢が強まり低調だった。朝方はドイツがエネルギー危機の打撃を緩和する目的で、EU共同債発行反対の立場を逆転させ発行を支持するとの報道が好感され0.9745ドルまで値を上げた。しかし、ドイツがこれを否定すると、一転して急激にユーロ売りに変わり終値は0.9702ドルだった。

ユーロ・円(EURJPY)では、ドイツのEU共同債発行支持への報道から、この日の高値141.81円を付けた。しかし、ドイツがそれを否定すると急激に値を下げ低調な取引に転じ、終値は141.39円となった。

株式
 NYダウ平均 USD 29,202.88 -93.91(-0.32%)
 NASDAQ総合  USD 10,542.102   -110.303 (-1.03%)
 S&P500     USD  3,612.39 -27.27(-0.74%)

10月10日の米株式市場のダウ工業株30種平均は4日連続で前日の終値を下回り、3日連続で3万ドルを切った。朝方は安値圏が意識され買いが優勢だったが、シカゴ連銀のエバンス総裁のタカ派的な発言を受け11月のFOMCでの利上げ観測が強まり売りに転じた。ウクライナ情勢への懸念による投資家心理の冷え込みの影響も大きい。その後、ブレイナードFRB副議長の安定感のある金融政策への言及もプラスとなり値を上げ、前日の終値を何度か上回ったが最終的には前日の終値を下回り終えた。

*債券は休日(コロンブスデー)により休場

商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 91.13 -1.51(-1.62%)(11月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,675.20 -34.10(-2.00%)(12月渡し)
 

【日本】円買い介入への警戒強く値動きが限定

為替(17時)
10月10日の東京外国為替市場は、日米とも祝日のため機関投資家の参入が希薄で、大きな値動きは限られた。引き続き日本政府の円買い介入への警戒も強く、介入前の高値145.90円が上値抵抗線(レジスタンス)として意識されている。

米ドル・円では、朝方は日米金利差が意識され145.67円まで上昇したが、日本の再介入への警戒から徐々に値を下げた。欧州勢参加後はさらに値を下げ、17時時点で145.43円だった。

ユーロ・米ドルは、朝方は堅調に推移したが、ウクライナの地政学リスクの高まりから徐々に値を下げた。欧州勢参加後はさらに値下げが進み、17時時点では0.9706ドルとなった。

ユーロ・円は朝方に小幅ながら値を上げていたが、徐々にリスク回避の動きが強まりユーロが売られた。141.80円から141.04円まで安くなり、17時時点では141.16円で取引されている。

*債券はスポーツの日の祝日により休場

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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