日本の再介入が意識され上昇は限定的に

2022/10/12  7:44  JST投稿
 

【米国】

為替(10月12日6時00分)
 米ドル円(USDJPY)    145.84-145.86 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    141.54-141.62 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 0.9705-0.9711 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    159.86-160.06 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.0963-1.0970 (米ドル)
 
10月11日のニューヨーク外国為替市場では、9月ニューヨーク連銀消費者期待調査で今後1年間の家計消費支出の伸び見通しが6%となり、8月の7.8%から大幅に低下し、低下幅は2013年の調査開始以来で最大だった。インフレ期待は1年先(結果:5.4%、前回:5.7%)が2021年9月来で低水準となった。一方で3年先(結果:2.9%、前回:2.8%)、5年先(結果:2.2%、前回:2.0%)は、上昇している。この結果を受け、長期金利が4.00%から3.87%へ急激に低下した。
 
金融政策の影響を受けやすい2年債と10年債(長期金利)の利回りは、68日連続で逆転(逆イールド)しており、終値ベースでは2年債が4.314%、10年債が3.945%だった。
 
また、英イングランド銀行(中央銀行・BOE)のベイリー総裁は講演で、緊急措置の英国債購入策を予定通りに14日までの期限で終了することを強調した。この発言を受け、長期的な対策を期待していた失望から英国債金利は30年物で一時4.8%台まで上昇し、約2週間ぶりの高水準となっている。そして、ポンドは対ドルで売りが優勢となり1.1180ドルから1.0953ドルまで低下した。
 
米ドル・円(USDJPY)では、低調な米ニューヨーク連銀の指標を受け長期金利が低下すると、この日の安値145.43円まで低下した。その後はベイリー英中銀(BOE)総裁の発言から米長期金利が上昇すると米ドル買いが強まり145.90円まで上昇。9月22日の高値まで値を上げるも、日本の円買い介入が意識され145.86円で終えている。
 
ユーロ・米ドル(EURUSD)は、米ニューヨーク連銀の低調な指標から米ドル売りに転じると、前日の高値0.9753ドルを超え、この日の高値0.9775ドルまで値を上げた。その後は、ベイリー総裁の発言が嫌気され、リスク回避の米ドル買いが強まると急激に値を下げ、終値は0.9708ドルとなった。
 
ユーロ・円(EURJPY)では、米ニューヨーク連銀の低調な指標や米株価の上昇からリスクオンの姿勢が強まりユーロが買われた。前日の高値141.81円を超え、142.20円まで値を上げた。その後は、ベイリー総裁の発言が嫌気されると急激に値を下げ141.44円まで低下し、終値は141.62円だった。
 
株式
 NYダウ平均  USD 29,239.19 +36.31(+0.12%)
 NASDAQ総合  USD 10,426.192   -115.910 (-1.09%)
 S&P500      USD  3,588.84  -23.55(-0.65%) 
 
10月11日の米株式市場のダウ工業株30種平均は5日ぶりに前日の終値を下回った。前日まで売りが優勢だった流れから買いやすい価格と意識され、決算が良好と思われる銘柄が買われた。一方で、PPI(12日の9月米卸売物価指数)やCPI(13日の米消費者物価指数)の発表を控え様子見の姿勢も出ている。
 
債券
米国債10年 3.945%(+0.06)
 
商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 89.35 -1.78(-1.95%)(11月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,686.00 +10.80(+0.64%)(12月渡し)
 
 

【日本】上昇するも依然円買い介入への警戒強く

為替(17時)
10月11日の東京外国為替市場では、日米金利差が意識され米ドルが対円でじわじわと上昇し、介入前の9月22日の高値145.90円が上値抵抗線(レジスタンス)として意識されている。
 
米ドル・円は、朝方に円が買われ145.55円まで値を下げるも、日米金利差が意識され米ドル買いが強まった。しかしながら、足元では日本の円買い介入が意識され145.86円までの上昇でとどまっている。欧州勢参加後は、利益確定売りに押され17時時点で145.63円となった。
 
ユーロ・米ドルは、リスク回避の米ドル買いが優勢だった。この日の安値0.9672ドルまで米ドル買いが進んだ後は、ユーロ買いに回帰し小幅に上昇し17時時点では0.9699ドルだった。
 
ユーロ・円は、リスク回避の円買いが優勢だった。朝方は安値圏が意識され、この日の高値141.69円まで上昇したが、すぐに利益確定売りが出て140.99円まで値を下げた。その後、安値圏が意識されると上昇に転じ、小幅に値を上げ17時時点では141.24円で取引されている。
 
債券
 国債先物・22年12月限  148.25 (-0.37)
 10年長期金利  0.250%(+0.005)
 
 

【マーケットアナリティクス】ユーロ・円は、レンジ相場の中央で落ち着く(10月11日)

ユーロ・円は重要な境目の140を超えて推移していることから、最近の乱高下は収束したように見える。本稿執筆時点では米国時間に向かってわずかに上昇し、141.50付近で推移している。
 
ドイツ、リセッション入り
ロイター通信が政府筋の話として伝えたところによると、ガソリン価格の抑制が示されたにもかかわらず、ドイツ政府は来年、経済が景気後退期(リセッション)に入ることを予想しているようだ。
 
現在の予測では、2023年のGDPは0.4%縮小し、インフレ率は2022年に8%、2023年に7%になるという。
 
ロイター通信によるとドイツ政府の報道官はEU共同債発行支持について、EUの次世代基金から認可された利用可能資金のわずか5分の1が払い込まれただけだと言及した。さらに、「残りの資金は、グリーンエネルギー移行に向けた緊急事態に対応するために活用されるかもしれない 」と述べた。
 
また、ドイツの経済誌「ハンデルスブラット」は、ドイツ政府が2023年にインフレ率の低下を予想していると報じている。記事によると、政府は2022年のインフレ率を7%と予想しており、新聞では2022年のインフレ率が8%になると予想されている。
 
今後、レンジ相場(コンソリデーションゾーン)に進む?
中期的な上値抵抗線は、現在の145円台のサイクル高値となる可能性が高い。ユーロがこのレベルを上回れば、強気(ブル)相場が確認され、価格は150ゾーンに押し上げられる可能性が高いだろう。
 
あるいは、141付近が日中の下値支持線となり、その後、境目の140と137.25付近の前回の安値が続くと考えられる。
 
ユーロ・円、デイリーチャート 10月11日(CET・中央ヨーロッパ時間)
 
引用元: “EURJPY Settles in the Middle of Consolidation Zone” (2022年10月11日, AXIORY Global Market News)           
 
追記:10月12日、日本時間6:00のユーロ・円は141.54-141.62円で取引されている

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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