USDJPY 24年ぶりの高値水準に到達し146.97に

2022/10/13  748 JST投稿

【米国】

為替(1013600分)
 米ドル円(USDJPY)    146.91-146.91 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    142.50-142.62 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 0.9700-0.9703 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    163.03-163.18 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.1093-1.1103 (米ドル)

1012日のニューヨーク外国為替市場では、9月米卸売物価指数(PPI、前月比、結果:0.4%、予想:0.1%、実績:-0.1%)が米ドルを押し上げた。サービスと財の価格が大幅に上昇し、前月比では予想を上回った。一方で、食品とエネルギーを除いたコア財価格(前月比、結果:0.3%、予想:0.2%、実績:0.4%)は鈍化している。

日本銀行の黒田東彦総裁が国際金融協会(IIF)の年次会合で、「2%の物価目標を持続的、安定的に達成するまで金融緩和を継続する必要がある」と発言した。また、米ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁は米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ抑制に向け積極的な利上げに注力しており、現在の引き締め路線を転換させるハードルは高いという見解を示した。

さらに、92021日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録が公開され、何人かの参加者が「高インフレがさらに長引けば(人々の)物価上昇予想が高まり、抑制が難しくなる」として短期間で物価を引き下げることに注力する考えが示された。また、参加者全員が今後の物価動向については上振れるリスクのほうが高いとの考えで一致した。この結果を受け長期金利が3.88%に低下している。

金融政策の影響を受けやすい2年債と10年債(長期金利)の利回りは、69日連続で逆転(逆イールド)しており、終値ベースでは2年債が4.295%10年債が3.902%だった。

米ドル・円(USDJPY)は、堅調に値を上げた。9PPIが予想を上回った上、黒田総裁とミネアポリス連銀カシュカリ総裁の発言から、19988月以来、24年ぶりの高値水準の146.97円の高値を付けた。しかし、FOMCの議事録公表後、長期金利が低下し、日本の再介入が意識されると146.66円まで値を下げたが、値を戻し146.91円で終えている。 

ユーロ・米ドル(EURUSD)は、ウクライナ情勢の悪化や原油高から欧州の景気後退懸念が強まり、朝方にユーロ売りが強まり0.9668ドルの安値を付けた。その後は、金の値決めに関わるロンドンフィキシングに伴う米ドル売りや、米長期金利の低下から買戻しが入り0.9720ドルに持ち直し終値は0.9703ドルとなった。

ユーロ・円(EURJPY)では、朝方にリスク回避の円買いが入り、この日の安値141.43円まで値を下げた。その後、買戻しが入り高値142.63円を付けるも再び値を下げ、終値は142.57円だった。

ポンド・米ドル(GBPUSD)は、英中銀(BOE)報道官の「債券買い入れ計画は14日に終了する予定」と発言からアジア時間に1.1030ドル付近から1.0955ドル付近まで急速に値を下げ、英30年債利回り一時4.920%に上昇した。その後、イングランド銀行(英中央銀行)のチーフエコノミスト、ヒュー・ピル氏が11月の大幅な金利変更を示唆するとポンド買いが強まり、1.1022ドルから1.1134ドルまで上昇し1.1093ドルで終えた。

株式
 NYダウ平均  USD 29,210.85 -28.34-0.09%
 NASDAQ総合 USD 10,417.099 -9.093 -0.08%
 S&P500   USD 3,577.03  -11.81-0.32%) 

1012日の米株式市場のダウ工業株30種平均は連日で前日の終値を下回った。PPI9月米卸売物価指数)でインフレ圧力の強さが示されるとCPI13日の米消費者物価指数)の内容を見極めたいとの思惑から買い控えの姿勢が出ている。一方で、長期金利の低下が寄与し割安感が感じられる銘柄や好決算が期待される銘柄が買われた。また、ナスダックは、6日連続で小幅に前日の終値を下回り、3日続けて年初来安値を更新している。

債券
米国債10年 3.902%-0.037

商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 87.27 -2.08-2.33%)(11月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,677.50 -8.50-0.50%)(12月渡し)
 

【日本】米ドル・円 ついに146円の壁突破

為替(17時)
1012日の東京外国為替市場では、欧州の景気後退や地政学リスクによる通貨安と日米金利差が意識され米ドルが対円でじわじわと上昇した。ついに介入前の922日の高値145.90円を上回り、19988月以来の24年ぶりの高値水準となっている。

米ドル・円は、早朝からじわじわと値を上げ境目の145.90を超えると146.39円まで値を上げた。しかし、松野官房長官や鈴木財務相がそれぞれ適切な措置を取ると述べたことから、再介入への警戒感が強まった。徐々に値を下げ17時時点では146.17円となった。

ユーロ・米ドルは、午前中にリスク回避の米ドル買いが強まった。その後は安値が意識されると買戻しが入り小幅に値を上げ、17時時点では0.9707ドルだった。

ユーロ・円は、朝方はリスク回避の円買いが優勢だったが、ユーロ・米ドルの上昇につられ、この日の高値142.23円を付けた。しかし、再びリスクが意識されると小幅に値を下げ、17時時点では141.89円で取引されている。

債券
 国債先物・2212月限  148.41 +0.16
 10年長期金利  0.250%(変化なし)

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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