2022/10/20 7:41 JST投稿
【米国】
為替(10月20日6時00分)
米ドル円(USDJPY) 149.85-149.89 (円)
ユーロ円(EURJPY) 146.45-146.50 (円)
ユーロ米ドル(EURUSD) 0.9771-0.9774 (米ドル)
ポンド円(GBPJPY) 168.15-168.21 (円)
ポンド米ドル(GBPUSD) 1.1215-1.1223 (米ドル)
10月19日のニューヨーク外国為替市場に影響を与えたのは、世界的なインフレ進行だった。英国とカナダの9月消費者物価指数(CPI)のインフレ圧力が強まった結果が示されると米長期金利が低下し、投資家心理に影響を及ぼした。その後、低調な米20年債入札を受け、2008年7月以来の高水準の4.1377%に上昇すると投資家心理が上向いている。
金融政策の影響を受けやすい2年債と10年債(長期金利)の利回りは、74日連続で逆転(逆イールド)しており、終値ベースでは2年債が4.561%、10年債が4.138%だった。
また、9月住宅着工件数(結果:143.9万件、予想:146.5万件、前回:157.5万件)と予想を下回った。一方で、住宅建設許可件数(結果:156.4万件、予想:153.2万件、前回:151.7万件)は予想を上回わり、回復の期待が高まり好感されている。
なお、英国内では政局不安が高まっている。ブレイバーマン内相が個人の電子メールアドレスから公的文書を送付したことが政府の規則に抵触するとして、辞任した。退任の際、現在の政府の方向性に懸念を示し、トラス政権を批判している。
米ドル・円(USDJPY)は、朝方は投資家心理が冷え込み低調だった。長期金利が低下し、小幅に値を下げたが、長期金利が高水準に転じると米ドル買いが強まり1990年8月以来、32年ぶりの高値を更新した。149.91円まで値を上げるも、上値抵抗線(レジスタンス)の150円や日本の円買い介入が意識され、上昇は限定的となり終値は149.90円だった。
ユーロ・米ドル(EURUSD)では、ユーロ圏消費者物価指数(HICP、前年比、結果:9.9%、予想:10.0%、前回:10.0%)が過去最高の水準で推移し、懸念が高まった。地政学リスクも意識され、ユーロ売りが強まり、この日の安値0.9757ドルを付けた。その後は小幅に値を戻し、終値は0.9773ドルとなった。
ユーロ・円(EURJPY)は、欧州の景気後退懸念の更なる強まりからユーロ売りが優勢だった。朝方に、この日の安値146.08円を付け、その後持ち直すも再びユーロ売りに転じ、終値は146.51円だった。
ポンド・米ドル(GBPUSD)は、英国内の政局不安の高まりから一時1.1186ドルまで値を下げた。対円でも167.64円まで値を下げている。短期間に2人の閣僚が退任しており、トラス政権はさらに追い込まれた。国内のみならず世界的な景気後退への懸念もあり、厳しい状況が続き1.1218ドルで終えた。
株式
NYダウ平均 USD 30,423.81 -99.99(-0.32%)
NASDAQ総合 USD 10,680.508 -91.894 (-0.85%)
S&P500 USD 3,695.16 -24.82(-0.66%)
10月19日の米株式市場のダウ工業株30種平均は3日ぶりに前日の終値を下回った。長期金利が2008年7月以来の高水準となり、株式の割高感が意識され投資家心理が冷え込んでいる。午前中は決算が良好な銘柄やエネルギー関連銘柄が買われたが、午後になると売りが優勢だった。また、金利上昇による利益拡大を見込まれ、先週から買いが優勢だった金融関連の株式に利益確定の売りが出た影響も大きく、3指数揃って値を下げ終えている。
債券
米国債10年 4.138%(+0.014)
商品
NY原油(WTI) 1バレル=USD 84.52 +2.45(+2.99%)(12月渡し)
NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,634.20 -21.60(-1.30%)(12月渡し)
【日本】USDJPY 円安進み32年ぶりの高値更新
為替(17時)
10月19日の東京外国為替市場では、米ドルが対円で17日のニューヨーク市場で付けた32年ぶりの高値(149.38円)を更新した流れを受け、再介入への懸念が強まり大きな動きに繋がりにくかった。
米ドル・円は、午前中は再介入が意識されほぼ横ばいで推移した。午後になり、時間外の米長期金利が上昇すると徐々に米ドル買いが高まり、さらに32年ぶりの高値を更新(149.48円)し、17時時点では149.34円となった。
ユーロ・米ドルは、午前中は大きな動きが出なかったが米長期金利が上昇すると徐々に米ドル買いが進み下落した。昨日の安値0.9813ドルが下値支持線(サポート)として意識されると、0.9815ドルを付けた後、小幅に切り返した。17時時点では0.9839ドルだった。
ユーロ・円は、ユーロ・米ドルと円・米ドルの動きにつられ方向性の出にくい状況だった。午前中はあまり動きが出なかったが、午後に米長期金利が上昇すると徐々にユーロ売りが優勢となり17時時点では146.94円で取引されている。
債券
国債先物・22年12月限 148.17 (-0.10)
10年長期金利 0.250%(変化なし)
【マーケットアナリティクス】EURUSD、短期トレンドラインを下回る(10月19日)
水曜日のユーロ・米ドルは弱気(ベア)が統制を取り戻しから0.98レベルを下回り、ロンドン時間の取引で1%近く下落した。
EUのインフレ率は依然高止まり
ユーロスタットが発表したユーロ圏消費者物価指数(HICP)の改定値におけるユーロ圏の9月のインフレ率は前年同月比で9.9%の上昇となり、速報値の10%には届かなかった。エネルギー、食品、アルコール、たばこを除いたコア数値は前年同月比4.8%増となり、市場予想の4.8%、前回の4.8%と一致した。
また、9月のユーロ圏の月間HICPは前月比1.2%増で、予想、前回とも1.2%となった。コアHICP値は前月比1.0%となり予想、前回ともに1.0%だった。
9月のユーロ圏の年間インフレ率に最も影響があったのはエネルギー(+4.19%)、次いで食品・アルコール・タバコ(+2.47%)、サービス(+1.80%)、非エネルギー工業製品(+1.47%)だった。
米ドルについては、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁が「コアインフレが少なくともピークに達したという何らかの強い証拠が見られない限り、利上げを中止する用意はない」と発言している。CMEのフェドウォッチによると、FRBが11月に0.75%の利上げを行う確率は95%近くとなった。
短期的な上昇トレンドは終了
リスク資産やEURUSDは例外でなく上昇し、最近のラリーは息切れしたように見える。次の下値支持線(サポート)は0.9750付近と予想され、維持されない場合、0.915へ向けてさらに下落する可能性がある。
上昇局面では、ユーロは弱気(ベア)の勢いを打ち消すために、上昇トレンドライン(現在の0.9820付近)を再び上回らなければならない。
ユーロ・米ドル、デイリーチャート 10月19日(CET・中央ヨーロッパ時間)
引用元: “EURUSD Drops Below Short-Term Trendline” (2022年10月19日, AXIORY Global Market News)
追記:10月20日、日本時間6:00のユーロ・米ドルは0.9771-0.9774ドルで取引されている