低調な経済指標から長期金利が低下し米ドルは下落

2022/10/26 7:42 JST投稿
 

【米国】

為替(10月26日6時05分)
 米ドル円(USDJPY)    147.90-147.96 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    147.41-147.49 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 0.9965-0.9968 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    169.60-169.74 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.1467-1.1476 (米ドル)
 
10月25日のニューヨーク外国為替市場で最も大きく影響を及ぼしたのは、低調な米経済指標だった。まず、8月住宅価格指数(結果:-0.7%、予想:-0.7、前回:-0.6%)で、過去最大の減速が示された。金利の上昇により7%近くまで住宅ローン金利が上昇し、敬遠されている模様だ。10月コンファレンスボード消費者信頼感指数(結果:102.5、予想:105.5、前回:108.0)では、高インフレが影響し3ヵ月ぶりの低水準となっている。さらに、10月リッチモンド連銀製造業景況指数(結果:-10.0、予想:-4.0、前回:0.0)の急激な低下から投資家心理が冷え込んだ。
 
これらの結果から長期金利が4.052%に低下している。金融政策の影響を受けやすい2年債と10年債(長期金利)の利回りは、78日連続で逆転(逆イールド)しており、終値ベースでは2年債が4.473%、10年債が4.10%だった。
 
また、英国ではスナク元財務相が新首相に就任した。42歳5ヵ月の就任は英国で20世紀以降最も若い首相となった。就任演説では「経済の安定と政治への信頼感を取り戻す」と示し、ハント財務相を再任した。混乱から安定に向かう中で投資家心理が和らぎ、ポンドは対ドルで1.1499ドル、対円で169.95円、対ユーロで0.8665ポンドに上昇した。一方で、スナク氏は財務相時代に、インドの富豪の娘である妻が海外所得の納税を免除されていることを非難され反論したが、最終的には納税するなど国民との格差が意識されている。財政の厳しい状況もあり、厳しい舵取りが続くだろう。
 
米ドル・円(USDJPY)は、冴えない複数の経済指標を受け、長期金利が低下し148.93円からこの日の安値147.52円まで下落した。その後は、買戻しが入るも長期金利が思いのほか戻りが悪く148円を挟んだ動きとなり、終値は147.93円となった。
 
ユーロ・米ドル(EURUSD)は、欧州時間に発表された10月独Ifo企業景況感指数(結果:84.3、予想:83.6、前回:84.3)が予想を上回りユーロ買いが強まった。米ドルの急激な下落にもつられ、この日の高値0.9977ドルまで上昇した。その後は大きな動きは出ず、0.9966ドルで終えた。
 
ユーロ・円(EURJPY)は、朝方に米ドル・円の下落につられた売りが出て、この日の安値146.64円を付けた。その後は、買戻しやユーロ・米ドルの上昇につられ、この日の高値147.49円まで値を戻し、終値は147.41円だった。
 
株式
 NYダウ平均  USD 31,836.74 +337.12(+1.07%)
 NASDAQ総合  USD 11,199.116   +246.504 (+2.25%)
 S&P500      USD  3,859.11  +61.77(+1.62%) 
 
10月25日の米株式市場のダウ工業株30種平均は3日連日で前日の終値を上回った。FRBが年内に利上げペースを緩和するとの見方から長期金利が低下し、1ヵ月ぶりの高値を付けた。佳境となる企業決算が思いのほか好調だったことで投資家心理が上向き、一時377ドルほど前日の終値を上回り、3指数揃って値を上げ終えている。
 
債券
米国債10年 4.10%(-0.132)
 
商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 85.32 +0.74(+0.87%)(12月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,658.00 +3.90(+0.24%)(12月渡し)
 

【日本】為替介入への警戒強く上値は重い

為替(17時)
10月25日の東京外国為替市場では、21日のニューヨーク市場と昨日東京市場で円買い介入観測があり、警戒が続いている。来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えた思惑も出て、大きな動きは控えられている。
 
米ドル・円は、円買い介入への警戒が高く大きな値動きが出にくい状況だ。148円台後半の狭い値動きとなり、17時時点では148.92円で取引されている。
 
ユーロ・米ドルは、早朝の欧州国債市場でドイツ長期金利の指標となる10年債の利回りが低下し、ユーロが売られ徐々に値を下げた。この日の安値0.9853ドルを付け、17時時点では0.9856ドルで取引されている。
 
ユーロ・円は、ユーロ・米ドルの動きにつられ、徐々に値を下げ17時時点では146.78円だった。
 
債券
 国債先物・22年12月限  148.00 (+0.15)
 10年長期金利  0.250%(変化なし)

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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