FRB利上げ減速懸念から長期金利低下が重し

2022/10/27 744 JST投稿
 

【米国】

為替(1027600分)
 米ドル円(USDJPY)    146.32-146.43 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    147.57-147.68 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0082-1.0083 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    170.15-170.33 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.1628-1.1630 (米ドル)

1026日のニューヨーク外国為替市場で最も大きく影響を及ぼしたのは、長期金利の低下だった。米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ減速懸念が強まり債券が買われている。

長期金利は3.995%に低下している。金融政策の影響を受けやすい2年債と10年債(長期金利)の利回りは、79日連続で逆転(逆イールド)しており、終値ベースでは2年債が4.418%10年債が4.007%だった。

また、カナダ銀行(中銀、BOC)が、予想外に利上げのペースを減速した。現行の3.25%から3.75%に引き上げ、利上げ幅を予想の0.75%から0.50%の利上げに留めた。景気後退への懸念から利上げ幅縮小を決めている。マックレム総裁は記者会見で「引き締め局面は終わりを迎える。そこに近づきつつあるが、まだ到達していない」「米ドルの強さが世界的なインフレに拍車を掛けている」と述べた。これを受けカナダドルは一時、対米ドルで1.3651カナダドル、対円で107.36円まで売られた。この決定を受け、FRBの利上げ減速懸念が強まっている。

さらに米経済指標は低調だった。9月新築住宅販売件数(結果:60.3万件、予想:58.1万件、前回:68.5万件)は、住宅ローン金利の上昇から前月の改定値から10.9%も減少した。米抵当銀行協会(MBA)が26日発表した調査では、30年固定の住宅ローン金利(週平均)は7.16%21年ぶりの高水準を記録し、住宅需要の低迷が続いている。

米ドル・円(USDJPY)は、FRBが利上げペースを減速するとの観測が強まり、長期債が4%を下回り米ドル売りが優勢だった。朝方に発表された弱い9月新築住宅販売件数結果も重しとなり、低調な取引が続き、146.23円まで値を下げ、146.37円で終えた。なお、主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時、920日以来の安値109.63に低下している。

ユーロ・米ドル(EURUSD)は、長期金利の低下から米ドルが売られた影響からユーロ買いが強まった。堅調に値を上げ、913日以来の高値1.0089ドルを付けた。その後は、翌日の欧州中央銀行(ECB)定例理事会を控え、大きな値動きは控えられ終値は1.0081ドルだった。

ユーロ・円(EURJPY)は、朝方は米ドル・円の下落につられ、この日の安値146.96円まで値を下げた。その後一転して、ユーロ・米ドルの上昇につられると147円台半ばに持ち直し、終値は147.56円となった。

株式
 NYダウ平均  USD 31,839.11 +2.37+0.00%
 NASDAQ総合 USD 10,970.992 -228.124 -2.03%
 S&P500   USD 3,830.60  -28.51-0.73%) 

1026日の米株式市場のダウ工業株30種平均は前日の終値とほぼ横ばいとなった。朝方は弱い経済指標結果から売りが優勢だったが、長期金利の低下やクレジットカードのビザの好決算が市場を押し上げ、昼前に336ドル程、前日の終値を上回った。その後は、前日に発表された大手ハイテク株の弱い決算が意識されるとハイテク株が売られ徐々に値を下げ、前日と同じ水準で終えている。

債券
米国債10年 4.007%-0.103

商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 87.91 +2.59+3.04%)(12月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,669.20 +11.20+0.68%)(12月渡し)
 

【日本】米長期金利の低下から米ドル売りに

為替(17時)
1026日の東京外国為替市場では、時間外の米長期金利が低下し、徐々に米ドル売りが優勢となり米ドルは148円台半ばから147円台後半に下落した。

米ドル・円では、日中は決済に向けた実需の買いが入り小幅に上昇した。しかし、欧州勢参加後に長期金利の低下から米ドル売りが優勢となり、この日の安値146.81円まで値を下げ、17時時点では147.09円となった。

ユーロ・米ドルは、日中は0.995ドル付近の横ばいで推移していたが、欧州勢参加後に米ドル・円で米ドル売りが優勢となると徐々に値を上げ、等価(パリティ、1ユーロ=1.0000ドル)を上回った。920日以来の高値となる1.0035ドルまで上昇し、17時時点では1.0033ドルだった。

ユーロ・円は、米ドル・円とユーロ・米ドルの動きに影響され、値動きが出やすい状況だった。欧州勢参加後にこの日の安値147.19円を付けたが、小幅に落ち直し17時時点では147.58円で取引されている。

債券
 国債先物・2212月限  148.32 +0.32
 10年長期金利  0.250%(変化なし)

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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