長期金利の低下や中間選挙結果観測から米ドル下落

2022/11/09  7:35  JST投稿
 

【米国】

為替(11月09日6時01分)
 米ドル円(USDJPY)    145.61-145.62 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    146.66-146.66 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0071-1.0071 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    167.99-168.01 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.1536-1.1537 (米ドル)
 
11月8日のニューヨーク外国為替市場では、足元で米連邦準備理事会(FRB)の利上げ減速への懸念もある中、米中間選挙の開票を控え様子見が強まる局面もあった。朝方から長期金利が低下した影響が強く、米ドルは値を下げている。中国政府が「ゼロコロナ」政策堅持の姿勢から世界的な景気後退への懸念が出て、投資家心理の冷え込みがみられたことも大きかった。
 
金融政策の影響を受けやすい2年債と10年債(長期金利)の利回りは、87日連続で逆転(逆イールド)しており、終値ベースでは2年債が4.657%、10年債が4.128%だった。
 
米ドル・円(USDJPY)は、長期金利の低下が足かせとなり円買いが優勢だった。徐々に値を下げ、10月27日以来の安値145.31円まで値を下げた。その後は、中間選挙や10日の米消費者物価指数(CPI)発表を控えている影響もあり、値動きは限定的となり145.68円で終えている。
 
ユーロ・米ドル(EURUSD)は、長期金利の低下から米ドルが売られ、9月13日以来、約2カ月ぶりの高値1.0096ドルに上昇した。欧州時間に発表されたユーロ圏9月小売売上高(前年比、結果:-0.6%、予想-1.2%、前回:-2.0%)が予想外に落ち込まなかったことが寄与している。その後は、小幅に売られたものの等価を超えた取引が続き、終値は1.0074ドルとなった。
 
ユーロ・円(EURJPY)は、米ドル・円の動きにつられ、朝方はこの日の安値145.99円を付けた。その後、ある程度売られるとユーロ・米ドルの上昇につられ146.87円まで値を戻し、終値は146.77円だった。
 
株式
 NYダウ平均  USD 33,160.83 +333.83(+1.01%)
 NASDAQ総合  USD 10,616.200   +51.680 (+0.48%)
 S&P500      USD  3,828.11  +21.31(+0.55%) 
 
11月8日の米株式市場のダウ工業株30種平均は前日の終値を3日連続で上回った。FRBが利上げペースを減速するとの観測や長期金利の低下から、投資家心理が上向いた。米中間選挙で上院と下院でねじれが生じ株高に向かうとの見方が強まり、先行投資が行われたこともプラスに作用し3指数上昇し終えている。
 
債券
米国債10年 4.128%(-0.086)
 
商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 88.91 -2.88(-3.14%)(12月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,716.00 +35.50(+2.11%)(12月渡し)
 
 

【日本】米中間選挙控え様子見強まる

為替(17時)
11月8日の東京外国為替市場では、前日のニューヨーク市場で米中間選挙の思惑が交錯しリスク回避の姿勢から様子見の姿勢が強まった流れは続かなかった。10日の米消費者物価指数(CPI)発表を控えている影響もあり、狭い値幅での取引となっている。
 
米ドル・円は、朝方に長期金利が低下し、この日の安値146.32円を付けたが持ち直し、146.93円まで値を上げた。その後は、146.70円まで安くなり、17時時点では146.73円で取引されている。
 
ユーロ・米ドルは、米ドル・円の下落が出るとユーロが買われ1.0029ドルまで値を上げるも徐々に売りが優勢となり、17時時点では1.0000ドルとなった。
 
ユーロ・円は、小幅な動きに留まりつつも徐々に値を下げた。欧州勢参加後に売りが強まり、146.66円付近まで値を下げると持ち直し、17時時点では146.74円だった。
 
債券
 国債先物・22年12月限  148.41 (-0.07)
 10年長期金利  0.250%(変化なし)
 
 

【マーケットアナリティクス】米国選挙を前に米ドル・円が下落(11月08日)

米ドル・円は欧州取引時間には小幅な動きに留まっていたが、米国選挙の結果発表が近づくにつれ、ボラティリティ(価格変動)が大きくなっている。
 
米ドルは失速したものの、株価は上昇している。事前予測では共和党が勝つというシナリオが予想されていたが、それが事実となるか行く末を見守りたい。
 
現在、日銀の介入後に形成され始めた短期の上値が下がり、下値が切り上がるペナントフォーメーション(青い線)から抜け出しているところだ。ペナントはトレンドの継続パターンであり、下落後に形成されたものと言えるため、このような動きとなることを予測していたのだろう。
 
4時間足で旗のようなトレンド継続時に表れるフラッグの下限ラインを下に抜けた場合、売りのシグナルが発生する。この場合、まず9月に重要な上値抵抗線(レジスタンス)となった145円台の水平サポート(下値支持線・オレンジ)、そして長期上昇トレンドライン(黒)がターゲットとなる可能性がある。最初のターゲット(145円)が非常に強力に見えるため、これが実際に売り手の最初で最後のターゲットになり得ると考えられる。
 
これは一つの単なるテクニカルな見方だが、数百ビップスの動きの引き金となる素晴らしいファンダメンタルズイベントである中間選挙に向かっているのだ。主に投資家心理は強気(ブル)のままであり、それは価格が上昇トレンドライン(黒)とその後の緑の抵抗線を壊すことによって脅かされるが、その可能性は非常に低くなっている。
 
米ドル・円、デイリーチャート 11月08日(CET・中央ヨーロッパ時間)
 
引用元: “USDJPY Goes Down Ahead of the US Elections” (2022年11月08日, AXIORY Global Market News)             
追記:11月09日、日本時間6:01の米ドル・円は145.61-145.62円で取引されている

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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