2022/11/11 7:40 JST投稿
【米国】
為替(11月11日6時01分)
米ドル円(USDJPY) 141.21-141.22 (円)
ユーロ円(EURJPY) 143.99-144.00 (円)
ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0196-1.0196 (米ドル)
ポンド円(GBPJPY) 165.40-165.42 (円)
ポンド米ドル(GBPUSD) 1.1713-1.1714 (米ドル)
11月10日のニューヨーク外国為替市場では、待望の10月消費者物価指数(CPI)が発表され、予想以上の鈍化が衝撃を与えた。同時刻に発表された新規失業保険申請件数(前週比、結果:22.5万件、予想:21.9万件、前回:21.8万件)では、予想以上に増加し1ヵ月ぶりの高水準を記録している。さらに、失業保険継続受給者数(結果:149.3万件、予想:149.9万件、前回:148.7万件)も前回より増加し3月末以来で最高となった。これらの結果から米連邦準備理事会(FRB)の利上げ減速観測が強まり、発表直後に長期金利は4.12%から3.896%に低下し、10月末以来の水準を付け、最終的には3.807%まで低下した。
金融政策の影響を受けやすい2年債と10年債(長期金利)の利回りは、89日連続で逆転(逆イールド)しており、終値ベースでは2年債が4.330%、10年債が3.811%だった。
要人の発言としては、米連邦公開市場委員会(FOMC)の来年度の投票権を持つフィラデルフィア連銀のハーカー総裁は講演で明らかに制約的な水準となる4.5%程度まで政策金利を引き上げ、その後、状況を見ながら利上げを一時的に停止することも容認されると指摘した。その上で「必要であれば引き締めを継続することも可能」と述べている。さらに、ダラス地区連銀のローガン総裁も「利上げペースの鈍化が近く適切になる可能性がある」との認識を示した。
また、米ウォールストリート・ジャーナルのFEDウォッチャー、ニック・ティミラオス記者からもハト派的な発言があった。「10月のインフレレポートは、FRBが50ベーシスポイントの利上げに向けて順調に進んでいることを示している」と述べており、これらの発言が影響を与えた。
米ドル・円(USDJPY)は、予想外にCPIが鈍化し、FRBの利上げ鈍化観測が強まり、米ドル売りが加速した。発表直後に146円から9月23日来の安値143.18円まで値を下げた。さらに、要人のハト派的な発言から投資家心理が冷え込んだ影響も大きく、さらに米ドルが売られ9月5日以来の安値140.21円まで安くなっている。その後は、小幅に持ち直し終値は140.98円となった。
ユーロ・米ドル(EURUSD)は、米ドル売りが優勢となった影響を受け、CPI発表後にこの日の安値0.9936ドルから9月13日来の高値1.0159ドルまで上昇した。その後も堅調に値を上げ、8月15日以来、約3カ月ぶりの高値1.0222ドルを付け、終値は1.0209ドルだった。
ユーロ・円(EURJPY)は、米ドル・円で円買いが強まった動きにつられ146.11円から144円前半まで低下すると動きが停滞したが、再び円買いが強まった。この日の安値143.21円まで下落し、143.91円で終えている。
株式
NYダウ平均 USD 33,715.37 +1201.43(+3.69%)
NASDAQ総合 USD 11,114.147 +760.972 (+7.35%)
S&P500 USD 3,956.37 +207.80(+5.54%)
11月10日の米株式市場のダウ工業株30種平均は前日の終値を大幅に上回った。CPIが予想以上に鈍化し利上げペースの鈍化観測の強まり、長期金利の低下から投資家心理が上向いている。幅広い銘柄が買われ、終日で前日の終値を上回った取引が続き、終了間際には前日の終値を1213ドル上回った。これは2020年4月以来、約2年半ぶりの上げ幅となり、3指数とも堅調に上昇して終えている。
債券
米国債10年 3.811%(-0.331)
商品
NY原油(WTI) 1バレル=USD 86.47 +0.64(+0.75%)(12月渡し)
NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,753.70 +40.00(+2.33%)(12月渡し)
【日本】リスクオフムードと様子見の姿勢強まる
為替(17時)
11月10日の東京外国為替市場では、低調な米国株取引や暗号資産(仮想通貨)市場の混乱、さらに米国の中間選挙の動向から投資家心理が冷え込み、リスクオフムードが広がった。10月米消費者物価指数(CPI)の発表を控え、様子見の姿勢も出ている。
暗号資産市場の混乱は、世界最大の暗号資産取引所バイナンスが同業のFTXトレーディングの米国以外の事業部門FTX.comを買収する方針を一夜で撤回したことに端を発した。
また、複数の要人発言があったが、リスクオフの姿勢や米CPIの発表を控え影響は軽微だった。
・日本銀行の黒田総裁(岸田首相と会談後)
「構造的な賃上げを伴う経済成長と物価安定の目標の持続的・安定的な実現を図っていくとの認識で岸田文雄首相と一致した」
・ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁(講演)
FRBの利上げはまだ終わっていないと強調し、「政策転換を巡る議論は全く時期尚早だ」と指摘。「インフレを抑えるためにあらゆる手段を講じる」と言及。
・ビルロワドガロー仏中銀総裁(ラジオ出演)
「フランス経済は予想よりも持ちこたえている」
「限定的かつ一時的なリセッション(景気後退)の可能性は残るが、景気の急激な失速にはならないだろう」
米ドル・円は、リスクオフの姿勢が強く低調な取引が続いた上、米CPIの発表を控え様子見の姿勢も強く、値動きは限定的だった。一時、この日の安値146.04円まで値を下げたが、欧州勢参加後に米長期金利の上昇から、持ち直し17時時点では146.29円となった。
ユーロ・米ドルは、等価を超えた取引が続き小幅な上昇を続けたが、欧州勢参加後にリスクオフの姿勢が強まり、米ドル買いが優勢だった。この日の高値1.0043ドルを付けたが、徐々に低下し再び等価を割り込み17時時点では0.9998ドルだった。
ユーロ・円でも、ユーロ・米ドルの動きにつられ小幅な動きに終始していたが、欧州勢参加後に円買いが強まった。146.74円を付けた後、17時時点では146.27円で取引されている。
債券
国債先物・22年12月限 149.11 (+0.26)
10年長期金利 0.245%(-0.005)