米長期金利低下が重しの中、方向性は定まらず

2022/11/17  7:46  JST投稿

【米国】

為替(11月17日6時00分)
米ドル円(USDJPY) 139.44-139.44 (円)
ユーロ円(EURJPY) 144.96-144.96 (円)
ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0396-1.0396 (米ドル)
ポンド円(GBPJPY) 166.16-166.17 (円)
ポンド米ドル(GBPUSD) 1.1916-1.1917 (米ドル)

11月16日のニューヨーク外国為替市場では、10月米小売売上高(結果:1.3%、予想:1.0%、前回:0.0%)が予想以上に増加し、8カ月ぶりの大きさを記録した。自動車を除いた小売売上高(結果1.3%、予想:0.5%、前回:0.1%)となっている。

また、同時刻に発表された10月米輸入物価指数(結果:-0.2%、予想:-0.4%、前回:-1.2%)では、4カ月連続減となるも市場予想を上回った一方で、10月米鉱工業生産(結果:-0.1%、予想:0.2%、前回:0.1%)が市場予想を下回るなど、強弱が入り混じった結果となった。

金融政策の影響を受けやすい2年債と10年債(長期金利)の利回りは、92日連続で逆転(逆イールド)しており、終値ベースでは2年債が4.365%、10年債が3.690%だった。

なお、複数の金融高官のハト派的な発言があった。まず、カンザスシティ連銀ジョージ総裁は「利上げを継続する必要はあるが、来年はペースを緩めるべき」「景気後退を引き起こすことなくインフレを低下させることは困難」と述べた。さらに、ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事が「最近の指標を踏まえれば、12月会合では0.50%の利上げが妥当」と述べており、これらの発言を受け、長期金利が10月5日以来の低い水準の3.69%に低下している。

米ドル・円(USDJPY)は、経済指標に左右され緩やかに上下した。一時、140.03円まで値を上げたが、金融高官のハト派的な発言や長期金利の低下から値を下げ終値は139.50円となった。

ユーロ・米ドル(EURUSD)は、欧州時間にこの日の高値1.0438ドルを付けたが、欧州の景気後退が意識され徐々に値を下げた。一時、1.0438ドルまで値を上げるも失速し、1.0355ドルまで値を下げ、その後は持ち直し1.0395ドルで終えている。

ユーロ・円(EURJPY)は、ユーロ・米ドルの上昇につられ朝方にこの日の高値145.50円を付けたが、徐々に低下し144.58円まで値を下げた。その後は欧州中央銀行(ECB)の政策委員会メンバー、フランス銀行(中銀)のビルロワドガロー総裁の発言から持ち直した。ビルロワドガロー総裁は、「インフレに対峙に向け恐らく来月も追加利上げを実施し、政策金利が2%前後の正常なレンジになる」との見通しを示している。終値は145.03円だった。

株式
NYダウ平均 USD 33,553.83 -39.09(-0.11%)
NASDAQ総合  USD 11,183.659   -174.751 (-1.53%)
S&P500     USD  3,958.79 -32.94(-0.82%)

11月16日の米株式市場のダウ工業株30種平均は前日の終値を下回った。ダウ平均の構成銘柄ではないが、ディスカウントストア大手のターゲットの弱い決算内容を受け、年末商戦の消費への懸念が出て荒い値動きとなった。前日に発表されたウォルマートとは対照的な内容ということも、投資家心理に与えた影響が大きい。一方で、景気に左右されにくいディフェンシブ銘柄が買われ上昇しており、値動きが激しい一日だったが、最終的に小幅に前日の終値を下まわり終えた。

債券
米国債10年 3.690%(-0.109)

商品
NY原油(WTI) 1バレル=USD 85.59 -1.33(-1.53%)(12月渡し)
NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,775.80 -1.00(-0.06%)(12月渡し)
 

【日本】地政学リスクの後退から投資家心理上向く

為替(17時)
11月16日の東京外国為替市場では、ポーランドへ着弾したミサイルはロシアが発射したものではないとのバイデン大統領の発言を受け高まっていた地政学リスクが落ち着いた。その一方で、10月の米生産者物価指数(PPI)の伸びが市場予想を下回ったことを受け、金融引き締めが加速するとの期待感が後退し値動きが抑制されている。

米ドル・円では、地政学リスクの後退から時間外の米長期金利が上昇し、この日の高値140.29円まで上昇した。しかし、米長期金利の低下や金融引き締めへの期待感が後退から徐々に値を下げ、境目の140円を下回った。139.20円まで下落するも、小幅に値を戻し17時時点では139.37円となった。

ユーロ・米ドルは、地政学リスクの後退から買い戻しが入り徐々に上昇し1.0383ドルまで上昇するも反動で売られた。その後は、米長期金利の低下から米ドルが売られるとユーロが徐々に買い戻され、17時時点では1.0402ドルだった。

ユーロ・円では、地政学リスクの緩和からユーロ買いが優勢となり143.57円から145.26円まで値を伸ばし、17時時点では144.98円で取引されている。

債券
国債先物・22年12月限 149.36 (-0.07)
10年長期金利 0.240%(変化なし)

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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