強い米経済指標から米ドル買い強まる

2022/12/06  7:50  JST投稿

【米国】

為替(12月06日6時00分)
 米ドル円(USDJPY)    136.80-136.80 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    143.46-143.47 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0487-1.0487 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    166.61-166.63 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.2180-1.2180 (米ドル)

12月5日のニューヨーク外国為替市場では、朝方に発表された11月米ISM非製造業景況指数が予想外に上昇したことがプラスに作用した。生産に相当する業況指数の伸びが2021年3月以来の大きさとなり、サービス業の活動が堅調であることが示されている。また、中国のゼロコロナ政策緩和による投資家心理の上向きもプラスとなった。

朝方に発表された11月のISM非製造業景況指数(結果:56.5、予想:53.5、前回:54.4)では、低下の予想に反して上昇した上、10月製造業受注(前月比、結果:1.0%、予想:0.7%、前回:0.3%)が6月以来で最大となった。さらに、11月サービス業PMI改定値(結果:46.2、予想:46.1、前回:46.1)は、5ヵ月連続で活動を図る目安の50を下回ったが速報値を上回っている。総合PMI改定値(結果:46.4、予想:46.3、前回:46.3)では、10月から低下するも速報値から上方修正されたが5ヵ月連続で50を下回った。

なお、ウォールストリートジャーナル(WSJ)紙のFedウォッチャーのニック記者の「FRBは12月の利上げ幅が減少するも、来年さらに金利を上昇させることを検討している」との記事が注目されたことも長期金利の上昇につながっている。

金融政策の影響を受けやすい2年債と10年債(長期金利)の利回りは、104日連続で逆転(逆イールド)しており、終値ベースでは2年債が4.396%、10年債が3.583%だった。

米ドル・円(USDJPY)は、良好な11月ISM非製造業景況指数から、米連邦準備理事会(FRB)による利上げ長期化観測が強まり、米ドル買いが強まった。米長期金利が3.612%に上昇したこともプラスとなり、この日の高値136.86円まで値を上げ終値は136.75円となった。

ユーロ・米ドル(EURUSD)は、中国のゼロコロナ政策緩和による投資家心理の上向きやアイルランド中銀のマクルーフ総裁による「12月会合は0.5%の利上げで最終的に落ち着くと思う」「その後、数回の会合で追加利上げがあるだろう」とのタカ派的な発言からユーロ買いが強まり、6月28日以来の高値1.0595ドルを付けた。しかしながら、良好な米経済指標から米ドル買いが強まると徐々に値を下げ、この日の安値1.0481ドルまで値を下げ1.0491ドルで終えている。

ユーロ・円(EURJPY)は、ユーロ・米ドルの上昇につられ、この日の高値143.62円まで値を上げた。その後は、動きが停滞し、ほぼ横ばいで推移し終値は143.50円となった。

株式
 NYダウ平均  USD 33,947.10 -482.78(-1.40%)
 NASDAQ総合  USD 11,239.937   -221.560 (-1.93%)
 S&P500      USD  3,998.84  -72.86(-1.78%) 

12月5日の米株式市場のダウ工業株30種平均は前日の終値を下回った。米ISM非製造業景気指数の良好な結果から、FRBの利上げ長期化観測が強まり投資家心理が冷え込んだ。消費関連株が中心となり幅広く売られ、一時、580ドル超まで前日の終値を下回る場面もあり、3指数揃って値を下げ終えている。

債券
米国債10年 3.583%(+0.08)

商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 81.22 +0.67(+0.83%)(1月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,781.30 -28.30(-1.56%)(2月渡し)
 

【日本】中国ゼロコロナ政策緩和から投資家心理上向く

為替(17時)
12月5日の東京外国為替市場では、朝方には輸入代金の支払いに向けた米ドルやユーロ買いが優勢となった。その後は、米ISM非製造業景気指数の発表を控え大きな動きが抑制された。一方で、中国では感染者数が高止まりしているにも関わらず、ゼロコロナ政策の一部を緩和し投資家心理が上向いた。上海市では地下鉄などの公共交通機関や公園などの屋外の公共施設を利用する際に求められていたPCR検査の陰性証明の提示が不要となっている。

米ドル・円は米経済指標の発表が意識され大きな動きが出にくい中、朝方は決済代金の支払いに向けた米ドル買いにより小幅に上昇した。その後、徐々に値を下げた後は、ほぼ横ばいで推移したものの、中国のゼロコロナ政策の緩和を受けた投資家心理の上向きから再び米ドル買いに転じ、17時時点では135.11円となった。

ユーロ・米ドルでは、午前中は決済に向けたユーロ買いが優勢だったが、米ドル・円の上昇につられ欧州勢参加後から徐々に値を下げ17時時点では1.0539ドルだった。

ユーロ・円は、米ドル・円の上昇につられ堅調に値を上げ、この日の高値142.68円まで値を上げた。しかしながら、ユーロ・米ドルの下落につられ小幅に値を下げ、17時時点では142.41円で取引されている。

債券
 国債先物・22年12月限  148.83 (-0.11)
 10年長期金利  0.250%(変化なし)

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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