FRBの長期利上げ観測から米ドルは堅調

2022/12/07 740 JST投稿

【米国】

為替(1207600分)
 米ドル円(USDJPY)    136.95-136.96 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    143.39-143.39 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0401-1.0470 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    166.23-166.24 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.2137-1.2138 (米ドル)

126日のニューヨーク外国為替市場では、経済指標の発表が限定的だったことから大きな動きが出にくい状況だが、日米金利差が意識され小幅ながら堅調な取引が続いた。先週末に発表された11月の雇用統計や前日の11月米ISM非製造業指数が予想外に改善したことで、米連邦準備理事会(FRB)の利上げが長期に及ぶとの観測が強まった影響も大きかった。

また、影響は軽微だったが、この日朝方に発表された10月 の米貿易収支(結果:-7820億ドル、予想:-7700億ドル、前回:-773億ドル)は、赤字幅が拡大し6月以来で最大となっている。

金融政策の影響を受けやすい2年債と10年債(長期金利)の利回りは、105日連続で逆転(逆イールド)しており、終値ベースでは2年債が4.366%10年債が3.531%だった。

米ドル・円(USDJPY)は大きな動きはないものの、FRBの長期利上げ観測の強まりから堅調だった。朝方は利益確定売りに押され、この日の安値135.97円を付けたが、徐々に値を戻し137円台を回復した。終了間際に小幅に値を下げ、終値は137.00円だった。

ユーロ・米ドル(EURUSD)は、レーンECB専務理事兼チーフ・エコノミストの発言による影響や堅調な米ドル買いに押された。レーン理事は欧州時間の朝方に、追加利上げが見込まれるが、消費者物価の上昇率は恐らくピークに近いとの認識を示した。また、「インフレ率は来年6-7%へと低下するだろう」との私見を述べている。この発言を受け1.0476ドル付近まで値を下げた。その後、10月独製造業新規受注(前月比:結果:0.8%、予想:0.2%、前回:-4.0%)が予想外に上回りユーロが買われ、この日の高値1.0533ドルを付けた。その後は、米ドル買いの強まりに押され徐々に値を下げると、この日の安値1.0459ドルを記録し終値は1.0467ドル となった。

ユーロ・円(EURJPY)は、米ドル・円とユーロ・米ドル両方の動きを受け、方向性の欠いた動きとなった。小幅な動きに留まり143.39円で終えている。

株式
 NYダウ平均  USD 33,596.34 -350.76-1.03%
 NASDAQ総合 USD 11,014.890 -225.047 -2.00%
 S&P500   USD 3,941.26  -57.58-1.43%) 

126日の米株式市場のダウ工業株30種平均は連日で前日の終値を下回った。FRBの利上げ長期化への懸念の強まりから投資家心理が冷え込んでいる。ハイテク株や景気敏感株が売られ、朝方に小幅な上昇が起こった以外は、前日の終値を下回る取引が続いた。金融大手のトップによる景気への懸念に関する発言も影響し、3指数揃って値を下げ終えている。

債券
米国債10年 3.531%-0.068

商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 74.25 -2.68-3.48%)(1月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,782.40 +1.10+0.06%)(2月渡し)
 

【日本】米ドルは米長期金利上昇から堅調に

為替(17時)
126日の東京外国為替市場では、前日に発表された米ISM非製造業景気指数が予想外に改善し、米金利が上昇している。

また、オーストラリア準備銀行(中央銀行)は0.25%の利上げを決め、更なる利上げを示唆し、オーストラリアドルは堅調だった。発表後に対米ドルで0.6738ドル付近、対円でも92.25円付近に上昇している。

米ドル・円は、時間外の米長期金利が上昇し徐々に米ドル買いが強まり、この日の高値137.43円に値を上げた。その後、利益確定売りが入り、小幅に値を下げ17時時点では136.94円となった。

ユーロ・米ドルでは、米ドル・円の動きにつられた。朝方は米ドルの下落につられた小幅な下落が出たが、欧州景気後退への懸念から利益確定売りが出て小幅に値を下げた。その後持ち直し、17時時点では1.0491ドルだった。

ユーロ・円は、米ドル・円の上昇につられ、この日の高値144.00円まで値を上げた。その後は、利益確定売りに押され徐々に値を下げ、17時時点では143.66円で取引されている。

債券
 国債先物・2212月限  148.84 +0.01
 10年長期金利  0.250%(変化なし)
 

【マーケットアナリティクス】ユーロ・ポンドは、依然として0.858の下値支持線を苦しめる(126日)

12月のユーロ・ポンド(EURGBP)は、0.858(青)付近の重要な長期水平の下値支持線(サポート)上で推移しており、非常に重要な攻防が繰り広げられている。この攻防の結果は、今後数週間から数ヶ月の方向性を決定することになる。買い手は今のところポジティブな姿勢を崩していないかもしれないが、いつまで続くかは予測不可能だ。

0.8588月以降の、下値支持線となっている。それ以来、何度か試されてきたが常に防御され、このエリアとの接触は上昇につながった。直近では、12月初旬に、このエリアに以前よりも深く入り込み、ブレイクアウトへの懸念が高まっている。

今朝は11月中旬からの下値を結んだ中期下降トレンドラインを、突破する反撃に出た。しかし、その上昇を維持することができず、再び下降に転じた。このように、勝敗をはっきりさせるのは非常に難しい状況だ。

今の状況をどうトレードするか?私の考えでは、ブレイクアウトを待つのが一番だと思う。青色のエリアより下で1日終えると強い売りのシグナルとなり、週足の高値に近いところで1日終えると買いのシグナルになる。今のところ、弱気の圧力がまだあり売り手が諦めていないため、最初のシナリオの可能性がやや高いように思われる。


ユーロ・ポンド、デイリーチャート 126日(CET・中央ヨーロッパ時間)

引用元: “EURGBP still harassing the 0.858 support2022126, AXIORY Global Market News)  
                
追記:127日、日本時間6:00のユーロ・ポンドは0.8625-0.8625ポンドで取引されている

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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