長期金利の動きにつられ米ドルは徐々に値を下げる

2022/12/08  7:51  JST投稿

【米国】

為替(12月08日6時43分)
 米ドル円(USDJPY) 136.54-136.55 (円)
 ユーロ円(EURJPY) 143.49-143.49 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0508-1.0508 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY) 166.70-166.73 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.2208-1.2209 (米ドル)

12月7日のニューヨーク外国為替市場では、長期金利の動きに左右された。米連邦準備理事会(FRB)による積極的な金融引き締めが経済を悪化させるとの懸念が強まり、長期金利が9月15日以来の低い水準の3.402%まで低下し、リスク回避の姿勢が強まった。プーチン大統領が大統領府の人権評議会の会合で、「世界で核戦争の脅威が高まっており、自国と同盟国を防衛するためにはあらゆる必要な手段を用いる」と核を使用する用意があることを示唆している。この発言も投資家心理に影響を与えた。

金融政策の影響を受けやすい2年債と10年債(長期金利)の利回りは、106日連続で逆転(逆イールド)しており、終値ベースでは2年債が4.264%、10年債が3.42%だった。

また、カナダ銀行(BOC)は政策金利を0.50%引き上げ4.25%に決定した。当初の予想では0.25%の利上げに留まると思われていたため、発表後にカナダドルが買われた。対米ドルで1.3680カナダドルから1.3590カナダドルまで下落し、対円では99.92円から100.60円に上昇した。しかしながら、利上げ終了が示唆されるとカナダドル買いは続かなかった。

米ドル・円(USDJPY)は、長期金利の動きに翻弄された。東京時間に上昇した反動から利益確定売りにも押され、徐々に値を下げ、この日の安値136.22円を付けた。プーチン大統領が核使用を示唆したことや景気後退懸念への不安からリスク回避の姿勢が強く上値は重く、その後小幅な上昇に留まり、終値は136.62円ととなった。

ユーロ・米ドル(EURUSD)では、第3四半期(7-9月期)ユーロ圏GDP確報値(前期比、結果:0.3%、予想:0.2%、前回:0.2%)が予想を上回り、欧州の景気悪化懸念が和らいだことがプラスとなった。ユーロ買いが優勢となり、朝方にこの日の高値1.0550ドルまで値を上げた。6日の6月28日以来の高値1.0595ドルが上値抵抗線(レジスタンス)として意識されると徐々に値を下げ、プーチン大統領の発言も影響し終値は1.0506ドルにとどまっている。

ユーロ・円(EURJPY)では好調なユーロ圏GDP速報値からユーロ買いが強まり、朝方にこの日の高値144.58円まで値を伸ばした。その後は、リスク回避のリスクオフや利益確定売りに押され、143.52円で終えている。

株式
 NYダウ平均 USD 33,597.92 +1.58(+0.00%)
 NASDAQ総合  USD 10,958.553   -56.337 (-0.51%)
 S&P500     USD  3,933.92 -7.34(-0.18%)

12月7日の米株式市場のダウ工業株30種平均は連日で前日の終値と同水準で終えた。FRBの利上げ長期化への懸念の強まりが強く、連日でハイテク株や景気敏感株が売られた。一時、長期金利が低下した場面では、178ドル程前日の終値を上回る場面もあったが、ディフェンシブ株中心に買いが進み、前日と同水準まで値を戻した。

債券
 米国債10年 3.42%(-0.093)

商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 72.01 -2.24(-3.02%)(1月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,798.00 +15.60(+0.88%)(2月渡し)
 

【日本】米ドルは米長期金利の動きに連動

為替(17時)
12月7日の東京外国為替市場では、時間外の米長期金利の上昇がプラスとなり、これまで売られ過ぎていた米ドルを買い戻す動きが出て137円後半まで値を上げる場面もあった。

米ドル・円は、堅調に上昇した。米長期金利の上昇から米ドル買いにつながり、この日の高値137.86円を付けた。しかし、長期金利の低下や株安からリスク回避の姿勢が強まり小幅に値を下げ137.31円となり、17時時点では137.44円となった。

ユーロ・米ドルでは、大きな動きが出ず小幅な上昇に留まった。この日の高値1.0477ドルを付けるも、徐々に値を上げこの日の安値1.0443ドルまで値を下げた。その後は、再び上昇基調となり、
17時時点では1.0458ドルだった。

ユーロ・円は、米ドル・円の上昇につられた。この日の高値144.05円まで値を上げるも買いは続かず、17時時点では143.75円となっている。

債券
 国債先物・22年12月限 149.15 (+0.31)
 10年長期金利 0.250%(変化なし)

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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