長期金利上昇から米ドルは堅調ながら様子見強まる

2022/12/13 733 JST投稿

【米国】

為替(1213610分)
 米ドル円(USDJPY)    137.70-137.70 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    145.09-145.09 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0536-1.0537 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    168.95-168.96 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.2269-1.2270 (米ドル)

1212日のニューヨーク外国為替市場では、10年債入札が不調となり長期金利が上昇し米ドルは堅調に推移した。最高落札利回りは3.625%となり、応札倍率は2.31倍と過去6回入札平均の2.4倍を下回っている。海外の中央銀行や大手機関投資家を含む間接入札者の比率は59.45%と、過去6回の入札平均の62.8%を下回った。一方で、11月米消費者物価指数(CPI13日)、米連邦公開市場委員会(FOMC1314日)を控え、積極的な取引は抑制されている。

また、ニューヨーク連銀の期待インフレ率が発表され、1年後が5.2%10月の5.9%から低下し、2013年の調査開始以来最大の低下幅を記録した。3年後が3.0%5年後は2.3%と、それぞれ10月の3.1%、、2.4%から低下している。

金融政策の影響を受けやすい2年債と10年債(長期金利)の利回りは、109日連続で逆転(逆イールド)しており、終値ベースでは2年債が4.382%10年債が3.617%だった。

米ドル・円(USDJPY)は、長期金利が3.52%から徐々に上昇し、低調な10年債入札を境に3.632%まで上昇しプラスに作用した。堅調に値を上げるも、一時ニューヨーク連銀の期待インフレ率が低下すると値を下げる場面もあった。その後、再び値を上げ高値137.85円を付け、終値は137.67円となった。

ユーロ・米ドル(EURUSD)は、米長期金利の低下からユーロ買いが強まり高値1.0580ドルを付けるも、前週末の高値1.0588ドルや628日以来の高値1.0595ドルが上値抵抗線(レジスタンスとして意識され上昇は限定的だった。その後は、長期金利の上昇から米ドル買いが強まると徐々に値を下げ、15日の欧州中央銀行(ECB)理事会やFOMCが意識されると積極的な取引は控えられ、1.0537ドルで終えた。

ユーロ・円(EURJPY)では、朝方はユーロ買いが強まり高値145.10円まで値を上げた。その後は、FOMCECB理事会を控え調整売りや様子見の姿勢が強まり終値は145.05円となった。

株式
 NYダウ平均  USD 34,005.04 +528.58+1.57%
 NASDAQ総合 USD 11,143.738 +139.121 +1.26%
 S&P500   USD 3,990.56  +56.18+1.42%) 

1212日の米株式市場のダウ工業株30種平均は前日の終値を上回った。前週に953ドル下げた反動から景気敏感株が中心に買われ、堅調に値を上げている。一方でCPIFOMCを控え、日中は様子見の姿勢が強まる場面もあった。

債券
米国債10年 3.617%+0.05

商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 73.17 +2.15+3.03%)(1月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,792.30 -18.40-1.02%)(2月渡し)
 

【日本】CPIFOMC控え様子見強く

為替(17時)
1212日の東京外国為替市場は、9日に発表されたPPIが予想を上回り利上げ長期化観測が強まっている。一方でCPIFOMCを控え、積極的な取引は控えられている。

米ドル・円は、136円後半で小幅な取引にとどまった。朝方は時間外の米長期金利が上昇し137円台に乗せる場面もあったが、積極的な取引は控えられ136円後半で推移した。欧州勢参加後に高値137.13円を付ける場面もあったが、17時時点では136.68円となっている。

ユーロ・米ドルでは、朝方に米ドル・円が上昇すると小幅に値を下げ1.05ドル前半の小幅な値動きで推移した。欧州勢参加後に発表された10月英月次GDP(前月比、結果:0.5%、予想:0.3%、前回:-0.6%)が上昇すると徐々に値を上げ17時時点では1.0527ドルで取引されている。

なお、その後発表された10月英鉱工業生産(前月比、結果:0.0%、予想:0.1%、前回:0.2%)で弱い結果が示され、ポンドは売りが出て対ドルで1.2209ドル、対円で167.30円、対ユーロで0.8604ポンドとなっているが、その後は小幅に買い戻されている。

ユーロ・円は、16時頃まで小幅な買いが続き値を上げ高値144.16円を付けたが徐々に値を下げ17時時点では143.88円だった。

債券
 国債先物・233月限  148.43 +0.25
 10年長期金利  0.250%(変化なし)
 

【マーケットアナリティクス】米ドル・スイスフランは先週からの売りシグナルを確認(1212日)

月曜日、米ドルにとってあまり喜ばしい始まりではなかった。米ドルは現在最も弱い通貨の一つであり、本日注目したいのは米ドル・スイスフラン(USDCHF)だ。現在、0.35%の下落で、主要通貨の中で最も弱い組み合わせの一つである。この下落は、重要な場所で起こっているため、ランダムな出来事ではなく、実際に重要な長期的な売りシグナルを与えているのだ。

11月後半と12月の最初の数日間、USDCHFは重要な下値支持線(サポート)を試した。実際には、0.937の水平線(黄色)とダイナミック線(長期上昇トレンドライン(黒色))の2つのサポートがある。水平のものは20219月末から、動的なものは2021年初めからここにある。

先週末にはこの2つのサポートを突破(ブレイクアウト)し、月曜日にはこのネガティブな投資家心理が確認された。買い手は消え、現段階では需要もかなり薄くなっている。現在の動きのターゲットとなり得るのは、0.909(緑)の水平方向のサポートで、そこに到達する可能性はかなり高いと思われる。

逆のシナリオは、USDCHF0.937の上に戻ってくることだが、その可能性はかなり低いだろう。しかし、今週はスイスと米国の金利が決定されるため、何が起こるかわからない。価格変動(ボラティリティ)が大幅に高まる可能性があるため、このペアを取引する際は安全を確保することをおすすめする。


米ドル・スイスフラン、デイリーチャート 1212日(CET・中央ヨーロッパ時間)

引用元: “USDCHF confirms the sell signal from last week20221212, AXIORY Global Market News)     
                
追記:1213日、日本時間6:00の米ドル・スイスフランは0.9363-0.9363スイスフランで取引されている

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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