CPIの弱い結果受け米ドル急落 FOMC前の様子見も強く

2022/12/14  7:40  JST投稿

【米国】

為替(12月14日6時00分)
 米ドル円(USDJPY) 135.60-135.61 (円)
 ユーロ円(EURJPY) 144.14-144.15 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0629-1.0629 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY) 167.62-167.64 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.2360-1.2361 (米ドル)

12月13日のニューヨーク外国為替市場では、朝方に発表された注目の11月米消費者物価指数(CPI、前月比、結果:0.1%、予想:0.2%、前回:0.4%)が予想以上に鈍化し、8月以来で最小の伸びを記録し、急激な米ドル売りにつながった。前年比のCPI(結果:7.1%、予想:7.3%、前回:7.7%)では5カ月連続の鈍化で昨年12月来で最小を記録。食品・エネルギー除くコアCPIの前月比(結果:0.2%、予想:0.3%、前回:0.3%)は昨年8月来で最小、コアCPIの前年比(結果:6.0%、予想:6.1%、前回:6.3%)では7月以来で最小の伸びとなった。これらの結果を受け、長期金利が3.61%から3.43%に急落した。

一方で、翌日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の公表を控え、米ドルの急落後は積極的な取引は抑制されている。

金融政策の影響を受けやすい2年債と10年債(長期金利)の利回りは、110日連続で逆転(逆イールド)しており、終値ベースでは2年債が4.214%、10年債が3.501%だった。

米ドル・円(USDJPY)は、朝方に発表されたCPIの弱い結果の影響が大きかった。この結果を受け、米連邦準備理事会(FRB)が利上げペースを鈍化させるとの観測が強まり、長期金利が低下し全般米ドル売りが出て急落した。機関投資家を中心とした損切りの売りが出たことも大きく、5日以来の安値134.66円を付けた。その後は長期金利が徐々に上昇すると小幅な買い戻しがでたがFOMCの公表を翌日に控え、様子見の姿勢が強く135.59円で終えた。

ユーロ・米ドル(EURUSD)では、12月独ZEW景況感指数(結果:-23.3、予想:-27.0、前回:-36.7)が予想を上回り投資家心理が上向いた上、米CPIの弱い結果から全般米ドル売りになると6月9日以来、6ヵ月ぶりの高値1.0673ドルを付けた。その後は小幅に値を上げるもFOMCを前に動きは鈍く、終値は1.0633ドルとなった。

ユーロ・円(EURJPY)では、ユーロ・米ドルの上昇につられた買いが小幅に入ったが、米ドル・円の急落を受けると安値143.53円まで売りが進んだ。その後は動きが鈍かったが、小幅に値を戻し終値は144.15円だった。

株式
 NYダウ平均 USD 34,108.64 +103.60(+0.30%)
 NASDAQ総合  USD 11,256.814   +113.076 (+1.01%)
 S&P500     USD  4,019.65 +29.09(+0.72%)

12月13日の米株式市場のダウ工業株30種平均は連日で前日の終値を上回った。朝方に発表されたCPIが市場予想を下回り長期の利上げへの警戒感が減退し、投資家心理が上向いた。一時、前日の終値を707ドル上回る場面もあったが、利益確定売りやFOMCの結果を見極めたいとの思いが出て、徐々に値を下げ前日の終値を下回る場面もあった。その後は、前日の終値を上回るほど値を戻すも、上昇は限定的だった。

債券
 米国債10年 3.501%(-0.11)

商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 75.39 +2.22(+3.03%)(1月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,825.50 +33.20(+1.85%)(2月渡し)
 

【日本】CPIやFOMC控え希薄な値動きに

為替(17時)
12月13日の東京外国為替市場は、11月の米消費者物価指数(CPI)や米連邦公開市場委員会(FOMC)の発表を控え、積極的な取引が控えられた。

米ドル・円は、極めて限られた狭い値幅での取引となった。欧州勢参加後に米長期金利の低下により小幅に値を下げ安値137.32円を付け、17時時点では137.40円となった。

ユーロ・米ドルでも、様子見の姿勢が強く狭い値幅での取引となった。安値1.0531ドルから高値1.0560ドルまで値を上げ、17時時点では1.0553ドルとなっている。

ユーロ・円は、大きな金融イベントを控え様子見の姿勢が強く、安値144.82円から高値145.35円での取引だった。欧州勢参加後は小幅に値を下げ17時時点では145.00円で取引されている。

債券
 国債先物・23年3月限 148.05 (-0.13)
 10年長期金利 0.250%(変化なし)
 

【マーケットアナリティクス】インフレは問題を提起し続けるのか?(12月13日)

発表されたCPIは予想より悪く、前月より低い結果となった。月次インフレ率は、予想の0.3%、前月の0.4%に対し0.1%、年間インフレ率は、予想の7.3%、前月の7.7%に対し7.1%であった。市場の反応は、ドル安・株高という分かりやすいものとなった。

前日には英国のGDP、鉱工業生産、製造業生産が予想を上回り、英ポンドにポジティブな影響を与える充実した経済指標が発表された。今のところ、米ドル、ポンドともネガティブな感情は出ていない。GBPUSD は現在、高値で取引されている。

今日の上昇で、GBPUSD は 2022 年 6 月以来の高水準に達した。最近の強気トレンドは、非常にテクニカルなものでもあった。価格は3つの長方形(青い線)を作り、それぞれの長方形は前よりも小さくなっている。CPI後の上昇は、価格が最後のトライアングルの端にあり、主要な上昇トレンドライン(赤)の上にあったため、非常にタイミングよくやってきた。

ポンドでは適切な買いシグナルが点灯しており、価格が赤いライン上にある限りポジティブな投資家心理が続くだろう。このラインを下回れば即座に売りシグナルとなるが、その可能性はかなり低くなっている。

ポンド・米ドル、デイリーチャート 12月13日(CET・中央ヨーロッパ時間)

引用元: “Will inflation keep posing a problem?” (2022年12月13日, AXIORY Global Market News)
     
追記:12月14日、日本時間6:00のポンド・米ドルは1.2360-1.2361ドルで取引されている

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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