ウクライナの緊張緩和からユーロが堅調に

2022/03/10 7:41 JST投稿

 

【米国】

  • 為替(3月10日6時00分)

米ドル円(USDJPY) 115.81-115.81 (円)
ユーロ円(EURJPY) 128.20-128.20 (円)
ユーロ米ドル(EURUSD) 1.1069-1.1070 (米ドル)
ポンド円(GBPJPY) 152.67-152.68 (円)
ポンド米ドル(GBPUSD) 1.3183-1.3183 (米ドル)

3月8日のニューヨーク外国為替市場の主なトピックスは、ウクライナ情勢が一時的に融和に傾いていることが投資家心理をやわらげた。ウクライナのゼレンスキー大統領が北大西洋条約機構(NATO)加盟を断念する可能性を示唆。さらに、ラブロフ外相がウクライナのクレバ外相と協議するためトルコに向かうとの報道から状況の改善に期待が高まった。そして、ウクライナでの一般市民の避難を目的とした一時的な交戦停止もプラスとなった。この影響から長期金利が1.9%半ばまで上昇し、株高となり、エネルギーや小麦などの商品価格が値を下げ、インフレ懸念が和らいだこともプラスとなった。

ユーロ・米ドル(EURUSD)は、1.08ドル後半から1.10ドル後半に値を上げた。ウクライナ情勢の和らぎから値を上げ、この日の高値1.1095ドルまで買われた。その後は明日の欧州中央銀行(ECB)理事会や2月米消費者物価指数(CPI)の発表を控え、様子見となり横ばいで推移し終値は1.1076ドルだった。

ユーロ・円(EURJPY)は、126円半ばから128円半ばに値を上げた。ウクライナ情勢が良好な方向に向かっていると好感され大幅に値を上げ、128.47円まで買われた。その後は、明日の金融イベントを控え様子見の姿勢が強まり128.29円で終えた。

米ドル・円(USDJPY)は、115円後半で取引された。朝方に、欧州でのユーロ買いが強まった影響から米ドルが売られ、この日の安値115.56円を付けた。その後は株高や債券が上昇した影響から堅調に値を上げ終値は115.83円となった。
 

  • 株式

NYダウ平均 USD 33,286.25 +653.61 (+2.00%)
NASDAQ総合  USD 13,255.546 +459.995 (+3.59%)
S&P500     USD  4,277.88 +107.18(+2.57%)

3月9日の米株式市場のダウ工業株30種平均は、5日ぶりに前日の終値を回った。ウクライナ情勢が一時的に融和に向かった影響から株高や原油をはじめとした商品価格の上昇が落ち着き、反発から買戻された。インフレ懸念が薄らいだことも投資家心理を向上させ、終日前日の終値を上回って取引され、3指数揃って上昇し終えた。
 

  • 債券

米国債10年 1.953(+0.105%)
 

  • 商品

NY原油(WTI) 1バレル=USD 108.70 -15.00(-12.13%)(4月渡し)
NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,988.2 -55.10(-2.70%)(4月渡し)

 

【日本】株高受けリスク回避の姿勢和らぐ

  • 為替(17時)

3月9日の東京外国為替市場は、ウクライナ情勢長期化の懸念は続いているものの、株高からリスク回避の姿勢が和らいだ。米長期金利先物が1.86%台に上昇したこともよい影響を及ぼした。

米ドル・円は115円後半で取引された。株価の上昇と共にドル買いが優勢となり、この日の高値115.92円まで買われた。その後は利益を確定する売りに押されたが、欧州勢参加後は再び上昇し17時で115.88円となった。

ユーロ・円は、126円前半から半ばに値を上げた。朝方は、株高を受け小幅に上昇したが、明日のECB(欧州中央銀行)理事会を前に様子見の姿勢が強まり126円半ばの横ばいで推移した。17時は126.50円で取引された。

ユーロ・米ドルは1.09ドル前半で値動きがあまり出なかった。明日のECB(欧州中央銀行)理事会を前に値動きがほとんど出ず、17時時点では1.0916ドルだった。
 

  • 日本株式

日経平均株価 24,717.53円 -73.42(-0.30%)
安値24,681.74円  -  高値 25,084.08円
東証出来高 1,500,51万株
東証売買代金 3兆2731.30億円
 
3月9日の日経平均株価は前日の4日連続で終値を下回った。朝方から前日までの3日間で大幅に下落していた反動から、これまで売りが優勢だった輸出関連株が買い戻されプラス圏で推移した。買いが一段落するとウクライナ情勢の長期化が懸念となり、終了直前に利益を確定させる売りが出て前日の終値を下回り終えた。
 

  • 短期金融市場

無担保コール翌日物金利 -0.007%
 

  • 債券

国債先物・22年3月限 150.83(-0.15)
10年長期金利 0.160%(+0.010) 

 

【マーケットアナリティクス】米ドル円は強気なブレイクアウトを視野に(3月9日)

米ドル・円ペア、ウクライナ侵攻による大幅な価格変動(ボラティリティ)が和らぎ、狭い値幅での取引となっている。

本稿執筆時点では、米国利回りの上昇に追随し0.5%ほど上昇した。2年債利回りはすでに高値を更新しており、米ドル円もすぐに追随する可能性がある。

最初の上値抵抗線(レジスタンス)は116.25円付近の前回高値に位置している。116.25円付近の以前の高値に最初の上値抵抗線があり、これを超えて上昇した場合、持っていない米ドルを売り買い戻す(ショートポジション)の損切り(ストップロス)が大きくなり、最初の反応として117円台に向かって上昇する可能性がある。

これまでのところ、トレーダーは実際の戦争より軍事衝突から生じるインフレ問題に注目しているようだ。インフレ率の上昇は、利上げの増加を意味し、米ドル円にとって強気(ブル)となるはずだ。

もしくは、50日平均線(紫線※)の115円がサポートとなり、その後、50日先行移動平均線(50DMA・※1)の数ピップス下の中期上昇トレンドラインが下値支持線(サポート)となる可能性がある。トレンドラインの上で取引される限り、当面の見通しは強気(ブル)が続く見込みだが、強気なシナリオを確認するためには、すぐに高値を更新する必要がある。

この後、1月の求人労働異動調査(JOLTS: Job Openings and Labor. Turnover Survey)の求人倍率とエネルギー省エネルギー情報局(EIA: Energy Information Administration)の週間原油在庫変動が予定されており、木曜日の重要な米国インフレ報告も控えています。

※移動平均線:一定期間(この場合は50日間)の終値の平均値の推移を折れ線グラフで示したもの。相場が上昇傾向にあるのか、下落傾向にあるのかといったトレンドを把握しやすい。

※1:先行移動平均線(Displaced Moving Average:DMA)は、移動平均線を本来の位置から未来や過去にずらして表示するもの。上値の抵抗線(レジスタンス)や下値の支持線(サポート)の推移を想定するのに有効。
  
米ドル・円、デイリーチャート 3月9日(CET・中央ヨーロッパ時間)

引用元: “USDJPY Eyeing Bullish Breakout” (2022年3月9日, AXIORY Global Market News)

追記:3月10日、日本時間6:00の米ドル・円は115.81円付近で取引されている

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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