米ドル 早期の利上げに向けたFRB高官発言が支えに

2022/03/21 6:53 JST投稿
 
 

【今週の見通し】(3月21日-3月25日)

先週は、3月15、16日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され、予想通り政策金利のフェデラルファンド(FF)金利を0.25%から0.5%に引上げた。早ければ5月にも金融政策正常化に向けた保有資産の縮小開始が示唆され、米金融政策の不透明感が和らぎ、米ドル買いが優勢となっている。
 
今週は、ウクライナ情勢を鑑みながら、FRB(米連邦準備制度理事会)の関係者が金融政策に関する発言が禁止されるブラックアウト期間が明け、FRB高官の発言に注目が集まる。アトランタ連銀ボスティック総裁、パウエルFRB議長、ニューヨーク連銀ウイリアムズ総裁、サンフランシスコ連銀デイリー総裁、クリーブランド連銀メスター総裁、セントルイス連銀ブラード総裁、ミネアポリス連銀カシュカリ総裁、ウォラーFRB理事、リッチモンド連銀バーキン総裁など複数の米当局者による発言が予定されており、利上げや保有資産の縮小に関する発言に注視したい。
 
米ドルは有事のドル買いとリスク選好の円売り、さらに日米金利差が意識され米ドルは上昇しやすい状況となるだろう。
 
予想レートは米ドル・円が117円半ばから120円後半。ユーロ・米ドルが1.08後半から1.11後半。
 

【米国】

  • 為替(3月21日6時00分)

 米ドル円(USDJPY)    119.14-119.15 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    131.66-131.69 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.1050-1.1052 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    156.98-157.07 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.3176-1.3181 (米ドル)
 
3月18日のニューヨーク外国為替市場の主なトピックスは、ロシア軍がこの日、ポーランド国境に近いウクライナ西部のリビウ周辺をミサイルで攻撃したことが明らかになった。この砲撃により、ウクライナ問題の長期化懸念が強まっている。なお、この日、バイデン大統領と習近平・国国家主席がテレビ電話で会談した。バイデン大統領は、中国がロシアの侵攻を支援した場合の「影響と結果」について警告している。
 
また、セントルイス連銀のブラード総裁は声明で「22年中に政策金利を3%超の水準に上げるべきだ」と主張した。なお、ブラード総裁は3月15、16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5%の利上げを求めていた。さらに、ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁は、年内に政策金利を1.75-2.0%に引き上げる必要があるとの考えを表明した。また、ウォラーFRB理事は、FOMCでロシアのウクライナ侵攻の経済リスクを鑑み、0.5%の利上げでなく0.25%の利上げを支持すると表明している。
 
米ドル・円(USDJPY)は、118円半ばから119円半ばに値を上げた。日銀が金融政策緩和を継続すると日米金利差が意識され米ドル買いが優勢となった。また、FRB高官から相次いで早期の金融政策引き締めに向けた発言が出たことも支えとなり、2016年2月以来、6年1カ月ぶりの高値119.40円を付けた。その後は終末を前に様子見の姿勢が強まり徐々に値を下げ、終値は119.17円となった。
 
ユーロ・米ドル(EURUSD)は、1.10ドル前半から1.11ドル半ばで推移した。FRB高官の金融政策正常化に向けた発言からから米ドル買いが強まり、前日の安値1.1008ドルを下抜けて一時1.1003ドルまで値を下げた。その後は、小幅に持ちなおし1.1051ドルで終えた。
 
ユーロ・円(EURJPY)は、131円前半から半ばに値を下げた。ユーロ・米ドルの下落につられ、米ドル売りが強まるとこの日の高値131.19円まで値を下げた。その後は、日本との金利差が意識されると円が売られ2月11日以来の高値131.92円まで値を上げ、終値は131.73円だった。
 

  • 株式

 NYダウ平均  USD 34,754.93 +274.17 (+0.79%)
 NASDAQ総合  USD 13,893.837  +279.056 (+2.04%)
 S&P500      USD  4,463.12  +51.45(+1.16%) 
 
3月18日の米株式市場のダウ工業株30種平均は、前日の終値を5日連続で上回った。前日の上昇を受け、午前中は短期の投資を中心とする投資家の利益確定に向けた売りが優勢となった。その後は、ウォラーFRB理事やブラード・セントルイス連銀総裁が0.5%への引上げについて言及したことで金融政策の不透明感が払拭され、投資家心理が上向き徐々に値を上げ2月16日以来の高値で終えた。
 

  • 債券

 米国債10年 2.153(-0.024%)
 

  • 商品

 NY原油(WTI) 1バレル=USD 104.70 +1.72(+1.67%)(4月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,929.3  -13.9(-0.72%)(4月渡し)
 
 

【日本】日銀の金融緩和継続発表で119円前半に

  • 為替(17時)

3月18日の東京外国為替市場は、米連邦公開市場委員会(FOMC)が無事に終わり、投資家心理が和らいだ。さらに、国内輸入企業の決済に向けた外貨買いも優勢となった。また、日銀が金融政策決定会合で金融緩和継続を決定すると欧米との違いが意識された。
 
米ドル・円は118円半ばから119円前半に値を上げた。国内輸入企業の決済に向けた米ドル買いや、金融緩和の継続の決定により、この日の高値119.01円まで上昇した。その後は、連休を前に小幅に値を下げ17時時点で118.86円となった。
 
ユーロ・米ドルは1.11ドル前半から1.10円後半に値を下げた。ウクライナ情勢長期化への懸念や、3連休を前にユーロ売りが優勢だった。徐々に値を下げ、17時時点では1.1078ドルだった。
 
ユーロ・円は、131円半ばから後半に値を上げた。国内輸入企業の決済に向けたユーロ買いが入ると、この日の高値131.91円に値を上げた。その後は、連休を控え、売りが優勢となったが、再びユーロが買われ17時時点では131.68円に値を戻した。
 

  • 日本株式

 日経平均株価     26,827.43円  +174.54(+0.65%)
  安値26,592.98円  -  高値 26,862.43円
 東証出来高 1,807,72万株
 東証売買代金 4兆1427.02億円
 
3月18日の日経平均株価は5日連続で前日の終値を大幅に上回った。FOMCが無事に終わり、米国株が高値となった影響を受け投資家心理が上向いた。また、ロシアが3月16日のドル建て国債の利払いを履行し債務不履行(デフォルト)を回避したこともプラスとなった。終了間際に前日の終値から210円上回り、東証1部の58%の銘柄で値を上げ終了した。3月21日(月)は祝日(春分の日)で休場。
 

  • 短期金融市場

 無担保コール翌日物金利  -0.006%
 

  • 債券

 国債先物・22年3月限  150.07(-0.04)
 10年長期金利  0.205%(+0.005)

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