地政学リスクの和らぎなどから米ドル売りが優勢に

2022/03/30 7:24 JST投稿

 

【米国】

  • 為替(3月30日6時00分)

米ドル円(USDJPY) 122.79-122.90 (円)
ユーロ円(EURJPY) 136.16-136.28 (円)
ユーロ米ドル(EURUSD) 1.1085-1.1088 (米ドル)
ポンド円(GBPJPY) 160.81-160.95 (円)
ポンド米ドル(GBPUSD) 1.3088-1.3097 (米ドル)

3月29日のニューヨーク外国為替市場の主なトピックスは、ロシアとウクライナの停戦交渉の進展やロシア軍がウクライナの首都キエフ制圧に失敗し、軍の再配備を行なったことなどが好感された。その一方で、ブリンケン米国務長官は、ロシアがウクライナとの交渉で「真に真剣である兆候」が確認できていないと述べている。英国の調査研究機関などによるとロシアの戦費は1日3兆円と見られ、GDPで世界第11位と10位の韓国を下回っているだけにかなり厳しい状況が続いている模様だ。

なお、1月 ケース・シラー米住宅価格指数(前年同月比、結果:19.1%、予想:18.4%、前回:18.6%)が発表され、予想、前回を上回り伸びが加速した。さらに、3月 消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード、結果:107.2、予想:107.0、前回:110.5)では、高インフレの中、雇用の伸びが好感され予想を上回っている。良好な経済指標だったが、ウクライナ情勢の影響が大きく影響は軽微だった。

米フィラデルフィア連銀のハーカー総裁が金融安定センター(CFS)主催のイベントで講演した。「大規模な財政支援策とサプライチェーンの混乱、緩和的な金融政策を背景に、インフレ率が大幅に上昇しており、インフレ期待が抑制できなくなるリスクを懸念している」と述べた。さらに、数値の断言を現段階ではできないが、近くFRBは保有資産の縮小を始めるだろうと言及した。

米ドル・円(USDJPY)は、ウクライナ停戦交渉の進展や、資源価格や長期金利の低下から米ドルが売られ、この日の安値121.98円を付けた。前日の安値121.87円が下値支持線(サポート)となり、すぐに持ち直し122円後半で小幅に推移し終値は122.88円となった。

ユーロ・米ドル(EURUSD)は、ロシアとウクライナの停戦に向けた動きから投資家心理が和らぎ、この日の高値1.1137ドルに上昇した。その後、ブリンケン米国務長官がロシアの態度に言及すると小幅に値を下げ、終値は1.1086ドルで終えた。

ユーロ・円(EURJPY)は、欧州時間にウクライナ情勢を受けた投資家心理の和らぎから、この日の高値137.31円を付けたが、昨日に6年7ヵ月ぶりの高値137.53円が高値抵抗線(レジスタンス)となり、徐々に値を下げ135.70円まで売られた。その後、小幅に値を戻し終値は136.21円だった。
 

  • 株式

NYダウ平均 USD 35,294.19 +338.30 (+0.96%)
NASDAQ総合  USD 14,619.636 +264.734 (+1.84%)
S&P500     USD  4,631.60 +56.08(+1.22%)

3月29日の米株式市場のダウ工業株30種平均は、前日の終値を4日連続で上回った。2月10日ぶりに35,000ドル台を回復し、終日で前日の終値を上回った取引となった。ロシア軍がウクライナのキエフ制圧に失敗し、再配備を行なったことが好感されている。また、原油価格が低下したこともプラスとなり、景気敏感株などを中心に幅広い銘柄が買われ終えた。
 

  • 債券

米国債10年 2.401(-0.064%)
 

  • 商品

NY原油(WTI) 1バレル=USD 104.24 -1.72(-1.62%)(5月渡し)
NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,918.0 -26.7(-1.37%)(6月渡し)

 

【日本】円安、政財界から懸念の声高まる

  • 為替(17時)

3月29日の東京外国為替市場は、円安優位の状況の中、ヘッジファンドなどの投機筋の売買が増え、値動きが激しくなっている。ロシアとウクライナがトルコでの対面交渉が実現する見通しがたったこともプラスだった。さらに、ロシアのペスコフ報道官は米公共放送PBSのニュース番組で、「(ウクライナでの)作戦がどんな結果になろうとも、当然ながら核兵器を使用する理由にならない」と強調。「国家の存在に対する脅威がある場合にのみ、核兵器を使用する」と語った。

また、昨日米ドル・円で3円を超える急激な円安が進んだことを受け、日本当局者や経済界から懸念の声が高まっている。松野官房長官は「為替市場の動向や日本経済への影響を緊張高め、注視する。為替の安定は重要であり、急速な変動は望ましくない」と述べた。また、鈴木財務相は「悪い円安にならないよう、政府としても注視する」と発言。神田財務官は、アンディ・ボーコル米財務次官との日米財務官協議後、「日米の通貨当局間で緊密な意思疎通を図っていくことを確認した」。さらに、桜田経済同友会代表幹事が「現在の水準が適切だとはとても思えない」と強調した。

米ドル・円は、朝方はドル売りが優勢となっていたが、国内輸入企業の決済に向けた米ドル買いが強まると長期金利先物が下落すると124.07円まで急激に上昇した。しかし、買いは続かず、この日の安値123.11円まで売られた。その後は、小幅に値を上げ17時時点では123.57円となった。

ユーロ・米ドルは値動きがほとんど出ず、1.0ドル後半で小幅に推移した。17時時点では1.0999ドルだった。

ユーロ・円は、135円前半から136円半ばに値を上げるも、徐々に値を下げた。ウクライナ情勢での進捗や米国株の上昇を受け、投資家心理が上向き、朝方に、この日の高値136.52円まで上昇した。その後は、ユーロ売りが優勢となり13時過ぎに135.47円まで安くなったが、再び堅調に値を上げ、17時時点では135.93円となった。
 

  • 日本株式

日経平均株価 28,252.42円 +308.53(+1.10%)
安値28,063.92円  -  高値 28,252.42円
東証出来高 1,362,36万株
東証売買代金 3兆2489.81億円
 
3月29日の日経平均株価は前日の終値を上回った。原油先物価格の下落や米国株の上昇を受け、終日で前日の終値を上回る取引となった。3月末の配当に向けた権利を得るための最終売買日に向けた買いも優勢となった。また、米長期金利の低下もプラスとなり、成長株やハイテク株が買われたことも後押しとなり、この日の高値で取引を終えた。
 

  • 短期金融市場

無担保コール翌日物金利 -0.004%
 

  • 債券

国債先物・22年6月限 149.15(-0.33)
10年長期金利 0.250%(+0.015)

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