良好な雇用統計から5月利上げが確実視

2022/04/04 6:48 JST投稿



【今週の見通し】(4月4日-4月8日)
先週ごろから、若干ウクライナ情勢による懸念がユーロ以外は若干和らいできた。さらに、原油高への懸念から米国が備蓄する石油の放出を表明すると、価格の上昇は一旦抑制されている。また、米ドル、円では、日米金利差が意識され、依然厳しい状況が続いている。

ウクライナ情勢では、2日にウクライナのハンナ・マリャル国防次官がキ-ウ(キエフ)州全域をロシア軍から奪還したと発表。また、ロシアは苦戦を強いられているが米情報当局の分析によると、5月初めまでに東部を制圧し、勝利宣言をする方針に転換した模様だ。おそらく、対独戦勝記念日の5月9日に照準を定めたと見ている。

今週の主な材料は、引き続きウクライナ情勢とFRB高官の利上げに向けた積極的な姿勢によるタカ派的な発言と、日米金利差だ。また、注目のイベントとしては、4月5日発表の米ISM非製造業景況指数(3月)だ。高インフレの中、ウクライナ情勢の影響を受けるとのではないかと思われる。また、連邦公開市場委員会(FOMC、3月15、16日)の議事録が4月6日に公開される。5月3、4日に行われる次回のFOMCまで値が上がりづらい日が続くと思われ、その間のFRB高官の発言に注目したい。

さらに日本では、4月4日から東証の市場再編が実施され、プライム市場、スタンダード市場、グロース市場の3市場となる。今回の再編は基準を厳格化し、海外投資を呼び込むのが狙いだが経過措置の期限を設けていない。そのため東証1部の構成企業と変わらず、厳しい船出となっている。

予想レートは米ドル・円が120円前半から124円半ば。ユーロ・米ドルが1.08ドル後半から1.12ドル前半。



【米国】
為替(4月4日6時00分)

米ドル円(USDJPY) 122.56-122.65 (円)
ユーロ円(EURJPY) 135.28-135.38 (円)
ユーロ米ドル(EURUSD) 1.1047-1.1048 (米ドル)
ポンド円(GBPJPY) 160.67-160.76 (円)
ポンド米ドル(GBPUSD) 1.3112-1.3116 (米ドル)

4月1日のニューヨーク外国為替市場の主なトピックスは、まず良好な結果が出た雇用統計だ。3月 非農業部門雇用者数変化(前月比、結果:43.1万件、予想:49.0万件、前回:67.8万件)と予想を下回ったものの、2月分が75万人増(速報値67.8万人)に大幅に修正された。3月失業率(結果:3.6%、予想:3.7%、前回:3.8%)は2020年2月以来、約2年ぶりの低水準だった。また、3月平均時給 (前年同月比、結果:5.6%、予想:5.5%、前回:5.1%)は、2020年5月以来の高水準となったが、足元の高インフレから実質的には収入は増加していないものとみられる。この結果から、5月の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げが確実視され、6月のFOMCでも利上げされる可能性が強まった。

米ドル・円(USDJPY)は、良好な雇用統計結果に、この日の高値123.03円を付けた。その後は、3月製造業総合景況指数(結果:57.1、予想:59.0、前回:58.6)が2020年9月の水準に鈍化した影響から徐々に値を下げた。この影響から長期金利が低下したものの、前日の利回りを上回り推移したことが支えとなり、122.52円で終えた。

ユーロ・米ドル(EURUSD)は、良好な雇用統計結果から米ドル買いが優勢となり、この日の安値1.1028ドルになった。その後も、米ドル・円の動きにつられ、徐々に値を下げ終値は1.1043ドルだった。

ユーロ・円(EURJPY)は、米ドル・円につられドル高となると、この日の高値135.88円を付けた。その後、ユーロ・米ドルの下落につられ徐々に値を下げ、終値は135.30円となった。


株式

NYダウ平均 USD 34,818.27 +139.92 (+0.40%)
NASDAQ総合  USD 14,261.500 +40.981 (+0.28%)
S&P500     USD  4,545.86 +15.45(+0.34%)

4月1日の米株式市場のダウ工業株30種平均は、3日ぶりに前日の終値を上回った。朝方に発表された良好な雇用統計結果を受け5月のFOMCでの利上げ観測が強まり徐々に値を下げた。その後、第2四半期に入り、消費関連株への新たな投資が強まると堅調に値を上げ終えた。


債券

米国債10年 2.385(-0.046%)


商品

NY原油(WTI) 1バレル=USD 99.27 -1.01(-1.01%)(5月渡し)
NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,923.7 -30.3(-1.55%)(6月渡し)



【日本】岸田首相の発言から円高に
為替(17時)

4月1日の東京外国為替市場は、新年度に向けた国内輸入企業の決済に向けた買いが入った。また、米雇用統計の発表を控え様子見の姿勢も強まった。

さらにウクライナ情勢による原油高が長期化の見通しで、景気への影響も懸念が大きい。特にユーロは影響を大きく受け、値動きが出やすい状況となっている。日本の取引時間は値動きがあるものの小幅な動きにとどまっているが、欧州勢が参加すると値幅が広くなり値動きが激しい傾向だ。

米ドル・円は、午前中は国内輸入企業の決済に向けた買いや月初の調整が入り徐々に値を上げ正午ごろに122.65円を付けた。その後、岸田首相が衆院本会議で「為替の安定は重要であり急速な変動は望ましくないと考えている。」と発言すると122円前半から121.73円に値を下げた。その後、持ち直し17時時点では122.63円となった。

ユーロ・米ドルは1.1ドル前半の小幅な動きにとどまっていたが、欧州勢が参加するとウクライナ情勢長期化への懸念から値動きが激しくなり、下落し17時時点では1.1052ドルだった。

ユーロ・円は、米ドル・円の動きにつられ、国内輸入企業の決済に向けた買いなどから、正午過ぎにこの日の高値135.80円に値を上げた。その後、徐々に値を下げ、欧州勢参加と共に値動きが激しくなり17時時点では値を戻し135.63円にとどまった。


日本株式

日経平均株価 27,665.98円 -155.45(-0.56%)
安値27,399.48円  -  高値 27,738.31円
東証出来高 1,190,29万株
東証売買代金 2兆8935.64億円
 
4月1日の日経平均株価は3日連続で前日の終値を下回った。米国株の下落や日銀短観が1年9ヵ月ぶりに悪化から投資家心理が冷え込み、開始直後に前日の終値を400円超下回った。その後は、小幅に買い戻されるも、ウクライナ情勢長期化によるエネルギー価格の上昇から景気悪化への懸念もあり、前日の終値を上回ることはなかった。


短期金融市場

無担保コール翌日物金利 -0.004%


債券

国債先物・22年6月限 149.70(変化なし)
10年長期金利 0.215%(+0.005)
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