PPI結果から長期金利低下し円安和らぐ

2022/04/14 7:33 JST投稿
 

【米国】

為替(4月14日6時00分)
 米ドル円(USDJPY)    125.57-125.65 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    136.79-136.87 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0888-1.0891 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    164.75-164.87 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.3112-1.3117 (米ドル)
 
4月13日のニューヨーク外国為替市場の主なトピックスは、14日の欧州中央銀行(ECB)定例理事会前の持高調整が目立った。さらに、ウクライナ情勢ではロシアのタス通信がウクライナ南東部の港湾都市マリウポリの商用港をロシアが占領したと報じ緊張の高まりが続いている。
 
また、朝方に3月米卸売物価指数(PPI、前月比、結果:1.4%、予想:1.1%、前回:0.8%)が発表された。改訂があった2009年12月以来、12年超ぶりの大幅な伸びとなっている。活況な需要によるもので高インフレを示唆しており、米連邦準備理事会(FRB)が積極的な金融引き締めを実施する可能性が濃厚となった。しかし、前日発表された3月消費者物価指数(CPI)でインフレのピークが示された衝撃の方が大きく、影響は軽微だった。この結果を受け、長期金利が2.659%まで低下している。
 
カナダ銀行は政策金利を現行の0.50%から1.00%に引き上げた。これを受け、カナダドルが対米ドルでは1.2555カナダドル、対円では100.04円まで上昇した。さらに、ニュージーランド準備銀行でも、政策金利を1.00%から1.50%に引き上げた。利上げは4会合連続で2019年6月以来の水準に上昇した。発表直後(日本時間)にカナダドルは対ドルで0.69ドル台に上昇している。
 
ユーロ・米ドル(EURUSD)は、ウクライナ情勢の長期化や原油高を受けた景気悪化への懸念から、この日の安値1.0809ドルまで売られた。3月7日の安値1.0806ドルが下値支持線(サポート)として意識されると買戻しに転じ、急上昇した。米長期金利の上昇も支えとなり、この日の高値1.0894ドルまで値を上げ、1.0888ドルで終えた。
 
ユーロ・円(EURJPY)は、米PPI発表後に135.94円まで安くなったが、その後は米ドル・円とユーロ・米ドルの上昇につられ堅調に値を上げ、この日の高値136.88円まで買われた。その後小幅に値を落とすも、終値は136.71円だった。
 
米ドル・円(USDJPY)は、日本時間に日米金利差が意識され米ドル買いが入り上昇した反動から125.35円まで値を下げた。その後、小幅に値を戻したがPPIを受け長期金利が低下すると前日の終値125.38円まで値を下げた。その後小幅に値を戻し、125.62円で終えている。
 
株式
 NYダウ平均  USD 34,564.59 +344.23 (+1.00%)
 NASDAQ総合  USD 13,643.587  +272.015 (+2.03%)
 S&P500      USD  4,446.59  +49.14(+1.11%) 
 
4月13日の米株式市場のダウ工業株30種平均は、3日ぶりに前日の終値を下回った。長期金利が低下し、高い株価収益率のハイテク株が買い戻された。さらに、決算発表で好調な業績が見込まれる株が買われ、上昇に寄与した。開始から堅調に値を下げ、終了間際にこの日の高値まで上昇した上、3指数揃って値を上げた。
 
債券
 米国債10年 2.698(-1.172%)
 
商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 104.25 +3.65(+3.63%)(5月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,984.7  +8.60(+0.44%)(6月渡し)
 
 

【日本】USDJPY 20年ぶりの円安水準に

為替(17時)
4月13日の東京外国為替市場は、円安が進み米ドル・円で2015年6月の高値125.86円を超え、2002年5月、約20年ぶりの高値を更新した。背景には日米金利差と原油高がある。
 
米ドル・円は、20年ぶりの円安水準に上昇した。日本時間は小幅な上昇だったが欧州勢参加後に米長期金利が上昇し、126.32円まで値を上げた。高値圏での推移が続き17時時点では126.03円となった。
 
ユーロ・米ドルは、1.08ドル前半の小幅な動きにとどまった。ウクライナ戦争長期から欧州の景気回復が懸念されている上、明日の欧州中央銀行(ECB)理事会を控え様子見の姿勢が強く、17時時点は1.0838ドルで取引されている。
 
ユーロ・円は、米ドル・円の動きにつられ、小幅な上昇から欧州勢参加後に、この日の高値136.75円まで買われた。その後は、小幅な動きにとどまり、17時時点では136.59円だった。
 
日本株式
 日経平均株価     26,843.49円  +508.51(+1.93%)
  安値26,429.47円  -  高値 26,885.87円
 東証出来高 1,165,82万株
 東証売買代金 2兆8239.70億円
 
4月13日の日経平均株価は3日ぶりに前日の終値を大幅に上回った。米長期金利の上昇が減速した流れから成長株が買い戻された。また、中国での都市封鎖が一部緩和された影響から投資家心理が上向き、開始から堅調に値を伸ばし終えた。
 
短期金融市場
 無担保コール翌日物金利  -0.01%

債​券

 国債先物・22年6月限  149.28(+0.05)
 10年長期金利  0.235%(-0.005)
 
 

【マーケットアナリティクス】ポンド・米ドルは、1.30を下回ることを阻止(4月13日)

ポンド・米ドルで強気(ブル)が節目の1.30ドルを必死に防衛し推移している。本稿執筆時点ではわずかに上昇し、以前の損失を解消しプラスに転じたと見られている。
 
英国国家統計局(ONS)が3月の消費者物価指数(CPI)を発表し、エネルギーと食品価格の急騰により7%に上昇した。これは1992年以来、最も急激な上昇で2月の6.2%から上向き、アナリストが予想した6.7%を上回った。
 
また、食品、エネルギー、アルコール、タバコなどの変動要因を除いたコアCPIでは、前月の5.2%から5.7%に上昇し予想の5.4%を上回った。
 
この結果を受け、ONSのチーフエコノミストであるグラント・フィッツナー氏は「広範な物価上昇により、3月の年間インフレ率が再び急上昇した。中でも最大の上昇はガソリン代で、最近の燃料税引き下げ前の価格が大半であり、家具も同様だ。」と述べている。
 
ポンドが1.30ドルを割り込んだ場合、上昇を期待して保有したロングポジションの逆指値注文(ストップロス)が大きくなり1.2860ドルに向け、さらに下落する可能性がある。
 
一方、強気派が1.30ドルゾーンを守りポンドを押し上げることができれば、1.3050ドルの急な下降トレンドラインが上値抵抗線(レジスタンス)となることが予想される。中期的に重要な売りは、これまでの安値1.32ドル近辺となりそうだ。
 
 
ポンド・米ドル、デイリーチャート 4月13日(CET・中央ヨーロッパ時間)
 
引用元: “GBPUSD Refuses to Drop Below 1.30” (2022年4月13日, AXIORY Global Market News)     
 
追記:4月14日、日本時間6:00のポンド・米ドルは1.3112-1.3117ドルで取引されている

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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