パウエル議長のタカ派的な発言から米ドル買い優勢に

【米国】

為替(4月22日6時00分)
 米ドル円(USDJPY) 128.37-128.39 (円)
 ユーロ円(EURJPY) 139.07-139.10 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0831-1.0834 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY) 167.22-167.30 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.3026-1.3031 (米ドル)

4月21日のニューヨーク外国為替市場の主なトピックスは、ワシントンで開かれた国際通貨基金(IMF)主催のパネル討論会での米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の発言に注目が集まった。「5月3、4日に開催される連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5ベーシスポイント(bp)の利上げを選択肢とする。インフレ率を2%に戻すべく金融政策手段を活用することに、われわれは全力で取り組んでいる。」と早期の利上げを示唆した。また、ラガルドECB総裁は「6月理事会で資産購入プログラム(APP)終了が鍵。金利の道筋を示唆する可能性もある。我々は為替の目標を持っていない。為替動向に注視する」と述べている。

なお、鈴木俊一財務相が主要7カ国(G7)で円安への懸念を示したが各国の反応がなく、円安が続くとの思惑が出ている。

米ドル・円(USDJPY)は、長期金利が徐々に上昇し、パウエル議長の積極的に金融政策を推し進めるタカ派的な発言から昼過ぎに2.95%に上昇した。これを受け、米ドル買いが優勢となり128.70円まで値を上げた。長期金利の上昇から株価が下落すると投資家心理が冷え込みリスクオフの円買いに転じ128.07円まで値を下げた。その後は小幅に持ち直し終値は128.38円となった。

ユーロ・米ドル(EURUSD)は、欧州時間に欧州中央銀行(ECB)のデギンドス副総裁やベルギー国立銀行(中銀)のウンシュ総裁が相次いで7月の利上げの可能性を示唆したことで、全般ユーロ買いが高まり1.0936ドルまで値を上げた反動で売られた。パウエル議長の発言にも影響を受け、1.0831ドルまで売られたが、その後小幅に持ち直し終値は1.0834ドルだった。

ユーロ・円(EURJPY)は、欧州時間にECB高官の7月利上げ示唆を受けたユーロ買いの強まりから2015年6月以来、6年10カ月ぶりの高値140.00円に値を上げた。その後は、利益確定に押され、徐々に値を下げ139.14円で終えた。

株式
 NYダウ平均 USD 34,792.76 -368.03 (-1.04%)
 NASDAQ総合  USD 13,174.652 -278.413 (-2.06%)
 S&P500     USD  4,393.66 -65.79(-1.47%)

4月21日の米株式市場のダウ工業株30種平均は、3日ぶりに前日の終値を下回った。好決算銘柄が買われ好調だったが、長期金利が徐々に上昇するのにつられ、午後に前日の終値を下回った。高い株価収益率(PER)を中心に幅広い銘柄に売りが出た上、パウエル議長の利上げ発言から投資家が利益確定に向かった悪影響も出て3指数揃って値を下げ終えた。

債券
 米国債10年 2.917(+0.14%)

商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 103.79 +1.60(+1.57%)(6月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,948.2 -7.4(-0.38%)(6月渡し)
 

【日本】財務相発言から安心感が広がり米ドル買いに

為替(17時)
4月21日の東京外国為替市場の主なトピックスは、鈴木俊一財務相がワシントンで開かれた主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議で最近のやや急激な円安について説明しことを明らかにした。合わせて、G7の内容では、主に国際経済やウクライナ情勢に関する議論となり、為替は主要の議題ではなかったことも明かしている。

米ドル・円は、長期金利の上昇につられ米ドル買いが増した。その後、鈴木俊一財務相がG7で為替が主要な議題でなかったことを明らかにすると、安心感が広がり、この日の高値128.64円まで買われた。高値圏が意識されると利益確定売りが出て徐々に値を下げ127.82円まで売られたが、再び値を戻し17時時点で128.02円となった。

ユーロ・米ドルは、ウクライナ情勢への懸念から小幅に値を下げ、この日の安値1.0825ドルまでユーロが売られた。欧州中央銀行(ECB)のデギンドス副総裁やベルギー国立銀行(中銀)のウンシュ総裁が相次いで7月の利上げの可能性を示唆したことで、全般ユーロ買いが高まった。昨日高値の1.0867ドルを超え、1.0936ドルまで値を上げた。その後は徐々に値を下げ、17時時点で1.0927ドルだった。

ユーロ・円は、米ドル・円の上昇につられ徐々に値を上げた。さらに、ユーロ・米ドルの上昇にもつられ17時時点では139.88円で取引された。

債券
 国債先物・22年6月限 149.15(+0.05)
 10年長期金利 0.245%(-0.005)

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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