リスクオンの姿勢が強まり堅調に上昇

2022/05/16 6:20 JST投稿
 
 
【今週の見通し】(5月16日-5月20日)
先週は、4月米消費者物価指数(CPI)や4月米卸売物価指数(PPI)の結果から、予想を上回り高インフレの状況が示された。まだピークには達しておらず当面はこの状況が続くと思われる。米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締めが意識され、6月と7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5ポイントずつ利上げする公算が大きいとみられている。今後のFRB高官の発言を注視したい。
 
ウクライナ情勢に関わる動きではフィンランドとスウェーデンが北大西洋条約機構(NATO)に加盟申請を行なっており、ロシアとの緊張が高まっている。さらに、フィンランドとスウェーデンがイギリスと安全保障協定を結び、NATO加盟が決定するまでの間に攻撃を受けた場合、支援を行なうことで合意した。なお、フィンランドのニーニスト大統領は5月14日、ロシアのプーチン大統領と電話会談し、NATOへの加盟を通告。これを受け、ロシアはフィンランドへの電力供給を同日停止するなど緊張が高まっている。
 
一方、イギリス領北アイルランドの議会選で、アイルランドとの統一を掲げるカトリック系のシン・フェイン党が第1党となった。長年独立を掲げているスコットランドへの影響が懸念されている。また、イギリスでは景気悪化の懸念が強まっておりポンドが上昇する兆しは見えない。
 
今週は、ウクライナ情勢を巡る欧州の動きや以下の経済指標に注目したい。
・5月16日:中国4月小売売上高、5月ニューヨーク連銀製造業景気所数
・5月17日: 4月米鉱工業生産・小売売上高、ラガルドECB総裁講演、FRB高官講演(パウエルFRB議長、シカゴ連銀総裁、セントルイス連銀総裁、クリーブランド連銀総裁、フィラデルフィア連銀総裁)
・5月18日:フィラデルフィア連銀総裁講演、G7財務相・中央銀行総裁会議(20日まで)
・5月19日:5月 フィラデルフィア連銀製造業景気指数、前週分 新規失業保険申請件数
・5月20日:バイデン米大統領訪日
      
予想レートは米ドル・円が126円半ばから132円前半。ユーロ・米ドルが1.01ドル前半から1.06ドル前半。
 

【米国】

為替(5月16日6時00分)
 米ドル円(USDJPY)    129.20-129.22 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    134.43-134.54 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0409-1.0414 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    158.38-158.52 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.2237-1.2244 (米ドル)
 
5月13日のニューヨーク外国為替市場の主なトピックスは、長期金利が持ち直し、株価が上昇し積極的にリスクを取るリスクオンの姿勢が強まった。
 
朝方に発表された4月 輸入物価指数 (前月比、結果:0.0%、予想:0.6%、前回:2.6%)は、石油価格の低下が食料品や他の製品の価格上昇が相殺された。予想以上に鈍化し、年初来で最小となった。4月 輸出物価指数(前月比、結果:0.6%、予想:0.7%、前回:4.5%)も鈍化した。これらの結果を受け、長期金利が2.919%から2.897%に低下した。
 
その後、ミシガン大学消費者態度指数(速報値、結果:59.1、予想:64.0、前回:65.2)は、インフレ懸念の高まりから、2011年8月以来の低水準となった。この結果を受け、上昇していた長期金利が2.928%で停滞した。
 
さらに、ロシア国営天然ガス独占企業ガスプロムが5月12日にロシアからポーランドなどを経由してドイツに至るパイプライン「ヤマル・ヨーロッパ」を通じたガスの供給を停止すると発表し、懸念が強まっている。
 
米ドル・円(USDJPY)は、朝方の弱い経済指標から小幅に値を下げたが、積極的な投資姿勢から、この日の高値129.45円を付けた。その後は、小幅に値を下げたものの堅調に推移し、129.22円で終えた。
 
ユーロ・米ドル(EURUSD)は、ロシアからのエネルギー供給停止による懸念が高まり、2017年1月以来、約5年4カ月ぶりの安値1.0350ドルを付けた。その後は、買戻しが入り、この日の高値1.0420ドルまで買い戻されると、小幅に値を下げ終値は1.0412ドルとなった。
 
ユーロ・円(EURJPY)は、地政学上のリスクが懸念され朝方は、この日の安値133.12円まで値を下げた。その後は、積極的な投資意欲の高まりから買いが優勢となり、この日の高値134.75円まで値を上げた。週末を控えた売りも入り、徐々に値を下げ終値は134.55円だった。
 
株式
 NYダウ平均  USD 31,196.66 +466.36 (+1.46%)
 NASDAQ総合  USD 11,805.002  +434.040 (+3.81%)
 S&P500      USD  4,023.89  +93.81(+2.38%) 
 
5月13日の米株式市場のダウ工業株30種平均は、7日ぶりに前日の終値を上回った。7週連続で前週末の終値を下回り、週間続落記録で2001年5-7月以来、21年ぶりの長い期間となった。前日までの下落の反動から幅広い銘柄に積極的な買いが入り、大幅に値を上げ、3指数揃って値を上げ終えた。
 
債券
 米国債10年 2.928%(+0.111)
 
商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 110.49 +0.36(+0.33%)(6月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,824.6  -16.40(-0.90%)(6月渡し)
 
 

【日本】国内輸出企業の決済に向けた実需買いが優勢

為替(17時)
5月13日の東京外国為替市場の主なトピックスは、国内輸入企業の決済に向けた実需の買いが優勢となった。株価の上昇も支援材料となり投資家心理が上向いた。
 
米ドル・円は、朝方は決済に向けた買いが入り、この日の高値129.36円まで値を上げた。その後は、利益確定売りや米長期金利の流れに左右された。欧州勢参加後に持ち直し、17時時点では128.80円となった。
 
ユーロ・米ドルは、朝方は動きがあまり出なかったが、投資家心理が上向くと徐々に値を上げた。欧州勢参加後にさらに値を上げ、この日の高値1.0420ドルまで値を上げた。17時時点では1.0415ドルだったが、ウクライナ情勢への懸念から徐々に値を下げている。
 
ユーロ・円は、朝方に134円前半に値を上げると大きな動きがなく推移した。欧州勢参加後に小幅に売られるも値を戻し17時時点では134.15円で取引された。
 
債券
 国債先物・22年6月限  149.47(+0.15)
 10年長期金利  0.240%(-0.005)
 
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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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