米ドル・円 値を戻すも連休前で様子見の姿勢強まる

【今週の見通し】(5月30日-6月3日)
5月24日に発表された4月 新築住宅販売件数、5月リッチモンド連銀製造業指数、5月 製造業購買担当者景気指数(PMI)、5月サービス業PMI速報値の低調な結果を契機に景気後退(リセッション到来)の懸念が強まり、長期金利の低下が続き、米ドルの上昇に歯止めがかかっている。この結果から、米ドル・円は4月18日以来の安値126.36円まで値を下げた。

その後は、5月25日に5月3、4日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録が公表され、予想通りの内容で安心感が拡がった。内容では大半の参加者が今後2回の会合で0.5ポイントずつの利上げが必要だとの認識で一致したことが明らかとなっており、投資家心理が上向いた。

今週は、米連邦準備制度(FRB)が金融引き締めを加速させ、景気減速への懸念が高まっており、米ドル・円は上昇しづらい状況は続く見込みだ。しかし、6月1日に発表される5月米ISM製造業景況指数や6月3日の5月米雇用統計で良好な結果が出ると米ドル買いが強まる可能性もある。

また、5月31日のユーロ圏5月消費者物価指数(CPI)が予想を上回る場合は、欧州中央銀行(ECB)の7月利上げ観測が強まりユーロ・米ドルではユーロ買いが強まる可能性も大きい。

なお、英中銀が積極的に利上げや金融政策の引き締めに取組んでいるが、国内の景気悪化が強まっており、ポンドは値を上げづらい状況だろう。

主な金融スケジュール
・5月30日:戦没将兵追悼記念日(メモリアルデー)のため米休場、ウォラーFRB理事発言、
・5月31日:ビルロワドガロー仏中銀総裁発言、ビスコ伊中銀総裁発言、5月中国製造業・非製造業PMI、5月ユーロ圏CPI(速報)、5月米シカゴPMI、5月米消費者信頼感指数
・6月1日:FRB・ECB高官発言(ニューヨーク連銀のウイリアムズ総裁、セントルイス連銀のブラード総裁、クノット蘭中銀総裁、ラガルドECB総裁、ビルロワドガロー仏中銀総裁、レーンECB専務理事)、1-3月期の豪GDP、5月中国財新製造業PMI、5月米ISM製造業景況指数、米ベージュブック
・6月2日:FRB・ECB高官発言(クリーブランド連銀のメスター総裁、ビルロワドガロー仏中銀総裁、デコス西中銀総裁)、スプリングバンクホリデーのため英休場、5月米ADP雇用統計
・6月3日:ブレイナードFRB副議長発言、バンクホリデーのため英休場、5月米ISM非製造業景況指数

予想レートは米ドル・円が125円前半から129円前半。ユーロ・米ドルが1.04ドル前半から1.09ドル前半。
 

【米国】

為替(5月30日6時00分)
 米ドル円(USDJPY) 127.09-127.12 (円)
 ユーロ円(EURJPY) 136.42-136.48 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0734-1.0736 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY) 160.49-160.68 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.2627-1.2636 (米ドル)

5月27日のニューヨーク外国為替市場では、30日の戦没将兵追悼記念日(メモリアルデー)を前に債券市場が時短取引となった。長期金利は昼過ぎに2.768%まで値を上げた。

朝方発表された4月米個人消費支出(PCE)デフレーター(結果:6.3%、予想:6.2%、前回:6.6%)は、伸び率が1982年以来の高水準となった前月より縮小した。米連邦準備理事会(FRB)が物価の目安とする変動の大きい食品とエネルギーを除くコアPCE指数は前年同月比(結果:4.9%、予想:4.9%、前回:5.2%)2カ月連続で伸びが鈍化し、昨年12月以来の小幅な伸びにとどまった。

また、5月ミシガン大学消費者信頼感指数(結果:58.4、予想:59.1、前回:59.1)の確報値が発表され、予想を下回った。

米ドル・円(USDJPY)は、低調な経済指標からこの日の安値126.68円まで値を下げたが、月末の金の価格を決めるロンドンフィキシングを前に米ドル買いが強まると、この日の高値127.25円まで値を上げた。3連休を前に長期金利が2.709%に低下すると徐々に値を下げ終値は127.11円となった。

ユーロ・米ドル(EURUSD)では、米ドル・円の下落につられ1.0744ドルまで値を上げたが、米ドル買いが優勢となると徐々に値を下げ、1.0702ドルまで値を下げた。その後は持ち直し、1.0735ドルで終えた。

ユーロ・円(EURJPY)は、ユーロ・米ドルの上昇につられ136.32円まで値を上げたが、徐々に値を下げ、その後は持ち直した。終値は136.45円だった。

株式
 NYダウ平均 USD 33,212.96 +575.77 (+1.76%)
 NASDAQ総合  USD 12,131.131 +390.481 (+3.32%)
 S&P500     USD  4,158.24 +100.40(+2.47%)

5月27日の米株式市場のダウ工業株30種平均は6日連続で前日の終値を上回った。高インフレやFRBの急速な利上げ観測への懸念が弱まり、値ごろ感のある株が買われ堅調に値を上げた。週間で9週間ぶりに2,000ドル近く値を上げ、終日で前日の終値を上回り、終了間際に前日の終値を570ドル超上昇し、3指数揃って値を上げ終えた。メモリアルデーにより30日は休場。

債券
 米国債10年 2.743%(-0.015)

商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 115.07 +0.98(+0.86%)(7月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,857.3 +3.40(+0.18%)(8月渡し)
 

【日本】リスク回避の米ドル売り強まる

為替(17時)
5月27日の東京外国為替市場の主なトピックスは、米国での景気減速懸念の強まりからリスク回避の姿勢が強まりリスクオフの米ドル売りが強まった。米国の3連休前の持高調整に向けた米ドル売りの影響も大きかった。

米ドル・円は、リスクオフや米国の連休を控えた米ドル売りが優勢となり前日の米国市場の流れを受け、この日の安値126.68円まで売られた。その後は小幅に持ち直し、欧州勢参加後に安値圏が意識され米ドルが買い戻されると値を上げ、17時時点では127.13円となった。

ユーロ・円は、大きな動きがあまりなかったが、欧州勢参加後に欧州株価が堅調な取引となり、この日の高値136.73円まで値を上げた。その後は欧州株が下落し始めるとリスク回避の姿勢が強まり徐々に売られ17時時点では136.48円で取引された。

ユーロ・米ドルは、米ドル・円で米ドル売りが強まり、この日の高値1.0765ドルを付けた。その後は、徐々に値を下げ、17時時点では1.0735ドルだった。

債券
 国債先物・22年6月限 149.95(+0.04)
 10年長期金利 0.225%(-0.005) 
 

【マーケットアナリティクス】AUDUSDは米国データ後、3週間ぶりの高値に(5月27日)

米ドルは最近の強気相場が終わりそうな気配が強く金曜日に再び幅広く取引され、豪ドル・米ドル(AUDUSD)を約1ヶ月ぶりの高値である0.7150ドルまで押し上げた。

■注目の米国データ
米国の個人消費は急増(前月比0.9%増、予想0.8%増)したが、所得の伸びはわずか(前月比0.4%、予想0.5%)にとどまり、貯蓄率はわずか4.4%と2008年9月以来最低の水準に低下した。米国の消費者は、物価の高騰と景気後退に備える準備ができていないようだ。

米国の消費者は先月、インフレが高止まりしているにもかかわらず消費を続け、米国の経済成長の基本的な要因の1つは春まで持ちこたえた。しかし、個人貯蓄率は過去10年間で最低の水準に落ち込み、消費がいつまで景気を維持できるのか疑問が残る。

最後に、今日発表されたデータで重要なのは、FRBが指標とするインフレ指標のPCEデフレーターで、4月に低下すると予測されていた。しかし、予想を上回る前年同月比+6.3%(予想:+6.2%、前回:+6.6%)となり、好調な結果となった。コアPCEは、3月の前年比+5.2%より鈍化したものの、予測通り+4.9%で推移した。

「全体として、米国の消費者は依然として積極的な購買意欲がある。米国の消費者は経済的に余裕がある状態で、今回の物価上昇、インフレと対峙している。ノースウェスタン・ミューチュアル・ウェルス・マネジメントのチーフ・インベストメント・オフィサー、ブレント・シュッテ氏は「雇用が堅調で、米国の消費者は全体的に非常に強い状態にある」と述べた。

■強気に転換
豪ドルの次の重要な上値抵抗線(レジスタンス)は、3月の安値である0.7170ドルとなる見込みだ。このレベルを越えた場合、中期的な見通しは強気(ブル)に変わり、0.7260ドル付近の200日移動平均線(紫のライン※)をターゲットにする可能性がある。

または、0.71 - 0.7070ドル付近が下値支持線(サポート)となる可能性があり、その上で取引される限り短期的な見通しは強気と思われる。

※移動平均線:一定期間(この場合は200日間)の終値の平均値の推移を折れ線グラフで示したもの。相場が上昇傾向にあるのか、下落傾向にあるのかといったトレンドを把握しやすい。

豪ドル・米ドルデイリーチャート 5月27日(CET・中央ヨーロッパ時間)

引用元: “AUDUSD at 3-Week Highs After US Data” (2022年5月27日, AXIORY Global Market News)

追記:5月30日、日本時間6:00の豪ドル・米ドルは1.0734-1.0736ドルで取引されている

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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