欧米との金融政策の違い大きく高値圏続く

2022/06/08 7:17 JST投稿
 
 

【米国】

為替(6月8日6時00分)
 米ドル円(USDJPY)    132.54-132.64 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    141.89-142.01 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0701-1.0707 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    166.86-167.05 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.2588-1.2595 (米ドル)
 
6月7日のニューヨーク外国為替市場では、東京市場で欧米と日本の金融政策の違いが意識され前日に円安が加速し、米ドルとユーロでは高値圏で推移している。
 
米ドル・円(USDJPY)は、東京市場で2002年4月以来、20年2カ月ぶりの高値133.00円を付けた反動から値を下げた。利益確定売りに押され、長期金利が低下した影響から132.32円まで値を下げた。その後は小幅に値を戻し、終値は132.59円となった。
 
現在、高インフレによる警戒が高まる中で、インフレの加速を示す米消費者物価指数(CPI)に注目が高まっている。6月10日に発表されるCPIが予想を上回ると、135円を試す可能性が強まるだろう。
 
ユーロ・円(EURJPY)は、欧州中央銀行(ECB)と日本銀行の金融政策の違いからユーロ買いが優勢となった。2015年1月以来、7年5カ月ぶりの高値を更新し142.06円まで値を上げた後は、小幅に売られた。その後は、株価の上昇から投資家心理が上向き再び142.06円まで値を戻し、終値は141.91円だった。
 
ユーロ・米ドル(EURUSD)は、朝方に9日の欧州中央銀行(ECB)定例理事会を前に持高調整が入り、この日の安値1.0652ドルまで値を下げた。その後、反発し、この日の高値1.0714ドルに値を戻した後は、小幅に売られ1.0703ドルで終えた。
 
株式
 NYダウ平均  USD 33,180.14 +264.36 (+0.80%)
 NASDAQ総合  USD 12,175.232  +113.862 (+0.94%)
 S&P500      USD  4,160.68  +39.25(+0.95%) 
 
6月7日の米株式市場のダウ工業株30種平均は前日の終値を連日で上回った。朝方は、小売りのターゲットが過剰在庫の処分を理由に2022年5-7月期予想の売上高営業利益率を大幅に引き下げた影響が波及し、小売り株が売られた。しかし、長期金利が前日の水準を下回ったことが好感され、投資家心理が上向くと買いが優勢となり3指数揃って値を上げ終えた。
 
債券
 米国債10年 2.979%(-0.059)
 
商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 119.41 +0.91(+0.77%)(7月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,852.1  +8.40(+0.46%)(8月渡し)
 
 

【日本】金融政策の違いが意識され円安加速

為替(17時)
6月7日の東京外国為替市場の主なトピックスは、前日の日本銀行の黒田総裁の「揺るぎない姿勢で金融緩和を継続していく」との発言を発端に円安が進んでいる。米長期が上昇したこともプラスに作用し、特に米ドル、ユーロが高値で推移している。
 
オーストラリア準備銀行(中央銀行)は政策決定会合で、政策金利であるオフィシャル・キャッシュレートの誘導目標を0.5%引き上げ0.85%に引き上げた。高インフレへの対応を積極的に行う中央銀行との認識が強まっている。発表直後に豪ドル・米ドルが0.7%高の0.7246米ドルに上昇した。
 
米ドル・円は、日米の金融政策の違いから徐々に値を上げ、15時過ぎに2002年4月以来、20年2カ月ぶりの高値を更新し133.00円まで値を上げた。その後は小幅に値を下げ、17時時点では132.76円となった。
 
ユーロ・米ドルは、米ドル買いが優勢となり全般的に値を下げた。買戻しが入った後は米ドル買いがさらに強まり、この日の安値1.0665ドルまで値を下げた。欧州勢が参加後は再び買い戻され、1.0693ドルまで値を戻し、17時時点では1.0687ドルだった。
 
ユーロ・円は、欧州中央銀行(ECB)と日本の金融政策の違いが意識され徐々に値を上げ、2015年1月以来の高値142.06円に値を上げた。その後は、値を下げ17時時点では141.89円となった。
 
債券
 国債先物・22年6月限  149.51(-0.19)
 10年長期金利  0.245%(+0.005)
 
 

【マーケットアナリティクス】ポンド・米ドルは、政治的な要因から1.25を割り込んで下落(6月7日)

本日、米国利回りの上昇に支えられ米ドルが全般的に上昇し、ポンド・米ドル(GBPUSD)は5月20日以来の心理的な節目の1.25ドルを下回った。
 
■英国の動向
月曜日夜、ジョンソン首相が211対148の差で信任投票に勝利した後、ポンドは対ドル0.3%弱く、1.2495付近で取引された。
 
インタラクティブ・インベスター社の投資部長であるビクトリア・スカラー氏は、「ジョンソン首相のリーダーシップに対する批判が続くと予想されている。政府の法案が自民党議員によって阻止される可能性もあり、経済的にも政治的にも英国に対する海外投資家の信頼が失われる中で、ポンドは低調だ」と述べている。
 
さらに、季節調整済みの英サービス業購買担当者景気指数(PMI)は、予想の51.8と先月の速報値51.8を上回り、53.4に修正された。
 
さらに、企業活動の拡大が2ヵ月連続で緩和されたと発表した。さらに、投入コストと物価に課せられたインフレ率は過去最高を更新している。その結果、成長予測は2020年10月以来の低水準となった。
 
三菱UFJ銀行のエコノミストは、今後の経済見通しが厳しく支持が厳しい首相では乗り切るのことは、かなり厳しいとしてGBPに引き続き弱気な見方をしている。
 
■短期的な中立
1.25ドルを下回る下落が進み、当面の見通しはやや中立的と思われる。次の下値支持線(サポート)は1.2470ドル、そして今日の安値1.2430ドル付近となる可能性がある。
 
また、短期的な弱気(ベア)トレンドラインが存在する1.2515ドル付近が上値抵抗線(レジスタンス)となる可能性がある。このレベルを上に抜けた場合、1.2590ドルをターゲットとした安堵感から投資家心理が上向き上昇(リリーフラリー)に転じる可能性もある。

 
    

ポンド・米ドル、デイリーチャート 6月7日(CET・中央ヨーロッパ時間)
 
引用元: “GBPUSD Falls Below 1.25 Amid Political Uncertainty” (2022年6月7日, AXIORY Global Market News)                 
 
追記:6月8日、日本時間6:01のポンド・米ドルは1.2588-1.2595ドルで取引されている

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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