FOMC後、パウエル議長の会見受け長期金利が低下

2022/06/16 7:31 JST投稿
 
 

【米国】

為替(6月16日6時23分)
 米ドル円(USDJPY)    133.77-133.80 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    139.71-139.77 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0442-1.0445 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    162.83-162.94 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.0442-1.0445 (米ドル)
 
6月15日のニューヨーク外国為替市場では、連邦公開市場委員会(FOMC)でインフレ抑制に向け大幅な利上げ(結果:1.50-1.75%、予想:1.25-1.50%、前回:0.75-1.00%)を実施した。通常の3倍の75ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%、0.75)引き上げ、1994年11月以来、27年半ぶりの大幅な利上げとなっている。公表後に長期金利が3.437%から3.28%に低下した。
 
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は声明発表後の記者会見で、今回の利上げについて「この幅での利上げが普通になるとは想定していない」と述べ、「次回会合(7月)では50 bpないし75 bpの利上げが最も可能性が高そうだ。だが判断は会合ごとに行う」と言及している。なお、カンザスシティー連銀のジョージ総裁が50 bpの利上げを主張し、反対票を投じている。
 
また、今後の金利予想(ドットチャート)は、2022年末で3月の1.9%から3.4%に引上げ、2023年末は3.8%と予想した。バランスシートについては月額475億ドル(約6兆4000億円)のペースで縮小する方針を改めて示した。すでに、保有有価証券の圧縮を6月1日から開始しており、圧縮規模は9月に月額950億ドルに拡大する予定だ。米国内総生産(GDP)予想については、1.7%増、失業率予想は2024年末に4.1%の上昇を見込んでいると公表した。
 
米ドル・円(USDJPY)では、朝方はFOMC前の様子見の姿勢が強かった。大幅な利上げを受け、安心感が拡がり134.95円付近まで値を上げた。しかし、パウエルFRB議長が「今回の利上げ(0.75%)が一般的になるとは想定しない」と慎重な姿勢を示したことが明らかになる、この日の安値133.51円まで売られた。その後は小幅に値を戻し終値は133.84円だった。
 
ユーロ・米ドル(EURUSD)に影響を与えた出来事は、欧州中央銀行(ECB)がイタリア国債利回り急騰を受け、政策委員会の緊急会合を開いた。10年余で初の利上げを前に、金融政策の伝達メカニズム機能を維持するためのパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)で購入した債券の満期償還金の再投資に柔軟性を適用する方針を示した。これを受け欧州債利回りが急激に低下した上、FOMCでの大幅な利上げを受け5月13日の安値(1.0350ドル、2017年1月以来、約5年4カ月ぶりの安値)付近の1.0359ドルに値を下げた。その後は、5月13日の安値が下値支持線(サポートライン)となった上、パウエル議長の発言や米長期金利の低下から米ドル売りが優勢になると1.0470ドルに持ち直し、1.0444ドルで終えた。
 
ユーロ・円(EURJPY)は、ECBの緊急会合を受け欧州債利回りが低下するとリスク回避の動きが強まり、この日の安値139.54円を付けた。その後は小幅に持ち直し、終値は139.76円となった。
 
株式
 NYダウ平均  USD 30,668.53 +303.70 (+1.00%)
 NASDAQ総合  USD 11,099.155  +270.810 (+2.50%)
 S&P500      USD  3,789.99  +54.51(+1.45%) 
 
6月15日の米株式市場のダウ工業株30種平均は前日の終値を6日ぶりに上回った。FOMCを受け大幅な利上げを示したことで、高インフレが抑制できるとの見方が広がり、積極的な対応が好感され幅広い銘柄に買いが入った。パウエル議長の会見後に650ドル付近まで前日の終値を上回ったが、大幅な利上げにより景気後退リスクが高まるとみられ値を下げ終えた。なお、長期金利の低下と共にハイテク株の買いが高まり、3指数揃って値を上げている。
 
債券
 米国債10年 3.291%(-0.192)
 
商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 115.31 -3.62(-3.04%)(7月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,819.6  +6.10(+0.34%)(8月渡し)
 
 

【日本】円安進み24年ぶりの安値を更新

為替(17時)
6月15日の東京外国為替市場では、前日のニューヨーク市場で付けた1998年10月以来、23年8ヵ月ぶり高値となる135.45円を更新した。その流れを受け継ぎ1998年10月以来、23年9ヵ月ぶりの安値135.59円を更新した。
 
米ドル・円は、7時過ぎに約24年ぶりの高値を付けた。その後は、利益確定売りや長期国債先物の低下から日銀の政策変更への期待が高まり円買いの姿勢が強まった。この日の安値134.52円を付けた後、再び小幅に値を上げ17時時点では134.70円となった。
 
ユーロ・米ドルは、米ドル・円の上昇につられ、朝方から値を上げ小幅に上昇した。その後は、日本時間の18時から欧州中央銀行(ECB)が政策委員会の臨時会合を開くことが明らかになるとユーロ買いが優勢となり、この日の高値1.0494ドルまで値を上げた。17時時点では1.0466ドルで取引されている。
 
ユーロ・円は、方向性が出にくい状況ながら値を上げた。米ドル円につられ朝方は上昇したがその後は上昇と下降を繰り返した。17時時点では140.98円だった。
 
債券
 国債先物・22年9月限  147.59 (-0.91)
 10年長期金利  0.250%(変化なし)

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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