パウエル議長が景気後退懸念を示し米ドル売りに

2022/06/23 7:34 JST投稿
 
 

【米国】

為替(6月23日6時02分)
 米ドル円(USDJPY)    136.20-136.30 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    143.91-144.02 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0564-1.0568 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    167.00-167.14 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.2261-1.2268 (米ドル)
 
6月22日のニューヨーク外国為替市場では、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の上院銀行委員会証言での質疑応答に注目が高まった。FRBの急速な利上げにより、米国経済が景気後退に陥る可能性を否定しなかった。一方で景気後退(リセッション)の確率は上昇していないと答えた。この発言を受け長期金利が3.2%付近から3.12%に低下した。
 
また、ドイツ銀行のクリスティアン・ゼービング最高経営責任者(CEO)は、世界経済がリセッションに向かっているとの見方を示した。フランクフルトのイベントで述べたもので、中国の供給網問題や食品価格の上昇から各国の中央銀行が高インフレ抑制へ対応を強いられる中で世界経済が甚大な影響を受けていると指摘した。リセッション確率は少なくとも50%と述べた。さらに、米金融大手シティグループ のエコノミスト、ネイサン・シーツ氏らがレポートでリセッション確率を50%に近づいていると指摘している。
 
米ドル・円(USDJPY)では、東京市場で24年ぶりの高値を更新し136.71円を付けた反動から利益確定売りが優勢だった。その後は、パウエル議長の証言内容を受け長期金利が低下するとさらに米ドル売りが強まり、この日の安値135.69円まで売られた。しかし、株価の上昇から投資家心理が上向き上昇に転じ、終値は136.26円となった。
 
ユーロ・米ドル(EURUSD)は、欧州時間に欧州株の下落を受けたリスク回避の売りが優勢となっていたが持ち直した。徐々に値を上げ、朝方に、6月10日以来の高値1.0606ドルを付けた。その後、小幅に値を下げ、1.0566ドルで終えている。
 
ユーロ・円(EURJPY)は、欧州時間はリスク回避の姿勢が強まりユーロが売られた。しかし、米国株が上昇すると投資家心理が上向き、6月8日の高値(2015年1月以来の高値)144.25円まで値を上げた。その後は小幅に値を下げ、終値は143.99円だった。
 
米ドル・スイスフラン(USDCHF)は、パウエル議長の証言後、0.9660スイスフランから6月3日以来の安値0.9581スイスフランに値を下げた。スイス国立銀行(スイス中銀)のジョーダン総裁が「インフレデータは追加利上げの必要性を示唆しており、追加利上げの可能性もある」との発言から、追加利上げ観測が強まった影響も大きかった。その後は、小幅に米ドル買いが入り値を上げ、終値は0.9611スイスフランとなった。
 
一方でこの日、スイス中銀は第1四半期の経常収支を発表し190億スイスフラン(196億3000万ドル)の黒字となった。黒字額は前年同期比40億スイスフラン増加している。また、第1四半期に32億4000万フランの準備資産を取得しており、昨年の第4四半期の235億6000万スイスフランを大幅に下回った。この状況から、スイスフラン高への警戒感が低下したことが明らかとなっている。
 
株式
 NYダウ平均  USD 30,483.13 -47.12 (-0.15%)
 NASDAQ総合  USD 11,053.080  -16.222 (-0.14%)
 S&P500      USD  3,759.89  -4.90(-0.13%) 
 
6月22日の米株式市場のダウ工業株30種平均は前日の終値をわずかに下回った。パウエル議長の議会証言を無事に終えた安堵感から250ドル近く前日の終値を上回る場面もあった。しかし、証言内容で米国経済が景気後退に陥る可能性を否定しなかったことなどから、投資家心理が冷え込み景気敏感株を中心とした売りが出て、徐々に値を下げ終えた。
 
債券
 米国債10年 3.16%(-0.145)
 
商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 106.19 -3.33(-3.04%)(8月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,838.4  -0.40(-0.02%)(8月渡し)
 
 

【日本】米ドル円で高値更新もリスク回避の姿勢強まる

為替(17時)
6月22日の東京外国為替市場の米ドル・円では、米国市場での高値をさらに更新した。
 
米ドル・円は、朝方に1998年10月以来、約24年ぶりの高値を更新し136.71円まで上昇した。その後は利益確定売りや米長期金利の低下から値を下げ136.05円まで値を下げている。株価の下落によるリスク回避の姿勢も強まった影響が大きい。欧州勢参加後は再び上昇に転じたが、17時時点では136.24円となった。
 
ユーロ・円は、リスク回避の姿勢の強まりから円買いが強まり徐々に値を下げ、この日の安値142.68円までユーロが売られた。その後は小幅に値を戻し17時時点では143.11円だった。
 
ユーロ・米ドルでも、リスク回避のリスクオフの姿勢が強まり徐々に値を下げた。欧州勢参加後は、欧州株下落の影響からさらに値を下げ17時時点では1.0504ドルとなった。
 
債券
 国債先物・22年9月限  147.86 (-0.10)
 10年長期金利  0.235%(変化なし)

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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