弱いPCE結果から長期金利が3%を下回る

2022/07/01 7:00 JST投稿
 
 

【米国】

為替(7月1日6時02分)
 米ドル円(USDJPY)    135.70-135.76 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    142.19-142.33 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0480-1.0484 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    165.17-165.36 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.2177-1.2184 (米ドル)
 
6月30日のニューヨーク外国為替市場では、5月 米個人消費支出の影響が大きかった。5月 米個人消費支出(PCEデフレーター、前年同月比、結果:6.3%、予想:6.4%、前回:6.3%)は、インフレ調整後ベースで前月比0.4%減となり、今年初めて減少した。また、食品・エネルギー除く5月PCEコア・デフレーター(前月比、結果:0.3%、予想:0.4%、前回:0.3%)は予想を上回った。前年比(結果:4.7%、予想:4.8%、前回:4.9%)では、昨年11月以来の小幅な伸びにとどまっている。
 
また、先週の米新規失業保険申請件数(結果:23.1万件、予想:22.8万件、前回:22.9万件)はわずかに減少し、小幅な労働環境の改善が示唆された。これらの結果から長期債が買われ長期金利が3.108%から2.97%まで低下した。翌日に6月米ISM製造業景気指数の発表を控えており、こちらにも注目が高まっている。
 
米ドル・円(USDJPY)では、5月米個人消費支出(PCE)で個人消費の鈍化が観測されると景気減速懸念が強まり、米ドル売りが優勢だった。徐々に値を下げ、この日の安値135.55円まで売られた。長期金利が節目の3%を下回った影響も大きかった。その後は小幅に値を戻し135.72円で終えている。
 
ユーロ・米ドル(EURUSD)は、欧州時間に欧州での景気減速懸念から、この日の安値1.0383ドルまで売られた。その後は徐々にユーロが買い戻され、米経済指標の弱い結果や四半期末の金の価格を決定するロンドンフィキシングのユーロ買いが加わった。この日の高値1.0488ドルまで値を上げ、終値は1.0484ドルだった。
 
ユーロ・円(EURJPY)は、欧州での景気回復懸念や地政学リスクが意識され、日本時間から徐々に値を下げた。朝方に、この日の安値141.38円を付けたがロンドンフィキシングのユーロ買いが加わると徐々に値を上げている。しかし、終了間際に、この日の高値142.86円まで買われた。その後は小幅に値を下げ終値は142.26円だった。
 
株式
 NYダウ平均  USD 30,775.88 -253.88 (-0.81%)
 NASDAQ総合  USD 11,028.736  -149.157 (-1.33%)
 S&P500      USD  3,785.38  -33.45(-0.87%) 
 
6月30日の米株式市場のダウ工業株30種平均は前日の終値を下回った。5月の米個人消費支出(PCE)が減速し、さらに米連邦準備理事会(FRB)が物価指標として重視する総合では今年初めて減少している。これらの結果から終日で前日の終値を下回る取引となった。また、FRBが更なる利上げを実施するとの観測が強まり、景気減速懸念から投資家心理に影響が出たことも大きかった。この結果、上半期で15.3%減の大幅な下落となっている。さらに、ナスダックの上半期の下落率は29.5%減と過去最大で、S&P500も上半期20.6%減と1970年以来の大きさを記録した。
 
債券
 米国債10年 3.017%(-0.076)
 
商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 105.76 -4.02(-3.66%)(8月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,807.3  -10.20(-0.56%)(8月渡し)
 
 

【日本】米ドル・円 高値から利益確定売りに

為替(17時)
6月30日の東京外国為替市場の米ドル・円では、ニューヨーク外国為替市場で1998年9月以来、約23年9ヵ月ぶりの高値137.01円を付けた反動から利益確定売りに押された。機関投資家が四半期の月末で持高を確定させており、この後、米個人消費支出(PCE)デフレーターの発表を控え動きづらい側面もあった。
 
米ドル・円は、ニューヨーク外国為替市場で円安が進んだ影響から利益確定売りが入り136.36円まで値を下げたが持ち直した。その後は、あまり値動きが出なかったが、株価の下落を受けリスク回避の円買いが強まると、この日の安値135.96円まで値を下げた。17時時点では136.21円となっている。
 
ユーロ・円は、朝方は株価の下落を受けリスク回避の姿勢が強まり値を下げた。しかし142円半ばになると横ばいで推移したが、欧州勢参加後リスク回避の姿勢が再び強まり、この日の安値141.85円まで値を下げた。その後は小幅に値を戻し17時時点では142.28円だった。
 
ユーロ・米ドルは、朝方はリスク回避から米ドルが買われ1.04ドル半ば付近に値を下げた。その後は、ほぼ横ばいで推移した。しかし、欧州勢参加後に小幅に値を上げた後、再びユーロが売られ、この日の安値1.0430ドルまで値を下げたが持ち直し17時時点では1.0445ドルとなった。
 
債券
 国債先物・22年9月限  148.61 (-0.02)
 10年長期金利  0.225%(変化なし)

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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