米ドル 良好な経済指標や長期金利上昇から堅調に

2022/07/08 7:18 JST投稿
 

【米国】

為替(7月8日6時00分)
 米ドル円(USDJPY)    135.97-136.06 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    138.13-138.28 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0157-1.0162 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    163.45-163.60 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.2019-1.2025 (米ドル)

7月7日のニューヨーク外国為替市場では、堅調な経済指標が市場を支えた。前週分 新規失業保険申請件数(結果:23.5万件、予想:23.0万件、前回:23.1万件)は、予想を上回り昨年11月以来で最高を記録した。景気後退懸念の強まりから6月の一時解雇(レイオフ)の件数が1年4ヵ月ぶりの水準に増加した。人材確保が厳しい状況から徐々に需要が冷え込んできたことが示された。前週分 失業保険継続受給者数(結果:137.5万件、予想:132.7万件、前回:132.8万件)では、予想外に増加し4月以来で最高となった。

さらに、5月米貿易収支(結果:-855億ドル、予想:-849億ドル、前回:-871億ドル)では、前月より赤字幅が縮小したものの予想を上回った。良好な結果ではないにも関わらず、米連邦準備制度理事会(FRB)が積極的な利上げ姿勢を続けるとの観測から長期金利が2.96%に上昇した。

また、2年債と10年債(長期金利)の利回りが3日連続で逆転(逆イールド)している。終値ベースで2年債が3.024%、10年債が3.000%となり前日よりは小幅に逆イールドが縮小した。なお、10年債は1週間ぶりに3%を回復。

米連邦準備理事会(FRB)高官の発言にも注目が集まった。FRBのウォラー理事は、7月26、27日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.75%の追加利上げ支持を表明し、9月の会合では0.5%の利上げを実施する可能性があるという私見を示した。さらに、米セントルイス地区連銀のブラード総裁はFRBが受け入れがたいほどの高水準のインフレ率を引き下げにむけ金利を大幅に引き上げても、米経済は今年も成長を続けるだろうとの見解を示している。

ジョンソン首相の辞任により、不安定な政局への不安が投資家心理に影響を与えた。この結果、ポンド・米ドル(GBPUSD)1.1948ドルまで下落した。しかし、英国中央銀行の大幅な利上げ観測からポンド買いに転じ1.2019ドルまで値を戻し、1.2022ドルで終えている。なお、ユーロ・ポンド(EURGBP)でも一時、5月23日以来の安値0.8445ポンドまで値を下げている。

米ドル・円(USDJPY)は、堅調な経済指標から135.55円から135.91円まで値を上げた後、小幅に売られた。しかし、FRB高官の発言や長期金利の上昇から米ドル買いが再び強まり、136.11円まで買い戻された。その後は小幅に値を下げ136.00円で終えた。

ユーロ・米ドル(EURUSD)は、欧州圏の景気後退や地政学リスクが意識され値を下げた。2002年12月以来およそ19年半ぶりの安値を更新し1.0144ドルを付け、終値は1.0160ドルだった。

ユーロ・円(EURJPY)も、リスク回避の姿勢が強くユーロ売りが優勢だった。この日の安値137.99円まで値を下げ、その後、小幅に持ち直し終値は138.17円となった。

株式
 NYダウ平均  USD 31,384.55 +346.87 (+1.11%)
 NASDAQ総合  USD 11,621.346  +259.494 (+2.28%)
 S&P500      USD  3,902.62  +57.54(+1.49%) 

7月7日の米株式市場のダウ工業株30種平均は連日で前日の終値を上回った。米経済指標が堅調な結果となり米景気後退への過度な不安が払拭された。最近低調だった景気敏感株が中心に買い戻され、終日で前日の終値を上回った取引となった。投資家心理の上向きから3指数揃って上げ、終えている。

債券
 米国債10年 3.000%(+0.089)

商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 102.73 +4.20(+4.26%)(8月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,739.7  +3.20(+0.18%)(8月渡し)
 

【日本】リスク回避の姿勢が強いものの堅調に推移

為替(17時)
7月7日の東京外国為替市場では、世界的な景気後退懸念が強まりリスク回避の姿勢が強いものの、日本の金融政策と欧米の金融政策の違いから値を下げづらい状況だ。

米ドル・円は、世界的な景気後退や中国でのコロナウイルスの感染再拡大から朝方にリスク回避の姿勢が強まった。これを受け、この日の安値135.55円まで低下したが、時間外の米長期金利が上昇すると徐々に米ドルが買い戻された。136円台に値を戻し、17時時点では136.12円で取引されている。

ユーロ・円は、朝方はリスク回避の姿勢からこの日の安値138.07円まで値を下げた。その後は、米ドル・円の上昇につられ、この日の高値138.94円まで値を戻したが、欧州勢が参加すると再びリスク回避の姿勢が強まった。138.33円まで売られたが、再び値を戻し17時時点では138.74円だった。

ユーロ・米ドルは、米長期金利が低下し朝方はユーロ買いが優勢だった。その後、米長期金利が上昇に転じると徐々にユーロが売られ17時時点では1.0192ドルとなった。

債券
 国債先物・22年9月限  149.47 (+0.10)
 10年長期金利  0.245%(変化なし) 

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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