2022/07/11 6:05 JST投稿
【今週の見通し】(7月11日-7月15日)
先週は世界的な景気後退懸念の強まりからリスク回避の姿勢が強まった。しかし、その後は日米金融政策の違いや7月6日発表の良好な6月ISM非製造業景況指数の結果、さらに米連邦公開市場委員会(FOMC・6月14、15日)の議事録でインフレ対応への前向きな姿勢が好感され投資家心理が上向いた。
今週も引き続き日米の金融政策の姿勢の違いが意識され円安基調は続くだろう。その一方で、7月13日に発表される6月消費者物価指数が市場予想を上回った場合、インフレ加速による経済成長の鈍化が懸念される。さらに、7月15日発表の6月小売売上高は5月に予想外のマイナスとなったが、6月も引き続き厳しい内容となった場合は消費の冷え込みが観測され米ドル売りにつながる可能性もある。
また、ユーロ圏では地政学リスクによる欧州の景気後退懸念の強まりや英国やフランスなどの政局が不安視されており、ユーロでは安全資産を買う動きが強まる可能性が高いだろう。
主な金融スケジュール
・7月11日(月):米ニューヨーク連銀総裁が討論会に参加
・7月12日(火):独ZEW期待指数(7月)、英ベイリーイングランド銀行(英中央銀行)総裁が講演、米・10年債入札
・7月13日(水):ユーロ圏鉱工業生産指数(5月)、米消費者物価コア指数(6月)、米バイデン大統領が中東歴訪、米地区連銀経済報告(ベージュブック)公表
・7月14日(木):米生産者物価コア指数(6月)
・7月15日(金):中国・新築住宅価格(6月)、中国・GDP(4-6月)、中国・鉱工業生産指数(6月)、中国・小売売上高(6月)、米小売売上高(6月)、米ニューヨーク連銀製造業景気指数(7月)、米鉱工業生産指数(6月)、米ミシガン大学消費者信頼感指数速報(7月)、G20財務相・中央銀行総裁会議(16日までインドネシア)
予想レートは米ドル・円が134円半ばから137円半ば。ユーロ・米ドルが0.99ドル前半から1.03ドル前半。
【米国】
為替(7月11日6時00分)
米ドル円(USDJPY) 136.04-136.12 (円)
ユーロ円(EURJPY) 138.52-138.68 (円)
ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0185-1.0187 (米ドル)
ポンド円(GBPJPY) 163.64-163.83 (円)
ポンド米ドル(GBPUSD) 1.2034-1.2040 (米ドル)
7月8日のニューヨーク外国為替市場では、堅調な経済指標が市場を支えた。6月雇用統計が発表され、非農業部門雇用者数(結果:37.2万件、予想:26.4万件、前回:39.0万件)が、市場予想以上に増加した。失業率(結果:3.6%、予想:3.6%、前回:3.6%)が予想通りながら50年ぶりの低水準を維持した。この結果から米連邦準備制度(FRB)が次回の連邦公開市場委員会(FOMC、7月26、27日)会合で利上げを実施する見込みが強まった。
また、2年債と10年債(長期金利)の利回りが4日連続で逆転(逆イールド)している。終値ベースで2年債が3.105%、10年債が3.08%となった。
米連邦準備理事会(FRB)高官の発言にも注目が集まった。アトランタ地区連銀のボスティック総裁は、今月のFOMCでの0.75%の追加利上げを支持すると述べた。また、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は高インフレを抑えるため、7月FOMCで0.50%か0.75%の利上げが議論されるとの認識を示した。さらに、フェデラルファンド(FF・米国の銀行が連邦中央銀行に預けている無利息の準備預金)金利が年末までに3-3.5%に達することがわれわれにとって必要な措置になることは明らかだと指摘。しかし「来年、どの程度の水準まで引き上げる必要があるのかはインフレやインフレ期待、景気減速の度合いによる」との見解を述べた。
米ドル・円(USDJPY)は、6月雇用統計が予想以上に増加し長期金利が上昇すると米ドル買いが優勢となりこの日の高値136.57円まで値を上げた。FRB高官の発言の影響もあり、その後は利益確定売りに押され徐々に値を下げ135.87円まで米ドルが売られた。小幅に値を戻し終値は136.10円となった。
ユーロ・米ドル(EURUSD)は、日本時間にリスク回避の姿勢が強まり2002年12月以来およそ19年半ぶりの安値1.0072ドルまで値を下げた。経済指標発表前後で値動きが激しくなったが、1.0189ドルまで買い戻され1.0185ドル で終えた。
ユーロ・円(EURJPY)も、リスク回避の姿勢の強まりから日本時間に136.87円まで値を下げたが、徐々に買戻しが入り値を上げた。雇用統計発表後は値を下げたが、再び値を戻し終値は138.65円だった。
株式
NYダウ平均 USD 31,338.15 -46.40 (-0.14%)
NASDAQ総合 USD 11,635.308 +13.962 (+0.12%)
S&P500 USD 3,899.38 -3.24(-0.08%)
7月8日の米株式市場のダウ工業株30種平均は3日ぶりに小幅に前日の終値を下回った。6月の雇用統計で雇用者数が市場予想以上に増加し、FRBの利上げ観測がさらに強まり幅広い銘柄が売られた。特に景気敏感株が売られた上、6月13日発表の6月米消費者物価指数(CPI)を見極めたいとの姿勢も強まり値が上がりづらい状況だった。
債券
米国債10年 3.08%(+0.072)
商品
NY原油(WTI) 1バレル=USD 104.79 +2.06(+2.01%)(8月渡し)
NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,742.3 +2.60(+0.15%)(8月渡し)
【日本】リスク回避の姿勢が強いも徐々に持ち直す
為替(17時)
7月8日の東京外国為替市場では、安倍晋三元首相の銃撃事件を受け一斉にリスク回避の姿勢が強まった。
米ドル・円は、株高を受け136.15円まで値を上げたが、11時30分過ぎに安倍元首相が襲撃されたとの報道からリスク回避の姿勢が強まり135.32円まで値を下げた。欧州勢参加後は買い戻され、徐々に値を上げ17時時点で135.83円となった。
ユーロ・円は、朝方は値を上げていたが安倍元首相の襲撃事件が報じられると値を下げた。欧州勢が参加すると小幅に値を戻し138円付近に上昇したものの欧州景気後退への懸念から再び円買いが強まり17時時点では137.30円だった。
ユーロ・米ドルは、朝方の株高を受けユーロ買いが優勢だったが円・米ドルが値を下げるとリスク回避の姿勢が強まり徐々に値を下げ2002年12月以来およそ19年半ぶりの安値1.0072ドルまで値を下げた。その後は少し値を戻し、17時時点では1.0108ドルで取引された。
債券
国債先物・22年9月限 149.24 (-0.23)
10年長期金利 0.245%(変化なし)