米ドル 日米金融政策の違いから24年ぶりの高値更新

【米国】

為替(7月12日6時00分)
 米ドル円(USDJPY) 137.41-137.42 (円)
 ユーロ円(EURJPY) 137.96-137.98 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0037-1.0043 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY) 163.39-163.44 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.1890-1.1893 (米ドル)

7月11日のニューヨーク外国為替市場では日米金融政策の違いが意識され、さらに米ドル買いが強まり東京市場に続き24年ぶりの高値を更新した。

また、2年債と10年債(長期金利)の利回りが5日連続で逆転(逆イールド)している。終値ベースで2年債が3.07%、10年債が2.993%となった。

米ドル・円(USDJPY)は、日銀が金融緩和を継続する一方で米連邦準備制度理事会(FRB)が高インフレ対応に向けた積極的な利上げ姿勢を続けており、姿勢の違いが意識され1998年9月以来、約24年ぶりの高値137.75円を更新した。その後は、中国でのコロナウイルス感染拡大による景気への影響が懸念され長期金利が3%を切ると、小幅に値を下げ終値は137.44円となった。

ユーロ・米ドル(EURUSD)は、欧州の景気悪化懸念や地政学リスク、さらに欧米の金利差の拡大観測の強まりからユーロが売られた。2002年12月以来の安値1.0034ドルを記録し、1ユーロ=1ドルのパリティ(等価)割れへの懸念が強まっている。終値は1.0040ドルだった。

なお、ロシアからのガス供給減少の影響を受け、ドイツのガス・電力大手ウニパーが経営難に陥りドイツ政府に救済を要請した。さらに、ロシアとドイツをつなぐ天然ガスの主要パイプライン「ノルドストリーム」が定期検査によって供給が止まった。毎年恒例の検査で21日ごろまで続く予定だが、ロシア側が検査終了後も供給停止を続ける恐れがあり懸念が強まっている。

ユーロ・円(EURJPY)も、足元でエネルギー価格が高騰する中でドイツのガス・電力大手ウニパーの経営問題や「ノルドストリーム」への懸念から投資家心理が冷え込み、ユーロが売られた。この日の安値137.89円まで売られ、137.96円で終えた。

英では与党・保守党がジョンソン首相の辞任を受けた党首選を実施する。7月21日までに候補者2人に絞り込み、9月には新党首を決定する予定だ。スナク前財務相とザハウィ財務相、シャップス運輸相、モーダント通商政策担当相らを加えた11人が立候補を表明した。いずれも高インフレへの対応を掲げており、最有力候補とされるスナク前財務相は減税の実施に慎重で、財政の健全化を重視すると訴えている。混戦の様相の深まりから、ポンド・米ドル(GBPUSD)は1.1946ドルから1.1867ドルまで下落し、1.1891ドルで終えている。

株式
 NYダウ平均 USD 31,173.84 -164.31 (-0.52%)
 NASDAQ総合  USD 11,372.599 -262.709 (-2.25%)
 S&P500     USD  3,854.43 -44.95(-1.15%)

7月11日の米株式市場のダウ工業株30種平均は連日で前日の終値を下回った。中国でコロナウイルス感染再拡大による供給網問題への懸念から投資家心理が冷え込んだ。企業の四半期決算発表を前に高インフレなどの影響を見極めたいとの思惑も出て、様子見の姿勢が強まったことも大きかった。ほぼ終日で前日の終値を下回り、3指数揃って値を下げた。

債券
 米国債10年 2.993%(-0.108)

商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 104.09 -0.70(-0.67%)(8月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,731.7 -10.60(-0.61%)(8月渡し)
 

【日本】長期政権への期待から米ドル・円は高値更新

為替(17時)
7月11日の東京外国為替市場では、前日に行われた参院選で自民党が圧勝したことを受け岸田政権長期化への期待からリスク選好の気運が高まった。この影響から米ドル・円は1998年9月以来、24年ぶりの高値137.28円を更新している。

また、日銀の黒田総裁が支店長会議の挨拶で当面はコロナウイルスの感染拡大の影響に注視し、必要があれば躊躇なく追加緩和を実施すると改めて強調したこともプラスとなった。

米ドル・円は、日本の長期政権への期待や日米金融政策の違いが意識され24年ぶりの高値を塗り替えた。米連邦準備制度理事会(FRB)が高インフレへの対応で利上げを続ける見込みが強まっている影響も大きかった。その後は、米長期金利の低下などから徐々に値を下げ17時時点では136.80円となった。

ユーロ・円は、投資家心理が上向きリスクオンのユーロ買いが強まり、この日の高値139.17円まで値を上げた。その後は、米株価指数先物の下落から投資家心理が冷え込み徐々に値を下げ、17時時点では138.33円で取引されている。

ユーロ・米ドルは、米ドル・円の上昇を受けた米ドル買いが優勢となり徐々に値を下げた。米株価指数先物の下落からユーロ・円が売られた影響もあり、17時時点では1.0111ドルだった。

債券
 国債先物・22年9月限 149.01 (-0.23)
 10年長期金利 0.240%(-0.005) 

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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