2022/07/25 6:26 JST投稿
【今週の見通し】(7月25日-7月29日)
先週は7月21日に発表された7月フィラデルフィア連銀景況指数、先週分の新規失業保険申請件数6月景気先行指数が軒並み低調な結果となり投資家心理が冷え込んだ。さらに、翌日に発表された欧米の購買担当者景気指数(PMI)が景気後退を示す50を切り、より投資家心理が冷え込み、全般リスク回避の姿勢が強まった。
欧州ではエネルギー価格が家計を占める割合が高く、コロナやウクライナ戦争で厳しい中、価格の上昇が生活に追い打ちをかけ負担が増加している。さらに、イタリアやフランスなどの政局の不安定さに加え、ドイツのショルツ首相の政局運営も厳しい舵取りが続いており、困難な状況が続くだろう。おそらく。この先、秋冬になるとエネルギー需要が高まることから、更なる景気悪化が進む可能性が高い。
今週(7月26、27日)開催が予定される米連邦公開市場委員会(FOMC)が一番の注目イベントだ。当初1%の利上げが予想されていたが、今回は0.75%の利上げに落ち着くのではないかと見られている。もし、1%の利上げとなった場合は世界的に荒れた市場となるだろう。日米金利差の認識は変わらず円安の流れが続く模様だ。
英国では7月20日に発表された6月消費者物価指数(CPI)が前年同月比で9.4%上昇し、1982年2月以来の伸び率を記録した。イングランド銀行(英中央銀行)のベイリー総裁は、8月に初の0.5%の利上げを実施すると述べているが、状況によっては0.25%に留まる可能性もある。いずれにせよ、景気後退の懸念は強まっており利上げは確実視されている。そのため、ポンド買いが優勢で、米ドル・円に大きな動きがない場合はポンド買いが継続するだろう。
主な金融スケジュール
7月25日(月):独IFO企業景況感指数(7月)
7月26日(火):日・日銀政策委員会・金融政策決定会合議事要旨(6月16、17日分)、国際通貨基金(IMF)が世界経済見通し(WEO)、米S&P・コアロジックCS20都市住宅価格指数(5月)、米消費者信頼感指数(7月)、米新築住宅販売件数(6月)、米連邦公開市場委員会(FOMC、27日まで)
7月27日(水):パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長記者会見、米耐久財受注(6月)、米中古住宅販売成約指数(6月)
7月28日(木):米GDP速報値(4-6月)
7月29日(金):米ミシガン大消費者信頼感指数(7月、確報値)、米シカゴ購買部協会景気指数(7月)、 米個人所得・個人消費支出(6月)、ユーロ圏消費者物価指数(7月、速報値)、ユーロ圏GDP速報値(4-6月)
7月31日(日):中国製造業、非製造業PMI(7月)
予想レートは米ドル・円が134円後半から138円後半。ユーロ・米ドルが0.99ドル前半から1.03ドル前半。
【米国】
為替(7月25日6時00分)
米ドル円(USDJPY) 136.06-136.09 (円)
ユーロ円(EURJPY) 138.94-139.05 (円)
ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0214-1.0216 (米ドル)
ポンド円(GBPJPY) 163.29-163.48 (円)
ポンド米ドル(GBPUSD) 1.2003-1.2010 (米ドル)
7月22日のニューヨーク外国為替市場では、欧州圏および独、さらに米国の購買担当者景気指数(PMI)速報値が景気後退を示す50を切り投資家心理が冷え込んだ。7月米総合PMI(結果:47.5、予想:52.4、前回:52.3)は、2020年5月以来、約2年ぶりの低水準となっている。なお、サービス業PMI(結果:47.0、予想:52.6、前回:52.7)は2020年5月以来の低水準で、コロナ禍の時期を除き2009年までさかのぼるデータ上で最悪の数値だったが雇用は堅調だった。製造業PMI(結果:52.3、予想:52.0、前回:52.7)では、2年ぶりの低水準で、新規受注が2カ月連続で縮小し、雇用の伸びも減速している。
また、欧州圏および独PMIの冴えない結果から独の長期金利が一時、5月30日ぶりに1%を切った。欧州圏および独PMIの結果については、以下の日本の為替を参照ください。
2年債と10年債(長期金利)の利回りは、14日連続で逆転(逆イールド)している。終値ベースで2年債が2.972%、10年債が2.754%となった。
ユーロ・米ドル(EURUSD)では、欧州時間に欧州圏のPMIが低下した影響から値を下げた反動が出た。朝方に発表された米PMIもさえない結果となり、長期金利や株価が低下し、この日の高値1.0255ドルに値を上げた。しかし、イタリアをはじめとする政局やノルドストリーム1を巡るエネルギー供給への不安や景気後退への懸念から、投資家のリスク回避のリスクオフの姿勢が強まった。終値は1.0213ドルとなっている。
ユーロ・円(EURJPY)は、世界的な景気後退懸念や欧州の政局などへの不安からリスクオフの姿勢が強まり、円買いが優勢だった。この日の安値138.78円を付けた後は小幅に戻し、終値は139.00円となった。
米ドル・円(USDJPY)でも、リスクオフの姿勢が強まった。債権が買われ長期金利が2.732%と2カ月ぶりの水準に低下し、7月8日以来、2週間ぶりの安値135.57円まで値を下げた。その後は、長期金利が2.79%台に戻ると、小幅に値を戻し終値は136.12円だった。
株式
NYダウ平均 USD 31,899.29 -137.61 (-0.42%)
NASDAQ総合 USD 11,834.112 -225.497 (-1.86%)
S&P500 USD 3,961.63 -37.32(-0.93%)
7月22日の米株式市場のダウ工業株30種平均は4日ぶりに値を下げ、前日の終値を下回った。欧州圏および独、さらに米国のPMIが景気後退を示す50を切りリスク回避の姿勢が強まった。さらに前日決算を発表した写真・動画共有アプリのスナップが大幅に売られ、広告事業への懸念から大手ハイテク企業の株式に売りが波及した。これらの影響から投資家心理が終日で冷え込み、3指数揃って値を下げている。
債券
米国債10年 2.754%(-0.154)
商品
NY原油(WTI) 1バレル=USD 94.70 -1.65(-1.71%)(9月渡し)
NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,727.4 +14.00(+0.82%)(8月渡し)
【日本】欧州・独PMIで景気後退観測強まり投資家心理悪化
為替(17時)
7月22日の東京外国為替市場では、前日に日銀が金融緩和継続の姿勢を強調し、日米金利が意識され米ドル・円は堅調だった。
また、7月独製造業PMI速報値(結果:49.2、予想:50.7、前回:52.0)、7月独サービス業PMI速報値(結果:49.2、予想:51.4、前回:52.4)ともに景気後退を示す50を下回った。さらに、7月ユーロ圏PMI速報値では、製造業(結果:49.6、予想:51.0、前回:52.1)が50を切り縮小し、サービス業(結果:50.6、予想:52.0、前回:53.0)では停滞している。この結果を受け独長期金利が低下した。
米ドル・円は、日米金利が意識され米ドル買いが優勢だった。この日の高値137.96円まで値を上げた。売りポジションを買い戻すショートカバーの動きが出たことも上昇にプラスとなった。その後は、独、ユーロ圏のPMIが目安の50を切り、投資家心理が冷え込み徐々に値を下げ、17時時点では137.58円で取引されている。
ユーロ・米ドルは、リスク回避の姿勢が強まり徐々に値を下げた。その後は小幅に値を戻したが、独、ユーロのPMI速報値が悪化し、17時時点では1.0138ドルだった。
ユーロ・円は、終日リスク回避のリスクオフの姿勢が優勢だった。特に独、ユーロのPMI速報値が悪化し、この日の安値139.43円まで値を下げた。17時時点では139.48円となった。
債券
国債先物・22年9月限 149.75 (+0.46)
10年長期金利 0.215%(-0.020)