ユーロ圏のリスク要因への懸念強まる

【米国】

為替(7月26日6時00分)
 米ドル円(USDJPY) 136.63-136.73 (円)
 ユーロ円(EURJPY) 139.59-139.76 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0216-1.0221 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY) 164.50-164.70 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.2037-1.2047 (米ドル)

7月25日のニューヨーク外国為替市場では、米連邦公開市場委員会(FOMC)を控え大きな動きは出にくい状況だった。一方で欧州は、景気後退懸念やイタリアの政局不安、ノルドストリームの不安定な状況が懸念され、ユーロでは懸念が強まっている。

欧州時間に発表された7月独 Ifo景況感指数(結果:88.6、予想:90.2、前回:92.3)が予想を下回り、コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)初期以来の低水準となった。

また、ロシアの国営ガス大手ガスプロムは、ロシアとドイツを結ぶ天然ガスパイプライン「ノルドストリーム」経由のガス供給量を27日から現行の半分に削減すると発表した。供給量は6月から大幅に削減されており、今回の措置で通常の2割の削減となる。ロシア大統領府は供給量の減少はメンテナンス作業と西側諸国の制裁措置に起因すると指摘している。

さらに、朝方に発表された6月シカゴ連銀全米活動指数(結果:-0.19、予想:0、前回:-0.19)は2020年5月以来の最低を記録し、予想外で2カ月連続のマイナスとなった。7月ダラス連銀製造業活動指数(結果:-22.6、予想:-18.5、前回:-17.7)では、予想を下回り3ヵ月連続でマイナスとなり、2020年5月以来の最低を記録した。これを受け、長期金利が2.843%から2.803%に低下した。

2年債と10年債(長期金利)の利回りは、15日連続で逆転(逆イールド)している。終値ベースで2年債が3.018%、10年債が2.807%となった。

ユーロ・米ドル(EURUSD)では、独 Ifo景況感指数の低調な結果などからリスク回避の姿勢が強まり、この日の安値1.0179までから値を下げた。その後は、露大統領府報道官による「ロシアは欧州向けガス供給の遮断に関心はない」という発言から値を上げたが、ロシアの国営ガス大手ガスプロムが供給量の削減を発表すると再び値を下げ終値は1.0218ドルだった。

ユーロ・円(EURJPY)は、朝方にこの日の高値140.07円まで値を上げたが、ノルドストリームを巡る動きに翻弄された。徐々に値を下げ139.45円を付けたが値を戻し、終値は139.69円となった。

米ドル・円(USDJPY)は、朝方に発表されたシカゴとダラスの連銀指数が低調な結果となり長期金利が低下し、米ドルが売られ136.45円まで値を下げた。しかし、買戻しが入りこの日の高値136.79円まで値を上げた。その後は、FOMCを控え様子見の姿勢が強まると値動きが少なくなり、終値は136.71円だった。

株式
 NYダウ平均 USD 31,990.04 +90.75 (+0.28%)
 NASDAQ総合  USD 11,782.667 -51.445 (-0.43%)
 S&P500     USD  3,966.84 +5.21(+0.13%)

7月25日の米株式市場のダウ工業株30種平均は、前日の終値を上回った。FRBの過度な利上げへの警戒感が後退し、買いが優勢だった。大手ハイテク企業の決算発表を前に売りが優勢だった影響も大きく、小幅な上昇に留まった。この影響から3指数の中でナスダックは値を下げ終えている。

債券
 米国債10年 2.807%(+0.026)

商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 96.70 +2.00(+2.11%)(9月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,719.1 -8.30(+0.48%)(8月渡し)
 

【日本】FOMC控え値が上がりづらい状況に

為替(17時)
7月25日の東京外国為替市場では、先週末のリスク回避の動きを受け朝方は買いが優勢だったものの低調な株価や時間外の米長期金利が低下し値が上がりづらかった。また、米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えている影響も大きい。

米ドル・円は、朝方は先週末に値を下げた反動から、この日の高値136.61円まで買戻しが入った。その後は利益確定売りや低調な株価を受け、この日の安値135.89円まで売られた。その後、買戻しが入るも時間外の長期金利が低下し、FOMCを控え値が上がりづらい状況だった。17時時点では136.40円で取引されている。

ユーロ・米ドルは、米ドル・円の動きにつられ朝方に米ドル買いが優勢になるとこの日の安値1.0179ドルまで売られた。その後は小幅な動きに留まり、17時時点では1.0192ドルとなった。

ユーロ・円は、大きな動きは出ず小幅な動きに留まった。一時、この日の安値138.72円まで売られるも、小幅に値を戻し17時時点では139.02円だった。

債券
 国債先物・22年9月限 150.10 (+0.35)
 10年長期金利 0.200%(-0.015) 
 

【マーケットアナリティクス】ポンド・米ドルは優勢で新たな週をスタート(7月25日)

朝の見通しで予想した通り、市場は先週末に始まった楽観的な見方を続けている。欧州時間には、ポジティブなムードが加速し、多くの商品有望視されてがいる。

本稿では、過去数ヶ月間本当にひどい状況だったポンド・米ドル(GBPUSD)を取り上げる。これまでとは打って変わって、7月後半は有望な状況だ。テクニカル的には、買いシグナルが点灯している。逆ヘッドアンドショルダーパターン(緑※)を形成し、中期下降トレンドライン(赤)をブレイクすることができたことが大きい。

今日、このパターンのネックライン(オレンジ色のエリア)の上に戻ることができたので、ヘッドアンド・ショルダーズ(H&S)が活性化した。これはポジティブなシグナルが点灯していることを意味する。本格的な買いシグナルが出る前に残されたのは、年初から下値を結んでいる青い下降トレンドラインのブレイクアウトである。この場合、価格が青いラインの上で1日を終えれば、取引は成立する。

(※)ヘッドアンドショルダーパターン:チャート上で相場の天井を迎えたことを示唆するパターン。三つの山と二つの谷で形成され、二つの山に挟まれた真ん中の山が相場の天井(高値)を示している。ダブルフォーメーションより出現頻度が少なく、高確率でトレンドが転換される状況が示される。
  ポンド・米ドル、デイリーチャート 7月25日(CET・中央ヨーロッパ時間)

引用元: “GBPUSD Starts a New Week on the Front Foot” (2022年7月25日, AXIORY Global Market News)

追記:7月26日、日本時間6:00のポンド・米ドルは1.2037-1.2047ドルで取引されている

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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