米ドル 欧州景気悪化や利上げを見込み堅調に上昇

2022/07/27 7:07 JST投稿
 
 

【米国】

為替(7月27日6時00分)
 米ドル円(USDJPY)    136.83-136.94 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    138.43-138.52 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0113-1.0119 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    164.66-164.80 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.2027-1.2032 (米ドル)
 
7月26日のニューヨーク外国為替市場では、朝方は厳しい経済指標から長期金利が低下した。その後は、リスク回避のユーロ売りや米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ観測を受け、投資家心理が上向いた。
 
朝方に連邦住宅金融局(FHFA)が発表した5月FHFA住宅価格指数(結果:1.4%、予想:1.6%、前回:1.6%)は、伸びは予想を下回り年初来で最低となった。同時刻に発表された5月 S&Pケースシラー住宅価格(20都市、前年比、結果:20.5%、予想:20.6%、前回:21.23%)では、前月よりも予想以上に鈍化した。この結果を受け、長期金利が2.717%まで低下した。
 
さらに、7月消費者信頼感指数(結果:95.7、予想:96.9、前回:98.7)は、予想以上に低下し昨年2月来で最低だった。リッチモンド連銀製造業指数発表(結果:0.0、予想:-15.0、前回:-11.0)では、予想以上に改善し4月以来で最大となった。6月新築住宅販売件数(結果:59.0万件、予想:65.9万件、前回:69.6万件)は予想以上に減少し、パンデミックによる経済封鎖直後の20年4月以来で最小を記録した。強弱入り混じる経済指標ながら、FOMCの利上げの織り込みから債権が売られ、長期金利は2.754%に上昇した。
 
2年債と10年債(長期金利)の利回りは、16日連続で逆転(逆イールド)している。終値ベースで2年債が3.059%、10年債が2.803%となった。
 
米ドル・円(USDJPY)では、朝方に弱い経済指標から長期金利が2.717%に低下しこの日の安値(136.28円)と同水準の136.29円まで売られた。しかし、FOMCでの大幅な利上げが確実視されており、長期金利が上昇に転じると米ドル買いが強まり、堅調に値を上げた。この日の高値136.97円まで上昇し、終値は136.91円だった。
 
ユーロ・米ドル(EURUSD)では、前日に発表された天然ガス供給不安によるエネルギー価格の上昇による景気への影響が懸念され、終日でリスク回避の米ドル買いが優勢となった。一時、この日の安値1.0108ドルまで売られ、終値は1.0117ドルで終えている。
 
ユーロ・円(EURJPY)は、リスク回避のユーロ売りが終日で優勢だった。徐々に値を下げ、この日の安値138.13円まで値を下げた。その後は小幅に値を戻し、終値は138.51円だった。
 
株式
 NYダウ平均  USD 31,761.54 -228.75 (-0.71%)
 NASDAQ総合  USD 11,562.575  -220.092 (-1.86%)
 S&P500      USD  3,921.05  -45.79(-1.15%) 
 
7月26日の米株式市場のダウ工業株30種平均は、前日の終値を下回った。7月消費者信頼感指数から消費への懸念が強まった上、ウォルマートが前日の夕方に発表した業績見通しの引き下げから消費関連株が売られた。また、FOMCで大幅な利上げが見込まれていることから利益確定売りや機関投資家のファンドの持高の調整にも押され、3指数揃って値を下げ終えた。
 
債券
 米国債10年 2.803%(-0.017)
 
商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 94.98 -1.72(-1.78%)(9月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,717.7  -1.40(-0.08%)(8月渡し)
 
 

【日本】米長期金利に左右された値動きに

為替(17時)
7月26日の東京外国為替市場では、米長期金利が低下した流れを受け継ぎ朝方はリスク回避の姿勢が強まった。その後、本日から2日間にわたって開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)で前回に引き続き大幅な利上げが見込まれる上、米長期金利が上昇に転じると投資家心理が上向いた。
 
なお、日銀は本日、金融政策決定会合(6月16、17日開催)の議事録を公表した。一部の委員から急激な円安の悪影響を懸念する発言もあったが、物価上昇は一時的で賃上げにより物価目標を実現させる観点から緩和が必要との認識を共有した。また、予想物価上昇率は短期を中心に上昇しているとの見方で委員が一致したことが示された。予想通りの内容で、影響は軽微だった。
 
米ドル・円は、朝方は長期金利の低下から徐々に値を下げたものの、買戻しが入り136.73円まで値を上げた。その後は売買が錯綜したが、長期金利の上昇やFOMCでの利上げ観測の強まりから堅調に推移し、この日の高値136.74円を付けた。17時時点では136.65円となった。
 
ユーロ・米ドルは、ユーロにリスク要因が多いため、日本時間では値動きは限定的だった。欧州勢が参入し始めると、米長期金利の上昇やFOMCでの利上げ観測を受け徐々に値を下げた。17時時点では1.0219ドルで取引されている。
 
ユーロ・円は、ユーロのリスク要因と金融政策の乏しい円の組み合わせから、日本時間の値動きは限定的だった。欧州勢参加後は、この日の高値139.84円まで値を上げたが、徐々にリスク回避の姿勢が強まり17時時点では139.65円だった。
 
債券
 国債先物・22年9月限  150.21 (+0.11)
 10年長期金利  0.205%(+0.005)

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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