日銀為替介入への警戒から値を上げづらい状況に

2022/09/16 7:42 JST投稿
 

【米国】

為替(916600分)
 米ドル円(USDJPY)    143.45-143.53 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    143.44-143.61 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 0.9997-1.0001 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    164.47-164.66 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.1464-1.1470 (米ドル)

915日のニューヨーク外国為替市場では、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ観測が強まる中、日銀の為替介入への警戒感が強まり、値を上げづらい状況となった。

朝方に発表された経済指標では、強弱入り混じる結果となったため影響は軽微だった。まず、8月米小売売上高(前月比、結果:0.3%、予想:-0.1%、前回:0.0%)は、予想外に増加し鈍化の兆しが見られた。また、9月ニューヨーク連銀製造業景況指数(結果:-1.5、予想:-13.0、前回:-31.3)が大幅に改善した。さらに、先週分新規失業保険申請件数(結果:21.3万件、予想:22.6万件、前回:22.2万件)でも予想に反し減少している。

これらとは対照的に9月フィラデルフィア連銀製造業景況指数(結果:-9.9、予想:2.4、前回:6.2)は予想外にマイナスに転じ生産活動の弱さを示した。さらに、8月米鉱工業生産も(結果:-0.2%、予想:0.3%、前回:0.6%)予想外にマイナスに転じている。これは天候要因で電力など公益事業が2.3%低下した影響が大きかったが、企業の設備投資は堅調であることが示された。

金融政策の影響を受けやすい2年債と10年債(長期金利)の利回りは、52日連続で逆転(逆イールド)した。終値ベースで2年債が3.863%10年債が3.449%となっている。

米ドル・円(USDJPY)は、FRBの利上げ観測から米ドル買いが優勢だったが、日銀の為替介入への警戒が強まり上値は重かった。朝方にこの日の安値143.15円を付けたが、徐々に値を戻し、この日の高値143.72円を付けた。その後は買戻しが入り終値は143.52円となった。

ユーロ・米ドル(EURUSD)は、欧州中央銀行(ECB)の利上げ観測の強まりから値を上げたものの、欧州景気後退への懸念も根強く振れ幅が出やすい取引となった。朝方に、この日の高値1.0018ドルまで値を上げたが、すぐに等価割れし0.9982ドルまで値を下げた。その後も荒い値動きとなるも大幅な下落にはつながらず、終値は1.0001ドルだった。

なお、ECB高官のタカ派的な発言も後押ししている。デギンドス副総裁は「インフレ期待抑制に断固として行動が必要」と述べ、マクルーフ・アイルランド中銀総裁が「利上げは絶対必要」と積極的な利上げ支持を示した。その一方で、ECBの政策委員会メンバー、ポルトガル中銀のセンテノ総裁は「欧州経済を不安定にしないよう、ECBは可能な限り小幅な利上げに留めるべき」と強調したことで、ユーロ売りに転じている。

ユーロ・円(EURJPY)は、ECBと日銀の金融政策の違いが意識され堅調に値を上げた。ユーロ買いが強まり、この日の高値143.68円まで上昇したが、日銀の為替介入への意識や欧州景気後退への懸念から値を下げ、143.53円で終えている。

株式
 NYダウ平均  USD 30,961.82 -173.27-0.55%
 NASDAQ総合 USD 11,552.357 -167.321 -1.42%
 S&P500   USD 3,901.35  -44.66-1.13%) 

915日の米株式市場のダウ工業株30種平均は、前日の終値を下回った。金利の上昇から利ざやが拡大し利益を得られる金融株やこのところの下落を受けた割安な株が買われる場面もあった。しかし、米連邦理事会(FRB)が利上げを加速させるとの警戒が強まり、ハイテク株が売られた影響が大きく3指数揃って前日の終値を下回っている。

債券
 米国債10年 3.449%+0.037

商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 85.10 -3.38-3.82%)(10月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,677.3  -31.80-1.86%)(12月渡し)
 

【日本】円安を受けた貿易赤字拡大がから円売りに

為替(17時)
915日の東京外国為替市場では、時間外の米金利が上昇した上、8月の貿易赤字が比較可能な1979年以降で最大となったことで円が売られている。貿易赤字は資源価格の高騰や円安が、輸入コストを押し上げたことが主な要因で、過去最大の2.8兆円となっている。

米ドル・円では、朝方に米ドル売りが優勢となり、この日の安値142.80円を付けた。その後、貿易収支が発表され貿易赤字が過去最大と判明すると、米ドル買いに転じた。この日の高値143.80円まで値を上げるも、米金利の上昇が落ち着くと小幅に値を下げ17時時点では143.57円となっている。

ユーロ・米ドルは、米長期金利の上昇から、米ドル買いが強まり前日の安値と同額の0.9956ドルまで値を下げた。その後は、買戻しが入り17時時点では0.9977ドルだった。

ユーロ・円は、米ドル・円の上昇につられユーロ買いが強まり、堅調に値を上げた。朝方にこの日の安値142.57円を付けていたが、上昇により17時時点では143.25円で取引されている。

債券
 国債先物・2212月限  148.56 -0.16
 10年長期金利  0.250%(変化なし)

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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