日本政府の介入から対円通貨で様子見の姿勢強まる

2022/09/23 7:47  JST投稿
 

【米国】

為替(9月23日6時01分)
 米ドル円(USDJPY)    142.33-142.44 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    139.98-140.34 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 0.9834-0.9838 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    160.27-160.39 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.1256-1.1260 (米ドル)

9月22日のニューヨーク外国為替市場は、米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げによる米ドル買いが進み、日本時間の17時過ぎに日本政府が円買い介入を実施した影響が大きかった。この結果、対ドルで24年ぶりの高値水準から急激に値を落としている。その後は、長期金利が11年ぶりの高水準となると米ドルが小幅に買い戻されるも、日本政府の介入への警戒から値動きが抑制された。

この日、英イングランド銀行が0.5%、スイス国立銀行が0.75%の利上げを決定している。スイス国立銀行は今回、2015年1月に導入したマイナス金利政策を終了しており、マイナス金利政策を継続するのは主要国で日本のみとなった。

金融政策の影響を受けやすい2年債と10年債(長期金利)の利回りは、57日連続で逆転(逆イールド)している。終値ベースで2年債が4.118%、10年債が3.71%となっている。長期金利は一時3.718%と2011年2月以来、11年ぶりの高水準となった。2年債も上昇し、一時4.163%と2007年10月、15年ぶりの高水準となり、さらに逆イールドが進んだ。

米ドル・円(USDJPY)では日米金融政策の違いによる金利差が意識され、日本時間の夕方に1998年8月以来、24年ぶりの高値水準の145.90円まで値を上げた。しかし、日本政府による円買い介入が実施された影響から急激に値を下げ、朝方に140.36円となり5円以上の急激な下落となった。その後、長期金利が上昇すると142.50円まで値を戻すも、日本の更なる介入が警戒され様子見の姿勢が強まり横ばいで推移し142.39円で終えた。

ユーロ・米ドルでは、ユーロ圏9月消費者信頼感指数(結果:-28.8、予想:-25.8、前回:-25.0)が記録開始以来の最低水準となり、懸念が強まっている。この結果、朝方からユーロ売りが先行し、0.9812ドルまで値を下げた。その後は小幅な買戻しが入り、終値は0.9836ドルとなった。

ユーロ・円(EURJPY)では、日本時間に日本政府が円買い介入を行なった影響から、朝方にこの日の安値138.71円を付けた。その後小幅に買い戻されるも、新たな介入への懸念が強まり、横ばいで推移し、終値は140.08円だった。

株式
 NYダウ平均  USD 30,076.68 -107.10(-0.35%)
 NASDAQ総合  USD 11,066.805    -153.387 (-1.36%)
 S&P500      USD  3,757.99  -31.94(-0.84%) 

9月22日の米株式市場のダウ工業株30種平均は、3日連続で前日の終値を下回った。FOMCや欧州の主要な中央銀行が高インフレへの対応策として大幅な利上げが相次ぎ実施。これを受け、世界的な景気悪化への懸念から投資家心理が冷え込んだ。景気の影響を受けにくいデフェンシブ株が買われ、前日の終値を上回る場面もあったが、景気敏感株やハイテク株の売りが優勢で3指数揃って値を下げ終えている。

債券
 米国債10年 3.71%(+0.198)

商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 83.49 +0.55(+0.66%)(11月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,681.1  +5.40(+0.32%)(12月渡し)
 

【日本】日銀緩和継続受け米ドル買い強まる

為替(17時)
9月22日の東京外国為替市場では、注目が高まっていた日銀の金融政策決定会合で金融緩和の維持が発表され、日米金利差が意識され更なる米ドル買いにつながった。しかし、その後、日本政府による円買い介入が1998年6月以来、24年3カ月ぶりに行われ、円は対ドルで急激に下落している。

日銀の黒田東彦総裁は、「日本経済はコロナウイルス禍からの回復途上で景気を下支えする必要がある。」「当面、金利を引き上げることはない」と断言。「必要な時点まで金融緩和を継続する。必要があれば躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる」と強調した。円安については、「一方的な動きであり、投機的な要因もある」と指摘。さらに、物価に関しては「年内にさらに上昇する可能性はあるが、輸入物価の上昇は減衰していくので2023年度以降は2%を下回る」との見通しを示した。そのため、フォワードガイダンス(指針)変更についても黒田総裁は当面(2-3年)は変更が必要とは考えていないと明言している。

なお、黒田総裁の会見後、17時過ぎに日本政府が円買い介入を実施し、急激に円は対ドルで急激に値を下げた。政府高官等のコメントは、以下のマーケットアナリティクスを参照。

米ドル・円では、朝方、日銀の姿勢を見極めたいとの思惑から様子見の姿勢が強まった。その後は、小幅な上昇が続いていたが、日銀の緩和継続が報じられると米ドルが買い増しされ、24年ぶりの高値水準の145.90円まで値を上げた。17時時点で145.77円となっている。

ユーロ・円は、米ドル・円の動きに連動した。堅調に値を上げ、黒田総裁の会見後さらに円が買われた。この日の高値143.70円を付け、17時時点では143.52円で取引された。

ユーロ・米ドルは、朝方は米ドルの上昇につられ値を上げていたが、欧州の景気後退懸念もあり徐々に値を下げた。その後は、ユーロ・円の上昇につられ値を上げ17時時点では0.9845ドルだった。

債券
 国債先物・22年12月限  148.69 (+0.43)
 10年長期金利  0.235%(-0.015)
 

【マーケットアナリティクス】米ドル・円、政府介入で極端なボラティリティを示す(9月22日)

日本政府が円の悪化を食い止めるため円を大量に売り、米ドル・円(USDJPY)がこの日の高値から約500ピップス(5円)急落した。

日銀が為替市場に介入
ロイターによると、鈴木俊一財務相は、日本政府が1998年以来、24年ぶりに円買い介入を実施後に緊急記者会見を開き、「投機による過度な変動が繰り返されることは見過ごすことができない。このような考え方から為替介入を実施した」と述べた。

また、「高い緊張感をもって注視するとともに、過度の変動に対しては必要な対応を取りたい」とも述べた。さらに米国を含む主要7カ国(G7)と「連絡を常に取り合っている」としたが、反応については「コメントを控える」とした。協調介入だったかどうかの明言を避けた。

日本の神田真人財務官は円買い介入に関し、「休日を含め、いつでも、どこでも」可能であると記者団に語っている。

チャートは中立的に見える
投資家は埃が落ち着くまで新規のロングポジションを持つことを恐れているのかもしれない。

さらに、145を超える偽のブレイクアウト(高値が上値抵抗線を超えるタイミング)は、トレーダーに新規の買い(ロング)を躊躇させる可能性がある。その結果、141.70付近に位置するレンジ相場の下値圏まで下落した。

USDJPYがこのレベル以下で終えた場合、弱気(ベア)シグナルとなり、初動で140をターゲットとする可能性がある。

一方、141.70を下回ることができなければ再び上昇し、現在のサイクルハイである145付近をターゲットとするスクイーズ(相場の上昇により、損切り注文から売りポジションが買い戻され、その結果相場上昇につながる)となる可能性がある。これは、近い将来、価格変動(ボラティリティ)が非常に高くなることを意味する。

USD/JPY Shows Extreme Volatility amid Government Intervention

米ドル・円、デイリーチャート 9月22日(CET・中央ヨーロッパ時間)
 
引用元: “USD/JPY Shows Extreme Volatility amid Government Intervention” (2022年9月22日, AXIORY Global Market News)  
 
追記:9月23日、日本時間6:01の米ドル・円は142.33-142.44円で取引されている

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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