米ドルは金融高官のタカ派的な発言が支えとなり堅調

2022/10/07 7:34 JST投稿

【米国】

為替(107600分)
 米ドル円(USDJPY)    145.11-145.13 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    142.11-142.12 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 0.9789-0.9791 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    161.94-162.10 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.1158-1.1164 (米ドル)

106日のニューヨーク外国為替市場では、先週分(925-101日)の新規失業保険申請件数(結果:21.9万件、予想:20.2万件、前回:19.3万件)の弱い結果が足かせとなった。8月末以来の高水準となった上、米失業保険継続受給者数(918-924日、結果:136.1万件、予想:134.9万件、前回:134.7万件)が予想外に増加し8月末以降で最高となり、長期金利が3.77%から3.73%に低下した。

しかし、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁が「インフレに関してまだやるべきことがある」「積極的な利上げを一時停止するのはかなり先」などと述べ、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ転換期待をけん制した。さらに、クックFRB理事が「持続的なインフレがFRBの急速な利上げを正当化する」と述べ、金融当局による引き締め政策への支持を表明している。

金融政策の影響を受けやすい2年債と10年債(長期金利)の利回りは、66日連続で逆転(逆イールド)しており、終値ベースでは2年債が4.256%10年債が3.828%だった。

なお、欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(議事録)が発表され、一部の当局者が景気後退リスクに配慮し0.5%の利上げに留める主張を行なったことが明らかとなった。今回は0.75%の利上げが決定されたが、利上げ継続が示唆されたものの弱いハト派的な姿勢が示されている。

米ドル・円(USDJPY)では、朝方は新規失業保険申請件数の弱い結果から小幅に値を下げたが、日米金利差や長期金利の上昇に支えられ堅調に値を上げた。ミネアポリス連銀カシュカリ総裁やクックFRB理事のタカ派的な発言にも支えられ、104日の高値144.93円を超え、145.14円の高値で終えた。

ユーロ・米ドル(EURUSD)は、ECBの議事録でハト派的な姿勢が示された反面、FRBのタカ派的な発言から、この日の安値0.9788ドルまで値を下げた。地政学リスクやエネルギー価格高騰による景気後退懸念からリスク回避の姿勢が強く、その後も低調な流れが続き終値は0.9791ドルとなった。

ユーロ・円(EURJPY)は、ユーロ・米ドルにつられた上、欧米の株価の下落から投資家心理が冷え込みリスク回避の円が買われた。この日の安値141.96円を付けた後は、小幅に値を戻すも低調で終値は142.10円だった。

ポンド・米ドル(GBPUSD)は、厳しい状況だった。発端は、前日に格付け会社フィッチ・レーティングスが英国の長期外貨建て発行体デフォルト格付けの見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げたことだ。格付けは「AAマイナス」に据え置いているが、「新政権が成長計画の一環として発表した大規模かつ財源不足の財政パッケージは、中期的に財政赤字を大幅に拡大させる可能性がある」と示している。これを受け、ポンド売りが優勢となり1.115ドルの安値を付けた。その後は小幅に値を戻し、1.1167ドルで終えている。

株式
 NYダウ平均  USD 29,926.94 -346.93-1.14%
 NASDAQ総合 USD 11,073.311 -75.327 -0.67%
 S&P500   USD 3,744.52  -38.76-1.02%) 

106日の米株式市場のダウ工業株30種平均は連日で前日の終値を下回り、3日ぶりに3万ドルを割り込んだ。長期金利の上昇による株価の割高感や翌日に米雇用統計の発表を控え利益確定を優先させた売りも出てた上、様子見の姿勢も強く、3指数揃って値を下げ終えている。

債券
 米国債10年 3.828%+0.069

商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 88.45 +0.69+0.79%)(11月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,720.80  (変化なし)(12月渡し)
 

【日本】米ドルは米長期金利上昇や決済から堅調に

為替(17時)
106日の東京外国為替市場では、翌日に米雇用統計の発表を控え、大きな動きが出づらい状況だったが堅調な取引が行われた。

米ドル・円では、朝方に144.39円の安値から徐々に上昇し、高値の144.70円まで値を上げた。その後は、時間外の米長期金利が3.78%台に上昇したことが好感され徐々に買われ、17時時点では144.59円となった。

ユーロ・米ドルは、朝方に米ドル売りが優勢だった流れから、この日の高値0.9927ドルまで値を上げた。その後は、翌日の雇用統計を控え様子見の姿勢が強く、大きな動きが出ず17時時点では0.9909ドルだった。

ユーロ・円は、朝方に143円半ばまで値を上げたが、その後は様子見の姿勢が強かった。大きな動きが出なかったものの、この日の高値143.46円まで上昇後、17時時点では143.27円で取引されている。

債券
 国債先物・2212月限  148.85 -0.15
 10年長期金利  0.245%(変化なし)

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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