USDJPY 32年ぶりの高値をさらに更新し150.29円に

2022/10/21  7:36  JST投稿
 

【米国】

為替(10月21日6時00分)
 米ドル円(USDJPY) 150.10-150.18 (円)
 ユーロ円(EURJPY) 146.87-147.01 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 0.9786-0.9789 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY) 168.62-168.81 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.1231-1.1240 (米ドル)

10月20日のニューヨーク外国為替市場に影響を与えたのは、日本時間に米ドルが対円で節目の150円を突破した上、長期金利が2008年7月以来、14年ぶりの高水準4.243%に上昇したことだった。この結果、1990年8月14日以来、約32年ぶり高値150.29円まで値を上げている。

長期金利が上昇した背景には、朝方に発表された経済指標の影響があった。先週分新規失業保険申請件数(結果:21.4万件、予想:22.9万件、前回:22.8万件)が予想に反し減少し9月中旬来で最小している。この結果から、米連邦準備制度理事会(FRB)の大幅利上げを後押しするとの見方が強まり発表後に長期金利が4.17%に上昇し、さらに上昇した。

なお、同時刻に発表された10月フィラデルフィア連銀製造業景況指数(結果:-8.7、予想:-4.5、前回:-9.9)では、景気後退懸念が強まる弱い結果となったが影響は軽微だった。その後発表された9月中古住宅販売件数(結果:471.0万件、予想:470.0万件、前回:480.0万件)は、住宅ローン金利の上昇が厳しく8カ月連続で減少している。

金融政策の影響を受けやすい2年債と10年債(長期金利)の利回りは、75日連続で逆転(逆イールド)しており、終値ベースでは2年債が4.612%、10年債が4.232%だった。

合わせて、金融高官の発言が後押しとなった。ハーカーフィラデルフィア連銀総裁が「インフレ抑制の進展が見られず失望している。政策金利を年末までに4%を大きく上回る水準まで引き上げるだろう」と述べている。さらに、クック米連邦準備理事会(FRB)理事が「インフレは依然として容認できないほど高い」と述べた。

また、英国内ではついにトラス首相が辞任に追い込まれた。英政権史上最も短命だった。ブラヴァマン内相が突然の辞任を発表し、ガス採掘のフラッキング(水圧破砕法)をめぐる投票時に混乱が生じたことが引き金だった。これを受け、ポンドは対ドルで売りから買いに転じ1.1336ドルまで上昇した。その後は、1.1203ドルまで下落したが小幅に持ち直し1.1231ドルで終えている。

米ドル・円(USDJPY)は、朝方は機関投資家のオプションに絡んだ米ドル売りが出て149.56円まで売られたが、長期金利の上昇から買いに転じ急上昇した。米金融高官のタカ派的な発言も後押しとなり、32年ぶりの高値150.29円を付けたが、その後は小幅に値を下げ終値は150.15円となった。

ユーロ・米ドル(EURUSD)は、ポンド・米ドルの上昇につられ、この日の高値0.9845ドルを付ける場面もあった。その後は、長期金利の上昇から米ドル買いに転じ、終値は0.9786ドルだった。

ユーロ・円(EURJPY)は、朝方にユーロ・米ドルやポンド・米ドルの上昇から投資家心理が上向きユーロが買われ、2014年12月以来の高値147.30円を付けた。その後は徐々にユーロが売られ、終値は146.95円となった。

株式
 NYダウ平均 USD 30,333.59 -90.22(-0.29%)
 NASDAQ総合  USD 10,614.844   -65.664 (-0.61%)
 S&P500     USD  3,665.78 -29.38(-0.79%)

10月20日の米株式市場のダウ工業株30種平均は連日で終値を下回った。長期金利が連日で2008年7月以来の高水準の4.243%となり、株式の割高感が意識され投資家心理が冷え込んでいる。午前中は決算が良好な銘柄が買われ400ドル近くまで前日の終値を上回る場面もあったが、長期金利の上昇につられる形で徐々に値を下げ、前日の終値を下回る取引が続き3指数揃って値を下げ終えている。

債券
 米国債10年 4.232%(+0.103)

商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 84.51 -0.01(-0.01%)(12月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,636.80 +2.60(+0.16%)(12月渡し)
 

【日本】USDJPY ついに150円の壁突破

為替(17時)
10月20日の東京外国為替市場では、米ドルが対円でついに心理的な節目の150円を超えた。一方で再介入への懸念もあり、急激な上昇は抑制されている。

米ドル・円は、日米の金利差が意識される中、時間外の米長期金利が4.1%台に上昇し堅調な取引が続いた。一方で円買い介入への警戒があったが、ついに、心意的節目の150円を超えた。1990年8月以来、32年ぶりの安値150.08円を付け、17時時点では149.86円となっている。

ユーロ・米ドルは、大きな動きはないものの米長期金利の上昇から徐々に値を上げた。この日の高値0.9794ドルまで値を上げ、17時時点では0.9787ドルで取引されている。 

ユーロ・円は、午前中は動きが抑制されていたが、米ドル・円の上昇につられ徐々に上昇した。この日の高値146.87円を付け、17時時点では146.67円だった。

債券
 国債先物・22年12月限 147.89 (-0.28)
 10年長期金利 0.250%(変化なし)

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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