民主党の善戦から投資家心理上向き米ドル買いに

2022/11/09  7:42  JST投稿
 

【米国】

為替(11月10日6時00分)
 米ドル円(USDJPY)    146.52-146.53 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    146.67-146.68 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0009-1.0010 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    166.29-166.30 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.1348-1.1349 (米ドル)
 
11月9日のニューヨーク外国為替市場では、足元で米連邦準備理事会(FRB)の利上げ減速への懸念もある中、米中間選挙で与党の民主党が予想以上に善戦し投資家心理が上向いている。
 
さらに、金融高官の発言にも注目が高まった。まず、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は、物価急騰にもかかわらず、長期のインフレ期待は引き続き安定的だと述べた。その一方で、インフレ率は「明らかに当局の長期的目標を大きく上回っており、インフレ率を2%に戻す責務の遂行が非常に重要」と強調している。リッチモンド連銀バーキン総裁もインフレの最悪期は過ぎ去った可能性があるとの見解を示し、「景気悪化を恐れて手を引けば、インフレはさらに高くなり、一段の抑制策が必要になる。米連邦準備理事会(FRB)は事態が勝手に収束するのを待っているわけではない」と述べた。
 
金融政策の影響を受けやすい2年債と10年債(長期金利)の利回りは、88日連続で逆転(逆イールド)しており、終値ベースでは2年債が4.582%、10年債が4.099%だった。
 
米ドル・円(USDJPY)は、株価の下落に伴う投資家心理の冷え込みから米ドル買いが優勢だった。中間選挙で民主党が善戦したこともプラスに作用した上、金融高官のタカ派的な発言がさらに後押しとなっている。この日の高値146.80円まで上昇したが、長期金利が低下し終値は146.47円となった。
 
ユーロ・米ドル(EURUSD)は、ウクライナを巡る地政学リスクの高まりや米ドル買いの強まりから徐々に値を下げた。この日の高値1.0088ドルまで値を上げたものの、徐々に値を下げ、この日の安値0.9993ドルまでユーロが売られた。その後小幅に値を戻し、終値は1.0011ドルだった。
 
ユーロ・円(EURJPY)は、米ドル・円とユーロ・米ドルの両方の動きを受け方向性が出にくい取引が続いた。朝方にこの日の安値146.32円から高値147.10円まで値を上げたが、地政学リスクの高まりから徐々に値を下げ終値は146.60円となった。
 
株式
 NYダウ平均  USD 32,513.94 -646.89(-1.95%)
 NASDAQ総合  USD 10,353.175   -263.025 (-2.47%)
 S&P500      USD  3,748.57  -79.54(-2.07%) 
 
11月9日の米株式市場のダウ工業株30種平均は前日の終値を4日ぶりに下回った。米中間選挙で上院と下院でねじれが生じ株高に向かうとの見方が強まっていたが、思いのほか民主党が予想以上に善戦し、株高への期待の後退から終日で前日の終値を下回った。翌日に発表されるCPIを控えた様子見の姿勢も強まる場面も出ており、徐々に低下し、終了間際に680ドル程前日の終値を下回って終えている。
 
債券
米国債10年 4.099%(-0.029)
 
商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 85.83 -3.08(-3.46%)(12月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,713.70 -2.30(-0.13%)(12月渡し)
 

【日本】米中間選挙の結果待ちで方向性出ず

為替(17時)
11月9日の東京外国為替市場では、米中間選挙の結果を見極めたいとの思惑から狭い値幅での取引となり、方向性は定まらなかった。
 
米ドル・円は、米中間選挙の結果を見極めたいとの思惑が強く、145円半ばの狭い値幅での取引に終始した。時折、決済に向けた実需の買いが入り145.90円の高値まで上昇したが、長くは続かず、17時時点では145.51円となった。
 
ユーロ・米ドルでは、小幅な動きながら売買が交錯した。明確な方向性の出ないままで、17時時点では1.0064ドルだった。
 
ユーロ・円でも、146.37-146.82円の狭い値幅で取引された。小幅に値を上げ欧州勢参加後にこの日の高値付近まで値を上げるも徐々に失速し、17時時点では146.45円で取引されている。
 
債券
 国債先物・22年12月限  148.85 (+0.44)
 10年長期金利  0.250%(変化なし)
 

【マーケットアナリティクス】GBPNZDは月曜日から始まった強気な調整を終える(11月09日)

現在、非常に有望な弱気(ベア)の状況に置かれているポンド・ニュージーランドドル(GBPNZD)に注目したい。このペアには米ドルが含まれていないため、選挙結果の公開を控えた今、良い選択肢となる可能性があり、この日も面白いかもしれない。
 
10月中のGBPNZDは、相場の天井を示すチャートパターンであるヘッドアンドショルダーズパターン(グレー)を形成していた。11月初旬になると売り手が価格を引き下げ、ネックライン(黄色)をブレイクし、テクニカル的に売りシグナルをもたらした。この売りは先週末まで続き、今週(少なくとも最初の3日間)は強気(ブル)な調整をもたらした。この小さな強気の修正は、重要な水平線の上値抵抗線(レジスタンス、緑色)であり、38.2%のフィボナッチよりわずかに下回り終えている。
 
水曜日の欧州時間の終わりには、この補正のサポート(赤)を突破しており、これは補正の終了と主な弱気トレンドへの復帰の最初のステップと考えることができる。
 
赤の上昇トレンドラインを下回るようであれば、売りシグナルが確定する。ターゲットとしては、3月、8月、9月の安値である1.878付近の青色エリアが妥当なところだかと思われる。
GBPNZD Ends the Bullish Correction, Which Started on Monday
ポンド・ニュージーランドドル、デイリーチャート 11月09日(CET・中央ヨーロッパ時間)
 
引用元: “GBPNZD Ends the Bullish Correction, Which Started on Monday” (2022年11月09日, AXIORY Global Market News)
              
追記:11月10日、日本時間6:00のポンド・ニュージーランドドルはNZ$1.9296-1.9299で取引されている

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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