ブラード総裁のタカ派発言から米ドル買い強まる

2022/11/18  7:46  JST投稿
 

【米国】

為替(11月18日6時00分)
 米ドル円(USDJPY)    140.19-140.19 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    145.35-145.36 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0368-1.0368 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    166.30-166.31 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.1862-1.1863 (米ドル)
 
11月17日のニューヨーク外国為替市場では、セントルイス連銀のブラード総裁の金融引き締めに積極的なタカ派的な発言の影響が大きかった。ブラード総裁は「政策金利について私は以前、4.75―5%が妥当と思っていたが、インフレ鈍化に向け政策金利を最低でも5―5.25%に引き上げるべきだ」と述べた。また、「10月の消費者物価指数(CPI)は心強いが、1つのデータに過ぎない」と牽制している。
 
また、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は「FRBはインフレ率を2%目標に戻すことへのコミットメント(公約)で団結している。需要を均衡させるためにどこまで金利を上げる必要があるのかは議論の余地がある」と述べた。さらに「1カ月分のデータで過度に納得してはならない」と牽制した。
 
さらに、前週分の新規失業保険申請件数(結果:22.2万件、予想:22.5万件、前回:22.5万件)は予想外に小幅に減少し労働市場の強さを示した。一方で失業保険継続受給者数(結果:150.7万人、予想:150.0万人、前回:149.3万人)は5週連続で増加し、長期の失業状態にある労働者の増加が示される可能性が強まっている。
 
なお、この日発表された10月米住宅着工件数(結果:142.5万件、予想:141.0万件、前回;148.8万件)と、10月米建築許可件数(結果:152.6万件、予想:151.2万件、前回:156.4万件)は予想を上回る一方で、11月フィラデルフィア連銀製造業景況指数(結果:-19.4、予想:-6.0、前回:-8.7)が予想を大幅に下回ったが影響は軽微だった。
 
金融政策の影響を受けやすい2年債と10年債(長期金利)の利回りは、93日連続で逆転(逆イールド)しており、終値ベースでは2年債が4.460%、10年債が3.769%だった。
 
さらに、スナク英政権が大規模な増税と歳出削減による総額約550億ポンドの財政改革計画を発表したものの、景気の落ち込みが深刻化するとの懸念が根強く、ポンド売りが優勢となった。中期財政計画内では、2023年のGDPの予測を1.8%から-1.4%に下方修正している。この結果、対米ドルで1.1764ドルまで急激に値を下げた。
 
米ドル・円(USDJPY)は、長期金利の持ち直しや対ポンドでの上昇、さらにセントルイス連銀のブラード総裁のタカ派的な発言を受け高値140.74円まで値を上げた。経済指標の結果に若干左右されたが影響は限定的ながら、利益確定売りが出て140.20円で終えた。
 
ユーロ・米ドル(EURUSD)は、米ドル・円の上昇につられ米ドル買いが強まると、この日の安値1.0305ドルを付けた。その後は、ポンドの下落がユーロを買い支えた影響からユーロ買いが進み終値は1.0362ドルとなった。
 
ユーロ・円(EURJPY)は、米ドル・円の上昇につられたユーロ買いが強まり、この日の高値145.47円まで値を上げた。その後は、小幅に値を下げ終値は145.29円だった。
 
株式
 NYダウ平均  USD 33,546.32 -7.51(-0.02%)
 NASDAQ総合  USD 11,144.958   -38.701 (-0.34%)
 S&P500      USD  3,946.56  -12.23(-0.30%) 
 
11月17日の米株式市場のダウ工業株30種平均は前日の終値を連日でわずかに下回った。セントルイス連銀のブラード総裁が金融引き締めに積極的な姿勢を示したことから利上げペース減速観測が後退し、長期金利が上昇した影響が強かった。株式の割高感が意識され、朝方は314ドルほど前日の終値を下回った。その後は景気動向に左右されにくいディフェンシブ銘柄が買われ、徐々に値を戻し、小幅に値を上げるも僅かに前日の終値を下回り終えている。
 
 
債券
米国債10年 3.769%(+0.075)
 
商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 81.64 -3.95(-4.62%)(12月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,763.00 -12.80(-0.72%)(12月渡し)
 
 

【日本】大きな動き無く小幅な値動きに終始

為替(17時)
11月17日の東京外国為替市場は小幅な動きに限られ、狭い値幅での取引に終始した。
 
米ドル・円では、大きな動きが無いものの時間外の米長期金利の動きに左右された。米長期金利の持ち直しから小幅に値を上げ、この日の高値139.80円に上昇した。しかし、長期金利が低下すると値を下げ17時時点では139.32円となった。
 
ユーロ・米ドルは、米ドル・円の動きにつられ朝方から徐々に値を下げた後は買い戻され、この日の高値1.0403を付けた。その後小幅に値を下げ、17時時点では1.0393ドルで取引されている。
 
ユーロ・円は、米ドル・円とユーロ・米ドルの両方の動きに左右され方向性が出なかった。小幅に値を下げた後に戻り買いがあったが、地政学リスクが意識されるとすぐに売りに転じ、この日の安値144.64円まで安くなり17時時点では144.80円だった。
 
債券
 国債先物・22年12月限  149.50 (+0.14)
 10年長期金利  0.240%(変化なし)

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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