翌日のパウエル議長講演控え様子見強まる

2022/11/30  7:43  JST投稿

【米国】

為替(11月30日6時04分)
 米ドル円(USDJPY)    138.76-138.76 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    143.27-143.27 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0324-1.0324 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    165.76-165.77 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.1945-1.1946 (米ドル)

11月29日のニューヨーク外国為替市場では、住宅関連の経済指標がプラスに作用したが、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演を控え、積極的な取引は控えられた。

9月FHFA住宅価格指数(結果:0.1%、予想:-1.2%、前回:-0.7%)は、予想外に3ヵ月ぶりのプラスとなり投資家心理が上向いた。その一方で9月S&PコアロジックCS20都市住宅価格指数(結果:10.43%、予想:10.55%、前回:-13.08%)は回復したものの、5ヵ月連続で鈍化し、2020年12月以来で最低となった。また、コンファレンスボードが発表した11月の米消費者信頼感指数(結果:100.2、予想:100.1、前回:102.2)は高インフレや金利の上昇が影響し、4ヵ月ぶりの低水準となっている。

金融政策の影響を受けやすい2年債と10年債(長期金利)の利回りは、100日連続で逆転(逆イールド)しており、終値ベースでは2年債が4.481%、10年債が3.75%だった。

さらに、英中銀は前トラス政権が発表した大型減税策を警戒し混乱した市場機能回復のため実施した緊急債券購入プロブラムの一部3.46億ポンドを売却した。この日、ベイリー総裁は議会証言を行ない「英国債券市場が依然正常な水準を回復していない」と述べた。ポンドは対米ドルで1.2020ドルに上昇したものの1.1966ドルに再び下落し、対円では166.36円から165.67円に下落している。

米ドル・円(USDJPY)では、住宅関連の指標が上向いたことで米ドル買いが強まったが、米消費者信頼感指数の弱い結果から上昇は限定的で、上昇は138.85円にとどまった。その後は、パウエル議長の講演を控え様子見が強まり、機関投資家による米ドル売りから小幅に値を下げ終値は138.63円となった。

ユーロ・米ドル(EURUSD)は、欧州での景気後退懸念の強まりからユーロ売りが優勢だった。朝方の住宅関連の経済指標の上昇から米ドルが買われ値を下げたが、買戻しが入った。しかしながら、再び投資家心理が冷え込み値を下げ、この日の安値1.0320ドルまで低下し、終値は1.0330ドルだった。

ユーロ・円(EURJPY)は、欧州の景気後退懸念から積極的な取引は控えられた。この日の安値143.02円までユーロ売りが進み、終値は143.26円となった。

株式
 NYダウ平均  USD 33,852.53 +3.07(+0.00%)
 NASDAQ総合  USD 10,983.779   -65.720 (-0.59%)
 S&P500      USD  3,957.63  -6.31(-0.15%) 

11月29日の米株式市場のダウ工業株30種平均は前日の終値とほぼ同水準となった。中国のゼロコロナ政策への緩和期待の高まりから投資家心理が上向いた。しかしながら、翌日のパウエル議長の講演を控え、利上げの継続長期化への懸念から前日の終値を下回る場面も出ている。一方で、中国経済に端を発する世界的な景気後退への懸念も強く、投資家心理が上向きにくい状況だった。

債券
 米国債10年 3.75%(+0.048)

商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 78.20 +0.96(+1.24%)(1月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,763.70 +8.40(+0.48%)(2月渡し)
 

【日本】米ドル 投資家心理が交錯し値動きの荒い取引に

為替(17時)
11月29日の東京外国為替市場では、米連邦準備理事会(FRB)高官の利上げ継続姿勢を示すタカ派的な発言や決済に向けた買いが入り米ドルの買戻しが一時的に入った。中国がゼロコロナ政策を一部緩和するとの観測が強まりプラスに作用したものの、中国政府への異例な抗議行動の懸念から投資家心理の冷え込みが優勢だった。そのため、値動きが激しい状況だ。

なお、日本でも新宿などで中国政府への抗議デモが発生したとの報道もある上、米英、国連がデモを支持するコメントも出ており、行方を注視したい。中国衛生当局は記者会見で、ゼロコロナ政策の見直しに対し「社会と経済への影響を軽減するため政策の微調整を続ける」と述べている。

米ドル・円は、朝方に投資家心理の上向きや決済に向けた米ドル買いが入り、この日の高値139.35円まで買われるも、徐々にリスクオフの姿勢が強まり値を下げ17時時点では138.29円となった。時間外の米長期金利の低下による影響も大きい。

ユーロ・米ドルは、米ドル・円の低下を受けユーロ買いが優勢だった。一方で欧州の景気後退懸念も交錯し、値動きが出やすい日となった。一時、この日の高値1.0394ドルまで値を上げるも、17時時点では1.0378ドルで取引されている。

ユーロ・円は、一時、決済に向けた買いや、値を下げたところで買戻しが入りユーロ買いが優勢だった。しかし、欧州勢参加後はリスク回避の姿勢が強まり徐々に値を下げ17時時点では143.53円だった。

債券
 国債先物・22年12月限  148.78 (-0.24)
 10年長期金利  0.250%(変化なし)

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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