PMI低下から投資家心理冷え込む

2022/12/19  6:44  JST投稿
 

【今週の見通し】(12月19日-12月25日)
今週の前半は、米長期金利の動きに左右されていた。その後、13日に発表された米消費者物価指数が予想を下回った上、13,14日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果から長期の利上げによる景気後退懸念が強まった。さらに、利上げ継続のタカ派的な姿勢が好感され投資家心理が上向いたが、16日の購買担当者景気指数(PMI)速報値で弱い結果が示された上、クリスマスシーズンや年末に向け、保有資産の売却も出始めている。

今週は重要イベントを終え、欧米は一気にクリスマス休暇に突入するため、徐々に個人中心の値動きになっていくため小幅ながら値動きは出やすくなるだろう。

主なスケジュール
12月19日(月):日銀政策委員会/金融政策決定会合(20日まで)、独IFO企業景況感指数(12月)、米NAHB住宅市場指数(12月)、EUエネルギー相会合

12月20日(火):日銀金融政策決定会合/黒田日銀総裁会見、中国最優遇貸出金利(ローンプライムレート/ LPR 1年、5年)、米住宅着工件数(11月)、ユーロ圏消費者信頼感(12月)

12月21日(水):訪日外国人客数(11月)、ドイツGFK消費者信頼感(1月)、カナダ消費者物価指数(11月)、米中古住宅販売件数(11月)、米消費者信頼感指数(12月)

12月22日(木):トルコ中央銀行が政策金利発表、米GDP確定値(第3四半期(7-9月))、米景気先行指数(11月)

12月23日(金):日銀議事録(10月27日-28日開催分)、消費者物価指数(11月)、米耐久財受注(11月)、米個人所得支出(11月)、米新築住宅販売件数(11月)、クリスマスによる米債券市場短縮取引

12月24日(金):英国全国鉄道海運運輸労働組合(RMT)ストライキ実施予定(27日まで)

予想レートは米ドル・円が134円後半から139円前半。ユーロ・米ドルが1.04ドル半ばから1.08ドル半ば。

【米国】

為替(12月19日6時34分)
 米ドル円(USDJPY) 136.72-136.76 (円)
 ユーロ円(EURJPY) 144.73-144.79 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0584-1.0588 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY) 165.98-166.15 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.2140-1.2141 (米ドル)

12月16日のニューヨーク外国為替市場では、12月の米総合購買担当者景気指数(PMI、結果:44.6、予想:46.9、前回:46.4)の速報値が発表され、6カ月連続で景気の拡大、縮小の節目の50を下回り、投資家心理が冷え込んだ。製造業PMI(結果:46.2、予想:47.9、前回:47.7)は2年7ヵ月ぶりの低水準となり、サービス業PMI(結果:44.4、予想:46.5、前回:46.2)でも前月、予想共に下回っている。

金融政策の影響を受けやすい2年債と10年債(長期金利)の利回りは、113日連続で逆転(逆イールド)しており、終値ベースでは2年債が4.182%、10年債が3.488%だった。

また、影響は軽微だったが押さえたい金融高官の発言があった。まず、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は米連邦準備理事会(FRB)が来年、予想以上に政策金利を引き上げる可能性があるという見解を示した。さらに、サンフランシスコ連銀のデイリー総裁は、「道のりはまだ長い」とし、来年の利下げを想定しているFRB当局者はいないという認識を示している。

米ドル・円(USDJPY)は、朝方に発表された弱い経済指標結果からリスク回避のリスクオフの姿勢が強まり、円買いが優勢となった。米長期金利の低下も影響も強く、安値136.30円まで値を下げた。その後は小幅に値を戻し終値は136.60円となった。

ユーロ・米ドル(EURUSD)では、欧州中央銀行(ECB)の利上げによる景気悪化が懸念され、リスクオフの米ドル買いが優勢だった。値動きが出やすく、下がると小幅に買い戻される動きが続きながら安値1.0585ドルまで値を下げた。その後は小幅に戻し終値は1.0586ドルとなっている。

ユーロ・円(EURJPY)は、リスクオフの円買いが強まり徐々に値を下げた。この日の安値144.62円まで値を下げ、144.83円で終えている。

株式
 NYダウ平均 USD 32,920.46 -281.76(-0.84%)
 NASDAQ総合  USD 10,705.414   -105.112 (-0.97%)
 S&P500     USD  3,852.36 -43.39(-1.11%)

12月16日の米株式市場のダウ工業株30種平均は前日の終値を3日連続で下回った。FRBの利上げによる景気後退懸念が続いており、長期金利が上昇した影響が強まっている。景気敏感株やハイテク株中心に幅広い売りが出ている上、機関投資家が年末に向け保有資産を整理した影響も大きく、3指数揃って値を下げ終えた。

債券
 米国債10年 3.488%(+0.038)

商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 74.29 -1.82(-2.39%)(1月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,800.20 +12.40(+0.69%)(2月渡し)
 

【日本】クリスマス休暇控え利益確定売りが出やすく

為替(17時)
12月16日の東京外国為替市場では、FOMCを終え大きな動きが出る要因がほぼなくなったが、前日のニューヨーク市場で上昇した反動から利益確定の売りに押された。また、クリスマス休暇や年末に向けた利益を確定させる動きも出ている。

米ドル・円は、朝方は前日のニューヨーク市場で138円台に乗せた反動から、利益確定に向けた売りが優勢だった。高値137.89円から安値136.96円まで値を下げている。その後は大きな動きは出ないものの米長期金利が持ち直し小幅に上げ、137円前半での推移となり17時時点で137.21円となった。

ユーロ・米ドルは、前日のECB理事会を終え、大きな動きが出づらい状況だった。前日に下げた反動から買戻しが入り高値1.0663ドルまで値を上げたが、小幅に値を下げ17時時点では1.0632ドルとなった。

ユーロ・円は、週末にむけ徐々に売りが優勢となった。高値146.60円から145.79円まで値を下げた。その後、小幅に戻し17時時点では145.90円で取引されている。

債券
 国債先物・23年3月限 147.98 (-0.02)
 10年長期金利 0.250%(変化なし)

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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