日銀ショックから円買い強まり米ドル安に

2022/12/21 7:35  JST投稿
 

【米国】

為替(12月21日6時00分)
 米ドル円(USDJPY)    131.74-131.75 (円)
 ユーロ円(EURJPY)    139.85-139.86 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 1.0614-1.0616 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY)    160.34-160.37 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.2170-1.2172 (米ドル)
 
12月20日のニューヨーク外国為替市場では、東京時間に日銀の予想外な金融政策転換を受け、円買いが強まった流れを受けた取引が続いた。日銀の決定を受け日本の長期金利が上昇し、主要国の長期金利も上昇している。(今回の日銀金融政策に関しては、以下の【日本】を参照。)
 
金融政策の影響を受けやすい2年債と10年債(長期金利)の利回りは、115日連続で逆転(逆イールド)しており、終値ベースでは2年債が4.266%、10年債が3.692%だった。
 
なお、朝方に発表された11月住宅着工件数(結果:142.7万件、予想:141.0万件、前回:142.5万件)が3ヵ月連続で落ち込み、11月住宅建設許可件数(結果:134.2万件、予想:150.0万件、前回:152.6万件)でも予想を下回り、高インフレによる金利上昇を受けた厳しい状況が示された。
 
米ドル・円(USDJPY)は、東京市場の流れからさらに円買いが強まった。朝方に発表された弱い経済指標が投資家心理に与えた影響も強く、8月2日以来の安値130.58円まで値を上げた。その後は小幅に値を戻し、終値は131.73円となった。
 
ユーロ・米ドル(EURUSD)では、1.0594ドルまで値を下げた反動から買い戻され、高値1.0658ドルを付けるも徐々に値を下げ、1.0624ドルで終えている。
 
ユーロ・円(EURJPY)は、大きな動きは出なかったものの円買いが強まり、安値138.81円を付けた。その後は徐々に値を戻し終値は139.95円だった。
 
株式
 NYダウ平均  USD 32,849.74 +92.20(+0.28%)
 NASDAQ総合  USD 10,547.112   +1.080 (+0.01%)
 S&P500      USD  3,821.62  +3.96(+0.10%) 
 
12月20日の米株式市場のダウ工業株30種平均は前日の終値を5日ぶりに上回った。前日までの4日間で1,350ドル程値を下げた反動から幅広い銘柄で買戻しが起こった。一時、長期金利の上昇から、前日の終値を下回る場面もあったが堅調に値を上げ、3指数揃って値を上げ終えている。
 
債券
米国債10年 3.692%(+0.109)
 
商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 76.09 +0.90(+1.20%)(1月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,825.40 +27.70(+1.54%)(2月渡し)
 
 

【日本】黒田ショックから円買い殺到

為替(17時)
12月20日の東京外国為替市場では、日銀の利上げとも取れる予想外な政策転換から、円買いが殺到した。市場では黒田総裁在任中は政策変更が起こらないと思われていたが、市場参加者がクリスマスで薄くなりつつなる時期のサプライズだった。日銀は金融政策決定会合で短期金利はマイナス金利を維持しつつ、長期金利(10年国債金利)が0%程度で推移するよう上限を設定せず長期国債の買い入れ実施を決めた。変動許容幅は、従来の上下0.25%程度から同0.5%程度に拡大した。
 
米ドル・円は、11時前に高値137.48円から小幅に値を下げた後、日銀の予想外な政策転換から急激な円買いが強まった。8月11日以来の安値132.28円まで値を下げ、17時時点では132.58円となっている。
 
ユーロ・米ドルは、日銀の予想外な方向転換から米ドル・円で米ドル売りが強まり、その動きにつられた。高値1.0651ドルに急騰後、急激に値を下げ安値1.0579ドルを付けた。その後、徐々に値を戻し17時時点では1.0611ドルだった。
 
ユーロ・円は、日銀の政策転換から円買いが強まり145.73円から9月29日以来の安値140.29円まで急落した。17時時点では140.69円で取引されている。
 
債券
 国債先物・23年3月限  146.14 (-1.72)
 10年長期金利  0.410%(+0.160)
 
 

【マーケットアナリティクス】ニュージーランドドルは有望な弱気パターンを作成(12月20日)

現在、メジャー通貨の中で最も弱い通貨はニュージーランドドルだ。よって、ニュージーランドドル・米ドル(NZDUSD)の状況をチェックし、有望な弱気(ベア)価格に向けた行動を探ってみたい。
 
チャートでは、非常に興味深いことが起こっている。ヘッドアンドショルダーパターン(※グレー)を形成し、このパターンの転換点であるネックライン(赤)で一気に流れが加速するブレイクアウトを確立しようとしている。ネックラインとは別に、ここには2本の上昇トレンドラインも存在している。一つは11月中旬以降の安値を結んだ短い黒い線で、もう一つは10月中旬以降の安値を結んだ長い黒線だ。
 
NZDUSDが3つの下値支持線であるサポート(2本の上昇トレンドラインとネックライン)をブレイクすることは、適切な長期的売りシグナルとなる。現在のところ、これは買い手にとって最後の防衛チャンスだ。圧力は高まっており、黒色の上昇トレンドラインの上に戻ればネガティブな感情を打ち消すことができるが、その可能性はかなり低くなっている。
 
(※)ヘッドアンドショルダーパターン:チャート上で相場の天井を迎えたことを示唆するパターン。三つの山と二つの谷で形成され、二つの山に挟まれた真ん中の山が相場の天井(高値)を示している。ダブルフォーメーションより出現頻度が少なく、高確率でトレンドが転換される状況が示される。
 
 
ニュージーランドドル・米ドル、デイリーチャート 12月20日(CET・中央ヨーロッパ時間)
 
引用元: “Kiwi creates promising bearish pattern” (2022年12月20日, AXIORY Global Market News)
                  
追記:12月21日、日本時間6:00のニュージーランドドル・米ドルは0.6337-0.6339米ドルで取引されている

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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