【今週のハイライト】低調な米経済指標の結果を受けて、週の後半ではドル売りが優勢

為替(2024年5月31日 6時00分)
米ドル円     USD/JPY  156.77  (円)
ユーロ米ドル  EUR/USD  1.0831 (米ドル)
ユーロ円         EUR/JPY   169.81 (円)
ポンド円         GBP/JPY   199.52  (円)
ポンド米ドル  GBP/USD  1.2731  (米ドル)
 
米ドル円
27日(月)は、植田日銀総裁の「日本銀行は伝統的な金融政策の枠組みに戻った」などの発言が伝わり、明確な押し下げ容認になっているとは言えないものの、タカ派寄りな姿勢をうかがわせる姿勢に156.66円まで押し下げた。しかし欧州勢が参入後は、東京市場で上値が重かったクロス円に買戻しが入った影響から156.95円まで引き返し週明け早朝取引でつけた日通し高値を上抜けることはできなかった。
28日(火)は、対ユーロなどを中心にドル売りが進行すると次第に上値を切り下げ、前日安値の156.66円を下抜けて156.62円の日通し安値を付けた。もっとも東京市場後半には買戻しが入り156.92円まで上値を伸ばしたが、午前中高値を前に失速した。米10年債利回りが4.449%まで低下したことを受けて円買い・ドル売りが先行し、156.58円まで値を下げ日通し安値を付けた。ただ、5月米消費者信頼感指数(予想:95.9、結果:102.0)が予想を上回った事がわかると買戻しが優勢となった。また米2年債及び5年債入札が低調な結果だったことが伝わると、米10年債利回りが4.554%まで上昇したことで一転してドル買いが優勢となり157.19円まで上値を伸ばし日通し高値を付けた。
29日(水)は、日本国債の新発10年債利回りが1.088%まで上昇したことや日経平均株価が300円超下落したことを受け156.89円まで弱含みした。もっとも156円台では押し目買い意欲が強いこともあり、すぐに反発上昇し157.1円を挟み揉み合いが続いた。FRBによる利下げ観測の後退や低調な米国債入札を背景に米長期金利が上昇すると、日米金利差を意識した円売り・ドル買いが優勢となった。25時台には157.70ドルと1日以来の高値を更新した。なお米地区連銀経済報告(ベージュブック)で「経済活動は前回報告辞典から拡大を続けた」「短期的な物価上昇は緩やかなペースで続く見込み」との見解を示した。
30日(木)は日経平均株価が前日終値対比で一時800円超下落すると156.53円まで下押した。もっとも156.60円に位置している日足一目均衡表・転換線を割り込んだところで下落は一服し、ユーロ円などの戻しとともに157.11円まで切り返した。米商務省が発表した1-3月期米国内総生産改定値が市場予想通りの結果となったが、FRBが重視する個人消費支出コア価格指数が予想を下回った事を受けて、全般でドル売りが先行した。米10年債利回りも4.54%台まで低下した事も相場の重しとなった。
 
ユーロドル
27日(月)は、米国・英国が休場で動きづらい展開の中で、30日の大きめのNYカットオプション1.0850ドル付近での小動きが続いた。レーンECB専務理事兼主任エコノミストの発言で「ECBは利下げを開始する準備が整っている」と伝わったものの、ユーロへの影響はなかった。ビルロワドガロー仏中銀総裁が「ECBは7月の追加利下げの可能性を排除すべきではない」と発言するとユーロ売りが先行し1.0840ドルまで値を下げた。ただ週明け早朝取引でつけた日通し安値1.0843ドルが目先のサポートとして意識されると買戻しが入り1.0861ドルまで下げ渋った。
28日(火)は、目立った材料は伝わっていないものの、全般でドル売り圧力が高まると昨日高値の1.0867ドルを上抜けて1.0880ドルまで上値を伸ばした。その後も米10年債利回りが4.449%まで低下したことを支えに高値圏での推移をキープした。ニューヨーク時間には米10年債利回りの低下を受けてユーロ買い・ドル売りが先行し1.0889ドルの日通し高値を付けた。ただ、16日の高値1.0895ドルがレジスタンスとして意識されると失速した。良好な米経済指標や低調な米国債入札をきっかけに米10年債利回りが上昇したことも相場の重しとなり、1.0855ドルまで値を下げた。
29日(水)は、狭い値幅でじり安となった。米10年債利回りが4.576%まで上昇したことを受けドル買い圧力が強まり、1.0843ドルまで安値を押し下げた。ただ24日から27日にかけてレジスタンスとなっていた1.0844ドルが意識されると、反発上昇し1.0858ドルまで下げ渋った。ニューヨークオープン後に上昇したが、オセアニア時間に付けた高値1.0860ドルや前日高値1.0889ドルが目先のレジスタンスとして意識されると失速した。5月独消費者物価指数速報値が前月比で予想を下回ると「FRBよりもECBの方が先に利下げに動く」との見方が一段と強まり、ユーロ売りドル買いが進んだ。引けにかけては1.0800ドルまで値を下げ、日通し安値を付けた。
30日(木)は、ユーロ円の下落につられて軟調に推移し、1.0788ドルまで下値を押し下げた。ただ底値は1.0790ドル付近がサポートとして意識されると、徐々に安値を切り上げながら1.0811ドルまで持ち直した。米10年債利回りが低下したことも相場の支えとなった。米10年債利回りの低下に伴いユーロ買い・ドル売りが優勢となると、1.0845ドルまで上値を伸ばし日通し高値を付けた。低調な米経済指標が相次いだこともドル売りを誘った。なお主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは、一時104.63まで低下した。
 
ユーロ円
27日(月)は、英国が休場ということもあり動意が薄く小幅な値動きが続いた。13時台には、169.96円まで下落し日通し安値を付けたが、その後はドル円の上昇に合わせて170.29円まで上値を伸ばした。東京時間は170円を挟んだ狭いレンジ内で振幅した。欧州勢参入後は170.50円まで上値を伸ばしたが、前週金曜日の高値がレジスタンスとして意識されると押し戻され170.02円まで安値を押し下げた。その後は170.43円まで買い戻されたが高値更新はできず揉み合いとなった。
28日(火)は、午前中は170.45円を挟み揉み合いが続いたが、独DAXを眺めながら170.74円まで上値を伸ばした。原油高を背景にカナダドル円が約4週ぶりに高値115.19円まで上昇したことにも後押しされた。しかし米10年債利回りが低下するとドル円が下落し、それにつられる形でユーロ円も値を下げて、170.30円まで安値を押し下げた。ただその後はショートカバーが入り170.79円まで上値を伸ばし日通し高値を付けた。
29日(水)は、ユーロドルが安値圏での値動きを続けた影響を受けたほか、日経平均株価が300円超下落したことで円買いが優勢となり、170.23円まで安値を押し下げた。もっともこの下げは一時的で、すぐに170.75円まで買い戻された。ただ午前中高値の170.79円がレジスタンスとして意識されると、失速し押し戻された。
30日(木)は、日経平均株価の大幅な下落を見て円買い・ユーロ売りが進行し169.06円まで安値を押し下げた。もっとも欧州株が下げ渋ると為替でも過度なリスク回避ムードが後退し、169.97円まで持ち直した。
 
5月27日 9時00分 ~5月31日 6時00分までのレンジ幅
米ドル円  USD/JPY 156.37~157.71(円)
ユーロドル EUR/USD   1.0788~1.0889(ドル)
ユーロ円  EUR/JPY 169.06~170.79(円)
ポンドドル GBP/USD   1.2680~1.2800(ドル)
ポンド円  GBP/JPY  198.74~200.74(円)
 
株式
27日(月)は、メモリアルデーにより米国株式市場は休場だった。
28日(火)は、カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁が「利下げを行う前にさらに数か月、インフレ率が改善する良好なデータを確認したい」と発言すると、FRBによる利下げ開始が先送りになるとの懸念が高まり株売りを誘った。また米10年債利回りが上昇すると株式の相対的な割高感が意識されたことも相場の重しとなった。ナスダックでは、エヌビディアが7%超の大幅高となり、相場の上昇をけん引した。
29日(水)は、FRBによる利下げ開始時期が後退するとの懸念が根強い中で、米10年債利回りが上昇すると株式の相対的な割高感が意識され売りが出た。ハイテク株比率が高いナスダックでも、連日で史上最高値更新した後だけに利益確定目的の売りが出た。
30日(木)は、NYダウ平均で3日連続の続落となった。前日に発表した四半期決算の内容が嫌気されてセールスフォースが19%超急落した。マイクロソフトやゴールドマン・サックスなども売られ、NYダウ平均は440ドル超下落する場面もあった。

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