【今週のハイライト】米関税政策による経済不安から、全般でドル売りの流れが優勢となった

為替(2025年5月30日  6時00分)
米ドル円          USD/JPY   144.18(円)
ユーロ米ドル   EUR/USD  1.1365米ドル)
ユーロ円          EUR/JPY   163.82(円)
ポンド円          GBP/JPY   194.44(円)
ポンド米ドル   GBP/USD  1.3486(米ドル)

 
米ドル円
26日(月)は、トランプ大統領がEU関税について延期を発表すると、早朝に143.08円まで上値を伸ばしたものの、次第にドル売り圧力が強まると11時過ぎには142.22円まで下押した。その一方で、日経平均株価が堅調に推移する中で売り一巡後は買戻しが優勢となった。また、時間外のNYダウ先物の動きも相場の支えとなり17時前には142.91円まで上値を伸ばした。アジア時間に142.2円台前半まで下落した反動もあり、その後は142円台後半まで買い戻された。英米市場は休場ということもあり大きな方向感は出にくかった。持ち高調整目的の円売り・ドル買いが出たこともあり143.03円まで上値を伸ばしたが、積極的に買い進めていく展開とはならなかった。
 
27日(火)は、植田日銀総裁が「経済・物価情勢の改善に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整していく」と発言したことで売りが加速し10時台には142.11円まで下押したが、節目の142円がサポートとして意識されると下げ渋った。ただ、財務省に関する報道が伝わると、長期債利回りが低下し買戻しが優勢となり143円を上抜けると17時までに143.87円まで上昇した。本邦長期債利回りの低下にともなう円売り・ドル買いの流れが継続した。直近で続いていたドル売りの流れを巻き戻す動きが続いたほか、欧米株式相場が堅調に推移していることも相場を下支えし、23時台には一時144.46円まで上値を伸ばした。ただ、急な上昇だったこともあり144.5円を前にして買いが一服すると伸び悩んだ。
 
28日(水)は、前日の大幅な上昇の反動もあり、ポジション調整目的の売りが先行し一時143.85円まで下押した。ただ、東京仲値にかけては買いが観測されたほか40年債入札の結果直後では一時144.77円まで上値を伸ばした。もっとも40年債をはじめとした長期金利が上昇するとドル円の上値も重たくなり、一進一退の展開となった。欧州勢参入後には、時間外の米10年債利回りの上昇一服や時間外のNYダウ平均がマイナス推移していることでやや売りが優勢となった。前日の米経済指標が良好な結果であったこともあり、米経済減速への過度な懸念は和らぎ、ドルの買戻しが優勢となった。米10年債利回りの上昇も相場を下支えし145.08円まで上値を伸ばした。節目の145円越えでは利益確定目的の売りも入り伸び悩んだが底堅く推移し、下げは一時的となった。
 
29日(木)は、前日の米株式市場終了後に発表されたエヌビディアの決算が売上高や一株あたり利益ともに市場予想を上回り、日米株価指数先物は上昇したことを背景に買いが先行した。米連邦裁判所の関税に関する報道が伝わると、買いが加速し、一時146.29円まで急伸した。もっとも買い一巡後は上値が重たくなり、145円台前半まで売り戻された。米関税政策の先行き不透明感が根強いことから、アジア時間に進んだドル買いは巻き戻される形で、ドル売りが進行した。この日の米経済指標の結果が全般でさえない結果となったことも相場の重しとなり、米10年債利回りの低下とともに143.96円まで下押した。
 
ユーロドル
26日(月)は、トランプ大統領が「EUへの50%関税の7月9日までの延長に同意」と発言すると買いが優勢となった。その後も全般ドル安の流れとなり11時過ぎには1.1418ドルまで上値を伸ばした。買い一巡後には伸び悩み、スプリング・バンク・ホリデーでロンドン勢が不在ということもあり、持ち高調整目的の売りに押され1.1387ドルまで下押した。本日は英国がスプリング・バンク・ホリデーで休場で米国はメモリアルデーで休場ということもあり市場参加者が少なく、大きな方向感は出ず小幅なレンジ内でのもみ合いに終始した。
 
27日(火)は、上田日銀総裁の発言をきっかけとしたドル円の下落に伴い、10時台には1.1407ドルまで上昇したものの、ドル円の反発を確認すると上値が重たくなり、徐々に売りが優勢となった。欧州勢参入後には、仏消費者物価指数速報値が予想を下回ったことが重しとなり、17時までには1.13367ドルまで下値を拡大した。全般で直近のドル売りに対する持ち高調整の動きが進む中で、次第に上値を切り下げていった。米耐久財受注などの経済指標が市場予想よりも上回っていることもドル買いを支え、25時前には1.1322ドルまで下値を広げた。
 
28日(水)は、ドル円で売りが先行したこともあり1.1344ドルまで上値を伸ばしたが、上値は重たく、時間外の米10年債利回りが上昇していることを受けてドル買いが優勢となり、14時台には1.1295ドルまで下値を拡大した。ただ10年債利回りの上昇が一服し欧州勢が参入すると、ポジション調整目的の買戻しが優勢となった。全般でドル買いが優勢となった流れに沿って、25時前には1.1283ドルまで売り押された。引けにかけても戻りは鈍く、1.1290ドル前後でのもみ合いに終始した。米10年債利回りが一時4.5%台まで上昇したことや、引けにかけても底堅く推移したことで、ドル売り戻しは限定的だった。
 
29日(木)は、エヌビディアの決算発表が市場予想を上回り日米の株価指数先物が上昇したことでドル買いが優勢となり一時1.1210ドルまで下押した。ただ売り一巡後には下げ渋り、1.124ドル前後でのもみ合いが続いた。その後、欧州勢が参入すると全般でドルが伸び悩む中で1.1282ドルまで上値を伸ばした。全般でドルの売り戻しがが強まった流れに沿って、一時1.1384ドルまで上値を伸ばした。またNY時間にはパウエルFRB議長がトランプ米大統領と会談を行ったとの報道を受けて、パウエルFRB議長「政策軌道は最新のデータと見通し次第」と説明を受けた。それに対し、トランプ大統領は「金利を引き下げないのは間違い」と従来の主張を繰り返した。
 
ユーロ円
26日(月)は、米大統領のEU関税をめぐる警戒感がいったん後退したことを受けて円売り・ユーロ買いが優勢となった。日経平均株価が堅調に推移していることも相場の下支えとなり15時台には162.97円まで上値を伸ばした。ただ、節目の163円の手前では伸び悩み買い一巡後には利益確定目的の売りに押され、162.73円まで下押された。
 
27日(火)は、上田日銀総裁の発言をきっかけに円買いが優勢となり一時162.07円まで売りが先行した。ただドル円が下げ渋り反発すると、ユーロ円でも買戻しが優勢となり、163.15円まで上昇した。その後はやや伸び悩んだが、底堅い欧州株の動きを確認すると、下げ渋り163円台前半で推移した。
 
28日(水)は、東京仲値でドル円が上昇したタイミングでは163.83円まで上昇したものの、前日高値の163.94円がレジスタンスとして意識されると失速した。本邦長期金利の上昇で徐々に円買い圧力が強まっていることもあり、小幅ながらも下値を切り下げていく展開となった。
 
29日(木)は、エヌビディアの決算発表を好感したドル円の上昇の流れに沿って、一時164.21円まで上昇した。その一方でユーロドルが下落していることもあり、その後は163.82円まで売り戻された。ただ、米裁判所の判決を受けて、米関税政策をめぐる警戒感が後退し株高・円売りが活発化したことで、164.25円まで上値を伸ばした。その後は伸び悩み164.45円まで売り戻された。
 
5月26日 9時00分 ~5月30日 6時00分までのレンジ幅
米ドル円  USD/JPY  142.11~146.29(円)
ユーロドル EUR/USD   1.1210~1.1418(ドル)
ユーロ円  EUR/JPY  162.07~164.25(円)
ポンドドル GBP/USD   1.3414~1.3592(ドル)
ポンド円  GBP/JPY  193.04~196.30(円)
 
株式
26日(月)は、メモリアルデーで休場。
 
27日(火)は、トランプ米大統領は連休中に欧州連合(EU)に対する関税の発動を7月9日まで延期することを表明し、欧米貿易摩擦への過度な警戒感が後退したほか、この日に発表された消費者信頼感指数などの改善も相場を後押しした。
 
28日(水)は、半導体大手エヌビディアの決算発表を控えて持ち高調整目的の売りがでた。この日発表されたFOMC議事要旨では利下げに慎重な姿勢が改めて示されたことも相場の重しとなった。
 
29日(木)は、半導体大手のエヌビディアの決算が市場予想を上回る増収増益となったことや、米裁判所がトランプ関税の一部差し止めを命じたことなどを好感した買いが入った。ただ、米関税政策については、不透明感も根強く、積極的に上値を試す展開とはならなかった。

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