【今週のハイライ】中東情勢をめぐる警戒感が後退したことで、「有事のドル買い」が巻き戻される動きが強まった

為替(2025年6月27日  6時00分)
米ドル円          USD/JPY   144.39(円)
ユーロ米ドル   EUR/USD  1.1699(米ドル)
ユーロ円          EUR/JPY   168.91(円)
ポンド円          GBP/JPY   198.12(円)
ポンド米ドル   GBP/USD  1.3725(米ドル)

米ドル円
23日(月)は、前週末に米国がイラクの核施設を攻撃したことで地政学的リスクが意識されると、有事のドル買いが意識されると早朝に146.73円まで上昇した。その後は146.14円まで売り戻されるも、日経平均株価が下げ幅を縮小した事などもあり、買いが優勢となり15時台には147.39円まで上値を伸ばした。20時過ぎには一時148.03円まで上値を伸ばしたものの、148円台では売り圧力も強く伸び悩んだ。その後は米早期利下げ観測の高まりなどを背景に、ドル全面安となった流れに沿って、午前3時過ぎには146.01円まで急落した。イランがカタールの米軍基地に対して報復攻撃をしたが、被害は限定的となったことで米株高・原油安・ドル安の流れとなった。

24日(火)は、トランプ大統領が「イスラエルとイランの間で完全かつ全面的な停戦が合意された」と発言すると、前日まで進んでいた「有事のドル買い」の動きが巻き戻された。前日のボウマンFRB副議長の発言による米利下げ観測の高まりも意識され、一時144.99円まで下押した。パウエルFRB議長の発言を受けて、米10年債利回りの低下とともに全般でドル売りが活発化した。なお、パウエルFRB議長の議会証言事前現行で、「関税の引き上げはインフレ率を押し上げ、経済活動を圧迫する可能性が高い。」と従来の考えを改めて強調した。23時台には144.51円まで売りが広がり、日通し安値を更新した。

25日(水)は、東京仲値にかけてドル買いが優勢となり、145.04円まで上値を伸ばした。ただ、田村日銀委員の発言をきっかけに円買いが優勢となり、144.60円まで下押した。もっとも前日安値の144.51円を前に下げ渋ると買いが優勢となり145.37円まで上値を伸ばした。米10年債利回りの上昇を背景にドル買いが先行し、22時過ぎには145.95円まで上値を伸ばした。ただ、節目の146円を前にすると伸び悩み、上値が重たくなった。米住宅指標や米10年債利回りが4.28%まで低下したことも相場の重しとなり、一時145.10円まで売り押された。

26日(木)は、一部報道で「トランプ大統領は次期FRB議長の早期指名を検討」と伝わったことで、米大統領が金融緩和に積極的なハト派の人物を選出するとの思惑から、全般でドル売りが先行した。144.6円台では下げ渋ったものの、戻りは限定的で米10円債利回りが4.26%台まで低下すると、17時までに143.92円まで下押した。パウエルFRB議長の議会発言を通過したことや中東情勢をめぐる警戒感が再び高まるような事態にはなっておらず、新規材料に欠ける中で方向感が出ずにもみ合う展開となった。米早期利下げ観測の高まりや米金融政策への政治的介入を警戒したドル売りが優勢となり、欧州市場序盤に一時143.75円まで下落した影響が残ったことも、相場の重しとなった。

ユーロドル
23日(月)は、米国のイラン核施設攻撃の報道を受けて、ドル買いが先行し1.1451ドルまで下押したが、売り一巡後には買い戻しが優勢となり15時過ぎには1.1520ドルまで上値を伸ばした。ただ前週末終値付近まで買い戻されると上値は重たくなり伸び悩んだ。欧州時間序盤には一時1.1453ドルまで下押していたものの、ボウマンFRB副議長が「インフレ圧力が抑制されれば、7月利下げを支持する可能性がある」と発言したことをきっかけに、米10年債利回りが4.28%台まで低下したことで、全般でドル安が進んだ。引け前には1.1581ドルまで上値を伸ばした。

24日(火)は、ユーロ円の売りにつられる形で11時過ぎには一時1.1586ドルまで下押したものの、全般でドル売りが優勢となっている流れに沿って買戻しが優勢となり15時台には1.1622ドルまでじり高に推移した。ただ、12日高値の1.1631ドルが目先のレジスタンスとして意識されると伸び悩み、1.1579ドルまで売り戻された。欧州時間発表の独IFO企業景況感指数が予想を上回ったことを受けて、ユーロ買い・ドル売りが先行した。NY市場にはいると、低調な米経済指標やパウエルFRB議長の発言を手掛かりに全般でドル売りが優勢となり、一時1.1641ドルと2021年10月以来の高値を更新した。

25日(水)は、対円でドルが売られたことで1.1631ドルまで上値を伸ばしたが、前日高値の1.1641ドルまでは届かず上値が重たくなった。ドル円が上昇していることもあり徐々にユーロ売り・ドル買いが進む中で、17時までには1.1589ドルまで下押した。米10年債利回りの上昇を背景にドル買いが先行し22時前には1.1589ドルまで下押した。ただ米新築住宅販売件数が市場予想を下回り、米10年債利回りが低下に転じたことで一転してドル買いが優勢となり、前日高値を上抜けて1.1664ドルまで上値を伸ばした。

26日(木)は、米次期FRB議長に関する報道をきっかけにドル売りが先行し、1.1716ドルまで上値を伸ばした。ただ、2021年9月以来の高値更新後は利益確定の売りに押される形で売りが優勢となり、15時台には1.1671ドルまで下値を広げた。もっとも下値も堅く17時までには1.1713ドルまで買い戻されるなど方向感は出にくかった。トランプ大統領が次期FRB議長の早期指名を検討していることが伝わり、欧州時間序盤には1.1744ドルと2021年9月以来の高値を更新した。なお、市場では「FRBの独立性が脅かされている」との警戒感も強かった。ニューヨーク時間では再び高値更新を目指す動きもあったが、1.1740ドルまでにとどまり、高値更新はできずに売り戻された。

ユーロ円
23日(月)は、米国のイラン核施設攻撃の報道を受けたユーロドルの下落につれて、167.93円まで下押したが、その後はドル円などの上昇につられる形で徐々に買いが優勢となった。15時30分台には169.65円まで上値を伸ばした。買い一巡後には持ち高の調整売りに押される形で伸び悩み、169.04円まで売り戻された。

24日(火)は、ドル円の下落につれて売りが進み13時前には168.60ドルまで売り押された。その後は日経平均株価の上昇などを背景にやや下げ渋ったものの限定的で、買戻しは168.84円までにとどまった。ドル円が日通し安値を更新するなど再び下落したことで、ユーロ円にも売り圧力が強まり、168.18円まで下値を広げた。

25日(水)は、東京仲値にかけたドル円の上昇につれて168.56円まで上値を伸ばした。ただ、ドル円が伸び悩むと売り戻されるなど、総じてドル円と連動した値動きとなった。14時過ぎからは、買いが優勢となり168.69円まで上昇したものの、ユーロドルが下落した動きが重しとなり、伸び悩んだ。

26日(木)は、ユーロドルが上昇した場面では169.38円まで上昇したものの、その後はユーロドルの失速やドル円の下落につられる形で売りが優勢となり、168.97円まで売り押された。一時169.39円まで買い戻される場面もあったが、上値は重たく17時までには168.54円まで下値を広げた。

6月23日 9時00分 ~6月27日 6時00分までのレンジ幅
米ドル円 USD/JPY 143.75~148.03(円)
ユーロドル EUR/USD   1.1453~1.1744(ドル)
ユーロ円 EUR/JPY 167.90~169.70(円)
ポンドドル GBP/USD   1.3369~1.3770(ドル)
ポンド円 GBP/JPY 196.29~198.59(円)

株式
23日(月)は、イランはカタールの米軍基地に対して報復攻撃を実施した。ただ、カタールは「イランのミサイルの迎撃に成功し、人的被害はなかった」と発表したほか、「米国とカタールには攻撃を事前に通知していた」と伝わったことから、イランの報復は限定的と受け止められ、緊張感は緩和したことで、原油安・株高・ドル安が進行した。

24日(火)は、イスラエルとイランが停戦合意したこと事が伝わると、中東情勢が緊張緩和に向かうとの期待から買いが優勢となった。ハイテク株比率が高いナスダックでも、米10年債利回りの低下で高PER株のハイテク株に買いが入った。

25日(水)は、中東情勢をめぐる懸念が後退する中で買いが先行したものの、前日に3月以来の高値を更新した後だけに利益確定目的の売りが強まると下げに転じた。ハイテク株比率が高いナスダックでは一時2万円台に乗せる場面もあった。

26日(木)は、中東情勢をめぐる懸念が後退する中で、投資家心理が改善し買いが広がった。マイクロン・テクノロジーの決算が良好な内容となったことを受けて、人工知能(AI)関連の銘柄に買いが入った。

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