本記事では、中東における地政学的緊張の継続を受け、主要市場の動向と取引の方向性について、実践的な視点から解説します。
原油
週明けの月曜日の取引では、先週の終値から大きくギャップ(窓)を開けてのスタートとなりました。一般的なトレードの考え方では、「開けた窓は埋まる」とされていますが、今回のギャップはファンダメンタルズの変化による資産価格の全面的な再評価によるものであり、通常のギャップとは性質が異なり、埋まる可能性は比較的低いと見られていました。
原油の日足チャート
本日時点においても、そのギャップは依然として埋まっていません。さらに、価格は上昇を続け、以前の週足スイングハイであった75.17ドルをサポートラインへと転換させました。本日時点においても、そのギャップは依然として埋まっていません。さらに、価格は上昇を続け、以前の週足スイングハイであった75.17ドルをサポートラインへと転換させました。テクニカルの観点からは、75ドル水準を上から短期的にリテストした後、次の上昇局面へ移行する可能性が高いと考えられます。その場合、2023年の高値である79.63ドルが次の目標水準として意識されます。

原油の日足チャート
ゴールド
ゴールドの値動きは、判断が難しい状況が続いています。週末明けに地政学的な不安を受け、ギャップアップで始まりましたが、このギャップは同日中に埋まり、月曜日の終値時点ではチャートの形成はほぼ中立的となりました。

XAU/USDの日足チャート
その後、ファンダメンタルズ分析に基づいた予想とは対照的に、ゴールドは大きく下落する局面がありました。本記事の執筆時点(日本時間:水曜日夕方)では、過去の高値・安値を結んだチャート上の重要なサポートエリアで下げ止まっている状況です。
XAU/USDの1時間足チャート
ファンダメンタルズ面では強気材料があるものの、テクニカルの観点ではやや弱気な様相を呈しています。価格は再び過去にテストされたサポートゾーンまで戻っており、現在は週足で切り下げた高値を形成しつつあります。これは、長期的な下落トレンドを実質的に裏付ける形とも解釈できます。
また、主要なニュースに対して資産の反応は、その市場の潜在的な強弱を示すことが多々あります。大規模な地政学的な紛争という強気材料がある中で、ゴールドが史上最高値を更新するような6%の上昇を見せられないのであれば、買い手の勢いが既に消耗していると考えられます。
一方で、弱気なバイアスが継続するとすれば、5,250ドルが価格の失速と急落の水準値として注目されます。ただし、そのレベルへのリテスト自体が起こらない可能性もあります。
S&P 500
S&P 500の初期の動きは、ある意味でゴールドとは対照的なものでした。小規模な下落の後、月曜日のニューヨーク市場オープン時にオープン・ギャップを埋め、その後は下落に転じています。
S&P 500の1時間足チャート
もっとも、現時点のチャートはゴールドほど明確な下落継続を示しているわけではありません。火曜日には直近の二つのスイングローを下抜けた後、重要なサポートゾーンである6,790〜6,815ドルレンジの上限付近で引けています。
現時点の日足チャートでは、やや矛盾したシグナルが示されています。一方で、弱気材料になる地政学的情勢があるにもかかわらず、短期的にも価格を大きく押し下げることができず、主要な安値を下抜けた後もサポート上に戻って引けています。
しかし一方で、その後の上昇の勢いは非常に限定的です。通常、スイング・フェイラー・パターン(直近高値・安値を一時的に更新した後、反転する値動きのこと)後は、即座に反対方向への素早い動きが期待されますが、現在はそのような動きが見られていません。加えて、このサポートゾーンは上方向からすでに6回テストされており、水準としてのサポートは弱まっていると考えられます。
このように相反するシグナルが混在する局面では、「もし〜ならば」という条件付きのアプローチを取ることが有効です。例えば、「もし価格が火曜日の高値である6,886ドルを上回れば強気に、それまでは下放れの可能性がある」のような見方を検討することができます。
USD/CAD(米ドル/カナダドル)
月曜日の時点では、USD/CADはペアを構成する両通貨が同時に動くという特殊な状況から、分析が最も難しい通貨ペアとして挙げられていました。これは、通貨ペアの両側でリプライスが起こっていた為です。USDはリスクオフ需要を背景に買われた一方、カナダが主要な産油国であることから、原油価格との相関によりCADも上昇していました。
USD/CADの1時間足チャート
価格の方向性の予測は、依然として読みにくいままとなっています。これまでのところ、リスクオフの動きは相対的にUSDをCADより押し上げていますが、その流れは変化する可能性があります。これは、事態がこれ以上深刻化しない限り、ゴールドの値動きが示すように、リスクオフ需要は既に落ち着きつつある為です。
一方で、原油価格にはさらなる上昇の余地があるように見えます。その場合、CADの上昇が続く中、USDの上昇は停滞する可能性があり、USD/CADは押し下げられる方向に働くことになります。