米金利低下が重荷となり米ドル売りが優勢に

2022/10/05 7:22 JST投稿
 

【米国】

為替(10月5日6時00分)
 米ドル円(USDJPY) 144.07-144.16 (円)
 ユーロ円(EURJPY) 143.80-143.96 (円)
 ユーロ米ドル(EURUSD) 0.9985-0.9987 (米ドル)
 ポンド円(GBPJPY) 165.39-165.41 (円)
 ポンド米ドル(GBPUSD) 1.1474-1.1475 (米ドル)

10月4日のニューヨーク外国為替市場に最も影響を及ぼしたのは、債券利率の低下だった。豪中銀が前回の利上げ幅(0.5%)の半数にとどまる利上げ(0.25%)となり、世界の主要中銀もこの流れに至るとの観測の強まりから金利上昇が抑制されている。しかし、まだ金融政策の影響を受けやすい2年債と10年債(長期金利)の利回りは、64日連続で逆転(逆イールド)している。終値ベースでは2年債が4.097%、10年債が3.635%だった。

また、朝方に発表された8月JOLT求人件数(結果:1,005.3万件、予想:1,108.8万件、前回:1,117万件)は、予想以上に減少し、2020年4月以来の大幅な減少となり、長期金利が低下した。

米ドル・円(USDJPY)では、債券利率の低下から投資家心理が後退した。8月JOLT求人件数の冴えない結果や長期金利の低下から米ドル売りが優勢となり、144.93円の高値から143.90円の安値まで下落した。その後、小幅に値を戻し終値は144.13円となっている。

ユーロ・米ドル(EURUSD)は米金利低下や低調な米経済指標が後押しとなり、堅調に値を上げた。9月20日以来の高値0.9999ドルを付けたが、金融大手クレディ・スイスの経営悪化や地政学リスク、欧州の景気後退への懸念から等価割れは回復できず0.9986ドルで終えている。

ユーロ・円(EURJPY)は、米金利低下による米ドル売りや米株式相場の堅調な状況からリスク選好のユーロ買いにつながった。9月14日以来の高値144.08円を付け、その後も底値は固く終値は143.93円だった。

株式
 NYダウ平均 USD 30,316.32 +825.43(+2.79%)
 NASDAQ総合  USD 11,176.406    +360.971 (+3.33%)
 S&P500     USD  3,790.93 +112.50(+3.05%)

10月4日の米株式市場のダウ工業株30種平均は、連日で前日の終値を大幅に上回り、この2日間で1,590ドル上昇した。オーストラリア中銀が利上げペースを縮小させた影響を受け、今後欧米の主要中銀が景気後退を回避するために利上げを減速させるとの見方が強まり、買い戻されている。長期金利の低下も好感され、連日で3指数揃って値を上げ終えている。

債券
 米国債10年 3.635%(-0.016)

商品
 NY原油(WTI) 1バレル=USD 86.52 +2.89(+3.46%)(11月渡し)
 NY金(COMEX) 1オンス=USD 1,730.50 +28.50(+1.67%)(12月渡し)
 

【日本】米長期金利低下受け上値は重い

為替(17時)
10月4日の東京外国為替市場では、前日に発表された9月ISM製造業景気指数が予想を下回り、時間外の米長期金利の低下が続いた影響が大きかった。

また、オーストラリア準備銀行(中央銀行)は政策決定会合を開き、政策金利であるオフィシャル・キャッシュレートの誘導目標を2.35%から2.6%に引き上げた。0.25%の利上げとなり、当初の予想より小幅な上昇に限られている。この結果、豪ドルは対米ドルで一時1%安の0.6451ドルまで下落し、直近の2年半ぶりの安値0.6364ドルに近づいた。

米ドル・円では、朝方は北朝鮮による弾道ミサイルの発射を受けリスク回避の姿勢が強った。この日の安値144.41円まで値を下げたが、影響が少ないことが判明すると投資家心理が上向いている。すぐに持ち直しこの日の高値144.92円まで買い戻された。その後は、時間外の米長期金利の低下から米ドルが売られ、17時時点で144.66円となっている。

ユーロ・米ドルでは様子見の姿勢が強まり、ほぼ横ばいにとどまった。その後は時間外の米長期金利の低下を受け米ドル売りが強まると、この日の高値0.9896ドルを付けている。17時時点では0.9875ドルだった。

ユーロ・円は、朝方はリスク回避の姿勢が強まり円買いに傾いていたが、投資家心理が上向くと徐々にユーロ買いが優勢となった。この日の高値143.12円まで値を上げ、9月22日以来の143円台に回帰したが、再び値を下げ17時時点では142.85円となった。

債券
 国債先物・22年12月限 149.03 (+0.47)
 10年長期金利 0.225%(-0.015)

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アナリストプロフィール

Noriko Sasaki

投資運用歴25年。日系銀行、シティバンク、日興シティ信託銀行の勤務や、ITベンチャー企業でのIR・広報などを経て、金融に強みを持つライターとして活躍。
これまでのキャリアで培った金融の知識と、企業経営の視点、ニュースを複合的に織り交ぜたマーケット分析を得意とする。


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